著者
岩本 洋子
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2014年度日本地球化学会第61回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.276, 2014 (Released:2014-09-12)

冬の日本海特有の現象である「波の花」に着目し、その化学成分を調べることで海洋から大気へ輸送される有機物の特徴の解明に取り組んだ。化学分析の結果、「波の花」はバルクの海水と比べ少なくとも100倍から300倍の濃度の有機炭素を含み、それらは脂質や糖類によって構成されることがわかった。
著者
服部 和裕 山本 明美 笹井 みさ 谷内 昇一郎 小島 崇嗣 小林 陽之助 岩本 洋 難波 恭子 八重島 智子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.20-30, 2003-01-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
27
被引用文献数
1

腸内にBifidobacteriumが少ないアトピー性皮膚炎患児15例を予備的な菌叢の検索から選択し,うち投与群8例に対してビフィズス菌凍結乾燥末(Bifidobacterium breve M-16V株)を経口投与した.腸内細菌叢の変動とアレルギー症状の推移を観察し,対照群7例と比較した.投与群では,ビフィズス菌末投与1カ月目の時点で,腸内のBifidobacterium占有割合の有意(P=0.0173)な上昇と,総好気性菌占有割合の有意(P=0.0499)な低下を認め,さらにアレルギー症状も有意(皮膚スコアでP=0.0176,総合スコアでP=0.0117)に改善した.一方,ビフィズス菌末の投与はアトピー性皮膚炎の症状改善を対照群に比較して有意に促進したが,自然排泄便を検体とした腸内細菌叢の変動と,アレルギー症状の推移の間には,明確な相関を認めなかった.
著者
栗嶋 クララ 桑田 聖子 金 晶恵 梁 明子 岩本 洋一 石戸 博隆 増谷 聡 先崎 秀明
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【背景】Fontan術後の高い中心静脈圧(CVP)はリンパの鬱滞を惹起し,リンパ浮腫やリンパ漏,酸化ストレスや炎症性サイトカインの活性化からFailing Fontanの病態に関与しうる.実際に我々は近赤外線カメラによる下肢のリンパ管投影にてリンパの鬱滞を呈するFontan患者が多数存在することを報告した.従って,リンパ鬱滞を改善するリンパマッサージはFailing Fontanの予防や治療の一つとなる可能性がある.しかし,リンパマッサージのFontan循環への影響は不明である.【目的】Fontan循環におけるリンパマッサージによる急性期の効果と血行動態学的変化について検討する.【方法】現在までに,説明と同意を得て,希望者にリンパマッサージを施行したFontan術後患者4名を対象とし,リンパマッサージ中に心拍数,血圧,心係数(CI),末梢静脈圧から算出したCVP,心拍変動解析を持続的にモニターし評価した.また,リンパマッサージ前後の血液量も比較検討した.【結果】リンパマッサージ前後で,交感神経系の活動(LH/HF)は抑制され,心拍数は著明に減少(mean 95→85bpm)し,収縮期血圧,CIも低下した(各々100→97mmHg,3.0→2.7L/min/m2).リンパマッサージは循環血液量の増加をもたらした(92→112ml/kg,Ht 44.0→43.2%,Alb 7.0→6.9g/dl)が,CVPは上昇しなかった(各々14→14,10→8,9→10,14→11mmHg).【考察】Fontan術後患者におけるリンパマッサージは,リンパの静脈への還流量増大に伴う体液量増加が,心拍数減少によるCI減少,静脈キャパシタンス増大により代償され,CVP上昇を伴わずに施行される安全な手技と思われる.従って,リンパマッサージはリンパ鬱滞の改善という直接効果に加え,交感神経抑制効果による心拍数減少,静脈キャパシタンスの増大(静脈機能改善)によりFontan術後患者の予後改善に寄与しうる非薬物療法としての可能性が示唆され,今後長期効果を含めた検討に値すると思われた.
著者
服部 和裕 山本 明美 笹井 みさ 谷内 昇一郎 小島 崇嗣 小林 陽之助 岩本 洋 難波 恭子 八重島 智子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.20-30, 2003
被引用文献数
1

腸内にBifidobacteriumが少ないアトピー性皮膚炎患児15例を予備的な菌叢の検索から選択し,うち投与群8例に対してビフィズス菌凍結乾燥末(Bifidobacterium breve M-16V株)を経口投与した.腸内細菌叢の変動とアレルギー症状の推移を観察し,対照群7例と比較した.投与群では,ビフィズス菌末投与1カ月目の時点で,腸内のBifidobacterium占有割合の有意(P=0.0173)な上昇と,総好気性菌占有割合の有意(P=0.0499)な低下を認め,さらにアレルギー症状も有意(皮膚スコアでP=0.0176,総合スコアでP=0.0117)に改善した.一方,ビフィズス菌末の投与はアトピー性皮膚炎の症状改善を対照群に比較して有意に促進したが,自然排泄便を検体とした腸内細菌叢の変動と,アレルギー症状の推移の間には,明確な相関を認めなかった.
著者
岩本 洋一 桑田 聖子 簗 明子 栗嶋 クララ 石戸 博隆 増谷 聡 先崎 秀明
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【背景】LaFargeの表は、統計から得られた式より年齢と心拍数から体表面積当たりの酸素消費量(VO2)を導き出す方法である。近年、先天性心疾患患者群において、LaFargeの式では、3歳未満の症例では、VO2を過大評価する、という報告が散見される。【目的】LaFargeの式の正確性並びに、年齢層による酸素需要の傾向を明らかにする。【対象】先天性心疾患を有し、当院において2013年6月から2014年12月までに心血管MRIと心臓カテーテル検査を受けた34名(平均年齢7.7±4.1歳)。【方法】心血管MRIの主要血管のphase contrast法から測定された心拍数(HR)を用いて、そのHRをLaFargeの式に当てはめたVO2値(LFVO2)と、心臓カテーテル検査時のSaO2値・SvO2値・Hb値とMRI検査時の体血流量を酸素需要式に当てはめる事によるVO2値(MRIVO2)とを比較・検討した。【成績】全症例におけるMRIVO2とLFVO2では相関が認められなかった(r=0.09, p=0.60)。年齢と、LFVO2とMRIVO2の比の相関関係は、弱い負の相関を示した(r=-0.24, p=0.15)。4.5歳未満の症例に限ると、LFVO2はMRIVO2より明らかに高値を示し、有意差が生じた(159.6 vs. 121.5, p<0.01)。4.5歳以上の症例に限ると、LFVO2とMRIVO2は弱い正の相関を示した(r=0.39, p=0.04)。また、Bland-Altoman解析では、VO2が低いとLFVO2が過大評価され、、VO2が高いと過小評価する傾向が認められた。【結論】LaFargeの式は、低年齢層には、不正確になる可能性が示された。今後MRIによる血流測定をもとにした簡便かつ正確なVO2予測式の確立を考える余地がある。
著者
田中 和幸 寺島 茂 岩本 洋 黒石 正子 山内 格
出版者
一般社団法人 日本超音波検査学会
雑誌
超音波検査技術 (ISSN:18814506)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.52-59, 2015

今回我々は,妊娠中期での胎児超音波スクリーニング検査にてまれな先天性奇形の一つとされる単眼症を強く疑う1例を経験したので報告する.症例は22歳女性(妊娠17週5日),妊娠歴は1経妊1経産.超音波検査で体幹は週数相応で異常を認めないが,頭部は小さく,大脳の位置する前頭部頭蓋内部構造は非対称性でやや偏位しmid line echoおよび透明中隔の描出は困難であった.また顔面には二つの眼球が接して存在し,前額部に長鼻構造を認め単眼症が強く疑われた.流産児は,顔面中央一眼裂内に二つの眼球が接した接眼と前額部に長鼻構造を認め,耳介は両側頭部下部に認めた.胎児染色体検査では異常は認められなかった.<br>本症例は顔面所見より単眼症が強く疑われ,小頭症,頭蓋内構造異常も認められた.単眼症の多くは自然流産すると考えられ出生はまれとされる.また出生できても予後は非常に不良とされる.成因については染色体異常も報告されているが詳細は不明とされる.本症例でも明らかな成因はなく,偶発的に発生したものと思われる.<br>生存の可能性がない単眼症を妊娠早期に診断できれば,早期に母体の負担を軽減することも可能となることから,これを十分に考慮した胎児超音波スクリーニング検査が重要と考える.