著者
島西 智輝 梅崎 修 南雲 智映
出版者
Business History Society of Japan
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.3-27, 2020 (Released:2022-12-30)

This study analyzes the growth of the largest industrial union in Japan, Zensen Domei(ZENSEN), from the postwar economic recovery era to Japan’s period of high economic growth, by using historical documents and union leaders’ oral histories. Although the number of employees in the textile industry shrank during the period of high economic growth, ZENSEN’s number of members clearly increased. This can be attributed to the collective organization of small and medium enterprise workers and workers in the downstream industry such as distribution. Three factors contributed to ZENSEN’s successful organization of workers. First, the organizational system was improved and centralized leadership was strengthened. Second, ZENSEN created an organizer department at its headquarters to centralize organizing activities. Third, a human resource development plan, an evaluation, and selection system were introduced to develop the organizers. In addition, ZENSEN used “enforcement and penalties” and “selective incentives” to maintain its expanded organization. In other words, ZENSEN severely penalized large company unions that dropped out of the united struggle and demonstrated the benefits of industrial policy, internationalization, information sharing, and human exchange to their company unions. As a result, in spite of the increase in the number of SME unions, large unions remained within ZENSEN. Although limited to the case of ZENSEN, currently known as UA ZENSEN, the findings confirm that industrial unions can mitigate the difficulty of union organization and weak labor-management bargaining power in small and medium enterprises.
著者
島西 智輝
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.161-177, 2009-02

衰退に直面した企業の事業多角化が遅滞した要因を解明することは,経営史研究の重要な課題のひとつである。しかし,先行研究では,①情報活動の立ち遅れ,②過去の成功体験から来る自己過信,③マネジメント・システムの硬直化の3 つの要因が指摘されているが,実証研究は蓄積されていない。そこで本稿は,戦後日本の大手石炭企業3 社によるセメント工業進出を事例として上記の課題を検討した。3社は石炭産業の衰退が顕在化する以前から石炭需要を拡大させる市場関連多角化のひとつとしてセメント工業進出を構想したが,資金・技術・販売面での制約に直面した。これらの制約を同業他社の経営資源に依存せず,企業集団メンバーの異業種企業との柔軟な協力関係を形成した企業が速やかにセメント工業進出に成功した。一方で,既存のマネジメント・システムを変革せず,同業他社への経営資源に依存し続け,かつ企業集団メンバーの異業種企業との協力関係も固定的であり続けた企業のセメント工業進出は遅滞した。なお,いずれの事例でも石炭需要を拡大させる市場関連多角化は早期に断念され,セメント工業そのものの育成が図られていた。以上より,先行研究の指摘する要因のうち①②は実証されなかったが,③が多角化をもっとも遅滞させた要因に近いことが実証された。吉田正樹教授退任記念号論文
著者
梅崎 修 田口 和雄 青木 宏之 島西 智輝 南雲 智映 鈴木 誠 谷合 佳代子 金子 良事 間宮 悠紀雄
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、労働史オーラルヒストリーの未調査の確認と新調査、方法の開発、史料館との連携を行った。第一に、過去の労働史オーラルヒストリーをリスト化した。また、新しい調査を実施し、そのすべてを冊子化した。第二に、米国で7か所、英国で数カ所のオーラルヒストリー拠点を訪問・交流し、その視察報告を作成した。また、学会にてオーラルヒストリーの方法論や教育に関する報告を行った。特にオーラルヒストリーの映像の扱い方について議論を深めた。第三に、大阪エルライブラリーにて労働史オーラルヒストリー・アーカイブというWEBサイトを作成した。現在著作権の許諾中であるが、2015年度中に公開予定である。
著者
中澤 秀雄 嶋崎 尚子 玉野 和志 西城戸 誠 島西 智輝 木村 至聖 大國 充彦 澤口 恵一 新藤 慶 井上 博登 山本 薫子
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

世界(記憶)遺産という側面から、あるいはポスト3.11のエネルギー政策という観点から「石炭ルネサンス」と言うべき状況が生まれているが、これを先取りして我々産炭地研究会は、「炭鉱の普遍性に基づく産炭地研究・実践の国際的なネットワーキング」を展望しながらも、まずは資料の収集整理という基礎固め作業を継続してきた。夕張・釧路の個人宅から炭鉱関係資料をサルベージして整理目録化を進行させていることを筆頭に、多数の資料整理・目録化に成功した。ネットワーキングの面では、全国の博物館・元炭鉱マン・NPO等と関係を確立し、主要な全産炭地を訪問して資料整理・研究の面でも協働した。