著者
亀岡 智美 齋藤 梓 友田 明美 八木 淳子 岩垂 喜貴 井野 敬子 酒井 佐枝子 飛鳥井 望 新井 陽子 成澤 知子 田中 英三郎 山本 沙弥加 高田 紗英子 浅野 恭子 島 ゆみ 中島 淳 竹腰 友子 西村 悠哉 三宅 和佳子 野坂 祐子 小平 雅基 市川 佳世子 岩切 昌宏 瀧野 揚三
出版者
公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、欧米で子どものPTSDへの第一選択治療として推奨されているTF-CBT(Trauma-Focused Cognitive Behavioral Therapy)の我が国における効果検証に取り組んだ。兵庫県こころのケアセンターと被害者支援都民センターにおいて実施した無作為化比較試験が終了し、先行研究と同様に、わが国においてもTF-CBTの有効性が検証された。結果については、論文にまとめ、報告する予定である。その他の研究分担機関においても、TF-CBTの終了例が蓄積された。TF-CBT実施前後のMRI画像分析については、福井大学子どものこころの発達研究センターで7例を分析した。
著者
四辻 伸吾 瀧野 揚三
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第4部門, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.91-109, 2011-09

本研究では,大学における「いじめ」について,他の年齢段階の「いじめ」との関連性,独自の観点から位置づけを試みた。大学生318名に対して,大学に「いじめ」があるかどうか,大学の「いじめ」が深刻だと思うかどうか,大学生の「いじめ」行動,「いじめ」に対する考え方,大学に「いじめ」が存在する原因,「いじめ」が存在しない原因を尋ねる調査を行った。その結果,大学においては,小学校,中学校においてみられるような「暴力」による「いじめ」はあまりみられないものの,「拒絶」や「集団によるいやがらせ」などの行為が「いじめ」として認識されていることが示唆された。また,大学に「いじめ」があると認識し,それが深刻であると認識している大学生は,高い割合で「いじめ」はどんなことがあっても許されない行為であるという考え方に賛同していることが示唆された。さらに,大学に「いじめ」が存在すると考えている大学生は,それが深刻であると考えているものほど,その原因を「人間性」や「環境」に求める割合が高いことが明らかとなった。また,大学に「いじめ」が存在しないと考えている大学生は,その原因を「人間関係の希薄さ」に求める割合が高いことが明らかとなった。The present study investigated bullying at a university in comparison with bullying at primary, secondary and high schools. University students (N=318) completed a questionnaire asking whether there is bullying at the university or not, whether bullying at the university is serious or not, which actions does university student's bullying have, how is thought of bullying, why bullying exists at the university, why bullying does not exist at the university. As a result, it was suggested that the actions such as "Rejection" and "Annoyed by the group" be recognized as bullying in the university though bullying by "Violence" shown in the elementary schools and the junior high schools was not so done. It was suggested that the university students recognized serious bullying at the university agreed to the idea that bullying was the action never permitted at a high rate. It was also suggested that the university students recognized serious bullying at the university answererd on ground of "Human nature" and "Environment". The university students who thought that bullying did not exist at the university were assuming that the weakness of the interpersonal relationship was the reason at a high rate.
著者
清水 貴裕 瀧野 揚三
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.347-363, 1998-01

本研究は,小学校の4年生児童127名を対象に,いじめ場面における被害者と第三者の行動が,加害者の行動と態度にどのような影響を及ぼすかを検討した。まず,架空のいじめエピソードの4コマ漫画を提示し,続いて第三者の援護行動(仲裁者的立場),はやしたて(観衆的立場),黙認(傍観者的立場)と被害者自身の行動(服従的行動と抵抗的行動)を組み合わせた6条件を2コマ漫画で提示した後,被害者と第三者の応答行動後の加害者の行動,いじめをおこなったことに対する加害者自身の評価,いじめをおこなったときの加害者の感情,今後のいじめへの動機づけを調べた。結果は,第三者が援護する条件で顕著にいじめを抑制する傾向が示された。The purpose of the present study was to investigate the effects of victim's and bystanders' behaviours on the bully's cognition, emotion and behaviours. A sample of 127 fourth graders participated in this study was divided into six subgroups and answered the questions about bully's reactions, cognition, emotion and behaviours. The result showed the bystanders' helping behaviours lead to the prevention of bullying effectively rather than the victim's resistance.
著者
小野田 正利 佐藤 晴雄 吉川 武彦 野田 正人 古川 治 楠 凡之 松本 剛 和井田 節子 岩切 昌宏 山野 則子 瀧野 揚三 西川 由紀子 新井 肇 小林 正幸 山下 晃一 岩永 定 入澤 充 嶋崎 政男 清水 和夫 清水 和夫 嶋崎 政男
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

2000 年代に入ってわが国の学校現場では、教職員と保護者の間に時として激しい対立やトラブルが生じようになり、それらをどのように解決していくか、あるいは減少させていくかという課題が生まれてきた。本研究は、このような問題現象が増加している理由や背景の分析はもちろんのこと、具体的にどのようにすれば、トラブルが大きくならずに解決につながっていくかを考察したものである。このために研究者のメンバーの専門領域をより学際的なものとし、教育学だけでなく、法律学、精神医学、臨床心理学、福祉学などの幅広いものとして構成した。そこで得られた研究成果を、全国の12か所でシンポジウムとワークショップを開催する形で発表したが、これらの成果の多くは、6つの書籍などの成果物として結実した。
著者
瀧野 揚三
出版者
大阪教育大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2000

本研究は、学校心理学的な観点から、学級経営に介入する手法を開発し、それを評価することを目的としている。初年度は、学級介入方法の具体化と評価視点の探索的検討を、次年度は、介入の方向性、経過面接の構造化をより確かなものにするために、継続的に教師用RCRTの測定を行なった。本年度は、5人の教師とその担当学級を対象にした介入を行い、その成果を検討した。個別の関わりに加え、小グループを形成することによって、相互に理解し助言しあえる自助グループの形成もねらいとした。対象の教師には、6月、7月、9月、12月、2月の計5回の研修に継続的に出席してもらい、それぞれの教師用RCRTの結果を用いながら参加者の学級経営の事例検討、自己達成予言的に学級経営の具体的方針の提出、数人の児童に焦点を当てた意図的な関わりの報告、親近感についての調査の実施などが具体的な実施内容である。参加した教師は、教師用RCRTの結果の読み取りができるようになり、またその資料を元にしながら、学級経営の様子を他の教員に語ることができた。このように自らの学級経営の状況を客観化するなかで、意図的な関わりの対象になる児童の特定、関わりの内容についての設定をすることができた。短期の目標とやや中期の目標を立て、またその目標をグループのメンバーに報告するなかで、データをもとにした実施可能な学級経営の実践につながった。別の評価の視点としては、児童による親近感調査を行い、その結果に基づく児童への関わりの修正もできた。継続的な研修の中で、他の教師からの共感や助言の機会を持ち、また自分の実践を他の教師に理解してもらえるように表現できるようになった。これらのことは、学級経営に介入する手法として、継続的な小グループセッションで教師用RCRTを用いることが有効であることを確認した。
著者
瀧野 揚三
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

期間中の研究成果を、個人を対象とした学級経営に関する1回の介入的支援方法の改善と評価、小グループを対象とした年間を通した継続的な学級経営の介入的支援方法の開発と評価、学校危機後、PTSDやトラウマを抱える児童生徒が在籍する学級の経営を行う教師への介入的支援方法の開発と評価の3つの観点から報告書をまとめた。教師用RCRTを実施し、その結果をフィードバックする方法ですすめたが、1回だけの介入では調査に回答する負担に見合う学級経営への介入的支援になりにくいことが課題として残っている。教育実習後の学生に対しても導入し、実習の事後指導において、実習中の児童・生徒への見方を内省し展望することに有効であることが分かった。継続的に小グループで研修を重ねるなかで教師用RCRTの結果を活用するように学級経営の事例検討と、学級経営に意図的、計画的な取り組みを進めることができた。電子メールを活用してコメントするケースもあった。グループ内で実践への共感や取り組みのアイディアが出される等、相互援助的な関係が形成された。学校危機後の学級経営には、心理教育的な支援も行い、授業の観察やカウンセラーとの連携も行われ、配慮の必要な児童生徒への関わり方が明確化され、支援が進められた。教師や学級の状況の変化を捉えることができ、支援の具体化のために教師用RCRTの活用は有用であった。
著者
元村 直靖 石橋 正浩 瀧野 揚三 岩切 昌宏 下村 陽一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.151-165, 2005-02-21

オーストラリアにおける学校危機への対応について調査を行った。その結果,アメリカのシステムと比較するとオーストラリアのシステムは中央集権的であり,学校に基盤を置いた危機チームの制度はあるものの,資源や訓練は限られたものになっている。日本においても,早急に,実状にあった学校危機管理システムの構築が必要であると考えられる。