- 著者
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坂元 秀之
山本 和子
白崎 俊浩
山崎 秀夫
- 出版者
- 公益社団法人 日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.2, pp.91-99, 2004-02-05
- 参考文献数
- 18
- 被引用文献数
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誘導結合プラズマ三次元質量分析装置(ICP/3DQMS)を用いて,陸水試料中の極微量ウランと主成分元素のナトリウム,マグネシウム,カリウム,カルシウムを迅速に分析する方法を確立した.ICP/3DQMSの感度にかかわるパラメーターとしてイオン取り込み時間とバッファーガス圧力について分析条件の最適化を検討した.本法によるウランの分析精度は標準物質Riverine Water(NRC•CNRC SLRS-4)の分析と実試料への添加回収実験によって検討し,良好な結果が得られた.また,ナトリウム,マグネシウム,カリウム,カルシウムの分析精度は,実試料を用いて,ICP発光分析法によりクロスチェックを行い,これらの元素も精度よく定量できることを明らかにした.本法によるウランの検出限界(空試験溶液のイオン信号強度の3σに相当する濃度)を求めたところ0.7 ng/lであった.琵琶湖湖水及び周辺河川水の分析に本法を適用した.これら元素は河川水では周辺域の環境の影響を受けて比較的大きな濃度変動を示したが,琵琶湖の表層水ではほぼ一定の値を示した.琵琶湖北湖におけるこれら元素の平均濃度はそれぞれU: 22.0 ng/l,Na: 8.3 mg/l,Mg: 2.28 mg/l,K: 1.48 mg/l,Ca: 12.1 mg/lであった.また,成層期の琵琶湖水中でウランの鉛直分布は深度とともに大きく変動した.ウラン及び主成分元素の分析結果から,琵琶湖水系におけるウランの動態に関して興味深い知見が得られた.<br>