- 著者
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川中 豪
- 出版者
- 日本政治学会
- 雑誌
- 年報政治学 (ISSN:05494192)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.2, pp.2_152-2_176, 2018 (Released:2021-12-26)
- 参考文献数
- 34
本稿はシンガポールの一党優位支配を支える選挙システムに対する人々の評価に影響を与える社会経済的な属性を探るものである。検証には, シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院の政策研究所が2011年と2015年に実施した選挙直後の世論調査を使用する。選挙システムに対する見方に関し, 世代間亀裂, 所得格差, 教育レベルの相違, エスニシティといった四つの社会的な亀裂が影響を与えているとの仮説に基づき, 年齢, 所得, 教育レベル, エスニシティの四つの変数を独立変数とし, 選挙システムの公平性評価および選挙システムの維持に対する選好を従属変数として回帰分析を行った。結果として, 世代間の亀裂, 教育レベルの違いが統計的に有意なレベルで選挙システムの公平性, 維持に対する選好に影響を与えていることが分かった。一方, 所得格差の影響は頑強ではなく, エスニシティの影響も限定的だった。