著者
中村 智幸 片野 修 山本 祥一郎
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.287-291, 2004-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
30
被引用文献数
1

コクチバスによる在来魚への捕食圧を軽減するうえでの水草帯設置の効果を実験的に検証した。屋外実験池8面のうち4面に, クサヨシを1m2の範囲に100本植え, 他の4面は無植栽とした。そして, 各池にコクチバス3尾とフナおよびウグイを各20尾放流し, 1期14日間, 計2期, フナとウグイの被食数を調べた。その結果, 両種ともにクサヨシ帯を設置した池では, 被食数が有意に減少することが明らかになった。この結果は, 自然水域における水草帯の保全・拡大が, コクチバスによる在来魚への捕食圧を軽減するうえで効果的であることを示す。
著者
渡辺 勝敏 高橋 洋 北村 晃寿 横山 良太 北川 忠生 武島 弘彦 佐藤 俊平 山本 祥一郎 竹花 佑介 向井 貴彦 大原 健一 井口 恵一朗
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-38, 2006-05-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
247
被引用文献数
6

The biogeography of freshwater fishes in Japan was reviewed in terms of achievements and perspectives. In the last three decades, biogeographic studies have changed from earlier descriptions of the freshwater fish fauna, based on the Linnean classification system, to phylogenetic approaches using various molecular markers. Especially, the phylogeographic approach, which explores the formation of geographic distribution patterns of genealogical lineages within species, has become predominant. Analyses of genuine freshwater fishes have disclosed their speciation and dispersal patterns throughout temperate East Asia since the Neogene, along with the formation of the Japanese Archipelago. In particular, molecular clocks of mitochondrial DNA have played an important role in examinations of biogeographic relationships between the Japanese Archipelago and Chinese continent/Korean Peninsula, and vicariance by Fossa Magna in central Honshu Island. Patterns of range expansion through the sea and landlocking in coldtemperature euryhaline fishes have indicated their speciation and distribution dynamics under the fluctuating climatic conditions of the Plio-Pleistocene. Likewise, phylogeographic implications of unusual biological entities arising from interspecific hybridization or gynogenesis have been discussed. Nevertheless, despite the emphases given to some groups, the present knowledge of phylogeographic patterns of Japanese freshwater fishes is for the most part still insufficient for quantitative analyses of the overall history of the freshwater fish fauna and geographic regions of Japan. Improved research techniques and methodologies for the integration of findings from multiple taxa and/or genes are essential. Further, evolutionary formation of distributional ranges should be considered together with ecological biogeography, including the processes of local adaptation, interspecific interaction and extinction. Modern day disturbances of freshwater fish distributions, including fish transportation, are rapidly leading to artificial distribution patterns and extinctions. Exhaustive phylogeographic analyses should be necessary as a primary requirement for conserving freshwater fish biodiversity in Japan.
著者
片野 修 中村 智幸 山本 祥一郎 阿部 信一郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.902-909, 2004 (Released:2005-07-08)
参考文献数
25
被引用文献数
8 9

浦野川において魚類の種組成, 個体密度, 成長率および食物関係について調査した。合計で14種, 7,052個体の魚類が採集された。オイカワがもっとも優占し40%以上の個体数を占め, ついでドジョウ, ウグイ, カマツカが多かった。これらの魚種は6月から8月にかけて正の成長を示した。大半の魚はユスリカなどの水生昆虫を捕食していたが, オイカワだけは底生藻類を主食としていた。浦野川の調査区においてはナマズなどの魚食性魚類がほとんど生息しておらず, その生態的地位が空白となっている。したがって, オオクチバスなどの外来魚食魚の侵入が危惧される。
著者
片野 修 中村 智幸 山本 祥一郎
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.733-737, 852, 2003-09-15
被引用文献数
2 5

水槽内でブルーギルに捕食されるモツゴの個体数および最大体長を調べた。初期標準体長が2.5〜7.9cmの生きたモツゴ15個体と,標準体長5.7〜14.3cmのブルーギル1個体を水槽に収容し,ブルーギルによるモツゴの捕食を10日間調べた。体長5.7cmの1個体を除くすべてのブルーギルがモツゴを捕食した。ブルーギルに捕食されたモツゴの最大体長および総重量はブルーギルの体長と相関し,1個体のブルーギルは最大で1日あたり5.8g(ブルーギルの体重の5.6%)のモツゴを捕食した。
著者
中村 智幸 片野 修 山本 祥一郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.745-749, 2004 (Released:2005-07-08)
参考文献数
27
被引用文献数
4 2

コクチバスとオオクチバスの成長に対する流水と水温の影響を実験的に検討した。給餌下では, 両種ともに流水池と止水池との間で成長率に有意差は認められなかった。しかし, オオクチバスに対するコクチバスの成長比は, 水温の低い時期に大きかった。無給餌下では, オオクチバスの体重の減少率は止水池に比べて流水池において大きかったが, コクチバスでは両池の間で体重の減少率に有意差は認められなかった。以上の結果は, コクチバスのほうがオオクチバスに比べて, 流水と低水温に対する適応能力において優れていることを示している。
著者
北野 聡 中野 繁 井上 幹生 下田 和孝 山本 祥一郎
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.1837-1843, 1993
被引用文献数
14 17

Diet, foraging behavior, growth, sexual maturity, and spawning site selection were studied in a wild population of exotic rainbow trout <i>Oncorhynchus mykiss </i>in the spring-fed Horonai stream in Hokkaido, Japan. During spring and summer, the rainbow trout ate primarily aquatic and terrestrial invertebrates, but eggs and larvae of river sculpin <i>Cottus nozawae</i> constituted 10% of the diet by number in spring. Rainbow trout typically held focal points in the stream flow and intercepted food items in the drift. Sexually mature individuals caught in late January were ages 1-5<sup>+</sup>. Males ranged 11.0-36.5cm and females 16.8-33.1cm in fork length. Females constructed spawning redds in calm riffles with fine gravel substrate. Our re-sults suggest that introductions of rainbow trout may have detrimental effects on Japanese stream fishes and other aquatic biota through interspecific competition for food and space and/or predation.
著者
片野 修 中村 智幸 山本 祥一郎 阿部 信一郎
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.115-119, 2005-06-20
被引用文献数
4

外来魚ブルーギルは日本全国の湖沼や河川に拡まっており、水産有用魚種や生態系への影響が危惧されている。しかし日本の河川上中流域におけるブルーギルの生態についてはほとんど報告がない。著者らは長野県の千曲川の1支流である浦野川のAa-Bb移行型の河川形態区間で、2003年の6月及び7月に75個体のブルーギルを電気ショッカーによって採捕した。すべてのブルーギルは岸から1m以内で採捕され、その空胃個体は75個体中8個体にすぎなかった。胃内容物充満度は平均0.63%で、最大で2.86%に達した。ブルーギルは主にユスリカ科の幼虫を摂食し、そのほかカゲロウ科やトビケラ科の幼虫及び陸生昆虫を捕食していた。ブルーギルの食性は浦野川の在来魚の何種かといちじるしく重複していた。ブルーギルは河川の魚類群集に負の影響を与えると考えられ、根絶される必要がある。
著者
中村 智幸 片野 修 山本 祥一郎
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.745-749, 2004-09-15
被引用文献数
3 2

コクチバスとオオクチバスの成長に対する流水と水温の影響を実験的に検討した。給餌下では,両種ともに流水池と止水池との間で成長率に有意差は認められなかった。しかし,オオクチバスに対するコクチバスの成長比は,水温の低い時期に大きかった。無給餌下では,オオクチバスの体重の減少率は止水池に比べて流水池において大きかったが,コクチバスでは両池の間で体重の減少率に有意差は認められなかった。以上の結果は,コクチバスのほうがオオクチバスに比べて,流水と低水温に対する適応能力において優れていることを示している。
著者
片野 修 中村 智幸 山本 祥一郎 阿部 信一郎
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.115-119, 2005-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
15
被引用文献数
3

外来魚ブルーギルは日本全国の湖沼や河川に拡まっており, 水産有用魚種や生態系への影響が危惧されている。しかし日本の河川上中流域におけるブルーギルの生態についてはほとんど報告がない。著者らは長野県の千曲川の1支流である浦野川のAa-Bb移行型の河川形態区間で, 2003年の6月及び7月に75個体のブルーギルを電気ショッカーによって採捕した。すべてのブルーギルは岸から1m以内で採捕され, その空胃個体は75個体中8個体にすぎなかった。胃内容物充満度は平均0.63%で, 最大で2.86%に達した。ブルーギルは主にユスリカ科の幼虫を摂食し, そのほかカゲロウ科やトビケラ科の幼虫及び陸生昆虫を捕食していた。ブルーギルの食性は浦野川の在来魚の何種かといちじるしく重複していた。ブルーギルは河川の魚類群集に負の影響を与えると考えられ, 根絶される必要がある。
著者
片野 修 中村 智幸 山本 祥一郎 阿部 信一郎
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.902-909, 2004-11-15
被引用文献数
4 9

浦野川において魚類の種組成,個体密度,成長率および食物関係について調査した。合計で14種,7,052個体の魚類が採集された。オイカワがもっとも優占し40%以上の個体数を占め,ついでドジョウ,ウグイ,カマツカが多かった。これらの魚種は6月から8月にかけて正の成長を示した。大半の魚はユスリカなどの水生昆虫を捕食していたが,オイカワだけは底生藻類を主食としていた。浦野川の調査区においてはナマズなどの魚食性魚類がほとんど生息しておらず,その生態的地位が空白となっている。したがって,オオクチバスなどの外来魚食魚の侵入が危惧される。