著者
山本 輝太郎 石川 幹人
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1024-1028, 2019 (Released:2019-11-01)
参考文献数
21

ワクチン有害説とは,「ワクチン接種はヒトにとって有害である」という基本的な考えのもと,社会および個人に対してワクチン接種の危険性を訴える主張の総称である.本稿の目的はワクチン有害説の科学性を評価することにある.科学哲学・科学社会学の知見から案出した「科学性評定の10条件」に基づくと,ワクチン有害説は理論の適応範囲に大きな問題を抱えており,データの面からもこれを支持できる有力な根拠はなく,典型的な疑似科学的言説である.科学性評定の10条件の理解把握によってこうした評価が可能である.
著者
山本 輝太郎 石川 幹人 菊池 聡
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 42 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.341-342, 2018 (Released:2019-06-14)
参考文献数
4

本研究では,疑似科学に関するオンライン上での議論を手がかりとして,それらの中で「誤った論法=誤謬」がどのように見られるかについて分析した。分析の結果,オンライン上のコメントでは 意味の曖昧さや多義性につけ込み,受け手(閲覧者)に対して先入観を与えるタイプの誤謬が 多く見られた。本報告では,分析結果とともに誤謬を見抜く取り組みの必要性について論じる。
著者
山本 輝太郎 石川 幹人
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.31-36, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7

現在インターネット上で展開している「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」における活動内容を紹介し,科学リテラシー向上に向けた科学教育の重要性を主張する.本稿では特に,蔓延する疑似科学にまつわる諸問題に対応するための,教育成果の「社会的な活用」という側面に焦点を当てた.これまでに収集した知見から,疑似科学に関連する問題の多くは,社会的な人間関係と深く関わっていることが推定できる.そのため,単なる科学的知識の蓄積だけでない実践的な問題解決能力も,これからの教育成果には求められるだろう.こうした社会状況において,科学教育の実践としての「疑似科学」はよい教材として機能することが期待でき,本稿を通してその意義を検討したいと思う.
著者
山本 輝太郎 石川 幹人
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1024-1028, 2019

ワクチン有害説とは,「ワクチン接種はヒトにとって有害である」という基本的な考えのもと,社会および個人に対してワクチン接種の危険性を訴える主張の総称である.本稿の目的はワクチン有害説の科学性を評価することにある.科学哲学・科学社会学の知見から案出した「科学性評定の10条件」に基づくと,ワクチン有害説は理論の適応範囲に大きな問題を抱えており,データの面からもこれを支持できる有力な根拠はなく,典型的な疑似科学的言説である.科学性評定の10条件の理解把握によってこうした評価が可能である.
著者
山本 輝太郎 石川 幹人
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.5-8, 2018-03-25 (Released:2018-07-01)
参考文献数
5

たとえばPISA(OECD 生徒の学習到達度調査)では,生徒が習得を目指す科学的リテラシーに関して,科学・技術に関する議論に積極的に参加できる態度の形成が望ましいとしている.また,議論を建設的に行うために,誤った論法=誤謬に陥らないようにすることが重要である.そこで,筆者らが構築・運営している「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」におけるコメントを事例とし,科学が関与する議論においてどのような誤謬がみられるかについて分析した.結果,議論を閲覧する第三者に向けて自身の主張の正当性を演出するような誤謬が多くみられた.これを,現代社会におけるネット上での議論に特有の問題として位置づけ,こうした方面を重点的に学習する教材開発を目指している.
著者
山本 輝太郎 久保田 善彦
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.23-26, 2022-03-27 (Released:2022-03-24)
参考文献数
13

新型コロナウイルスの世界的な流行によるいわゆる「コロナ禍」において,科学的根拠に乏しいとみなしうるさまざまな説(疑似科学的言説)も登場し,問題となっている.なかには「新型コロナワクチンを接種すると不妊になる」といった,それが蔓延することでより深刻な問題を引き起こしかねない説もあり,そうした説に傾倒する背景要因の究明は社会的な喫緊の課題であるといえる.本研究では,こうした新型コロナに関連する疑似科学的言説への態度に関わる背景要因の分析を行った.具体的には,新型コロナに関して科学的根拠に乏しいと思われる個別の説を収集,質問項目を作成したうえで,「科学に対する認識」や「新型コロナ以外の疑似科学的言説への態度」「科学知識」などとの関連性を検討した.クラウドソーシングを用いた調査を行った結果,新型コロナに関する疑似科学的言説への態度に対して,従来の疑似科学への態度や科学に対する認識,科学知識との一定の関連性が示された.これらの結果に基づき,科学に対する認識の次元にまで踏み込んだ教材開発およびその教育実践の重要性について提案したい.
著者
山本 輝太郎 佐藤 広英
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.183-191, 2022-02-20 (Released:2022-03-15)
参考文献数
21

本研究ではオンライン掲示板でのコミュニケーションにおいて,ファシリテーション的介入が参加者に及ぼす影響を実験的に検討した.「深海には,絶滅したと思われている古代の生物の子孫がまだ生き残っている」「銀河系内には地球と同じような生命を持つ惑星が存在する」という科学的な内容に関連する二つのトピックを設定し,ファシリテーションの有無を条件として実験参加者に議論をさせた(ランダム化比較試験).ファシリテーター役は毎日,その日の議論を整理するなどの介入を行った.実験の結果,ファシリテーションありの掲示板ではなしの掲示板と比較して参加者の攻撃的なコメントや集団極性化が抑制され,批判的思考態度が向上した.オンライン掲示板におけるファシリテーションの有効性が示唆された.
著者
山本 輝太郎 石川 幹人
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.81-84, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
9

本稿では,疑似科学的言説に対する消費者向け教材開発のガイドラインの作成過程を報告している.疑似科学の問題が深刻化している社会的状況に対して,消費者教育などの関連分野における既存の教材ではその対応が十分でなく,既存の教材では一般消費者が疑似科学の判定を行うには不十分である(ES0.11,95%CI[-0.21, 0.44]).そうした現状を打破するために本研究では,疑似科学に対する消費者向け教材開発のガイドラインの提案を目的として,関連領域における既存のガイドラインおよび筆者らが運営する「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」の実践よって生じた課題から,新規ガイドラインの具体的観点を抽出した.作成したガイドラインは試験的なものであるため,より厳密化するための方策を講じる必要がある.
著者
山本 輝太郎 石川 幹人
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.5-8, 2018

<p>たとえばPISA(OECD 生徒の学習到達度調査)では,生徒が習得を目指す科学的リテラシーに関して,科学・技術に関する議論に積極的に参加できる態度の形成が望ましいとしている.また,議論を建設的に行うために,誤った論法=誤謬に陥らないようにすることが重要である.そこで,筆者らが構築・運営している「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」におけるコメントを事例とし,科学が関与する議論においてどのような誤謬がみられるかについて分析した.結果,議論を閲覧する第三者に向けて自身の主張の正当性を演出するような誤謬が多くみられた.これを,現代社会におけるネット上での議論に特有の問題として位置づけ,こうした方面を重点的に学習する教材開発を目指している.<tt> </tt></p>