著者
小野 英哲 河田 秋澄 宮木 宗和 川村 清志 小西 敏正 三上 貴正 橋田 浩 吉岡 丹
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.346, pp.1-8, 1984-12-30
被引用文献数
33

This paper presents the process of the development of the new slipperiness tester and the performance of it. Based on the concept of a new slipperiness tester reported in part 2, a tester (DRAG TYPE) of which details remained changeable and could be adjusted by the result of the later experiments was first developed. The result of measurement of many surfaces, namely, the pulling load-time curves were analysed to find the physical value which can indicate the degree of slipperiness, and coefficient of slip resistance (C.S.R.) was finally found. C.S.R is defined as Pmax/W; where Pmax is the maximum pulling load, W is the loading weight. Then, the each specification of the tester was able to determined in a certain way as C.S.R corresponds smoothly enough to the subjective slipperiness value on the sensory scale obtained in part 1. Moreover, even in matters of the test on powdery and oily surfaces which were similar to actual dusty and muddy wet ones, the smooth correspondence was also recognized. These results made clear that the newly developed tester can be regarded as appropriate for measuring the slipperiness of actual floors.
著者
川村 清志 葉山 茂 青木 隆浩 渡部 鮎美 兼城 糸絵 柴崎 茂光
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,被災地域における文化的支援が地域の生活文化の復旧に貢献しうるのかについての可能性を検討し,文化的支援の新たな可能性を、フィールドワークを通して検証することができた。東北地方太平洋沖地震後,有形・無形の文化財を救援してきた文化財レスキューは,改めて活動の意味・意義・活用が問われ,被災地の生活を再創造するための手法の確立が求められている。この要請から本研究は,レスキューした被災物についての知識の共有、活用を通じて,文化的支援のモデルを確立する。具体的には民俗学・文化人類学が被災地で果たす文化的支援モデルを構築し,地域文化へのアプローチの手段を深化させるものとする。
著者
川村 清志 小池 淳一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.214, pp.195-217, 2019-03-15

本稿は,民俗学における日記資料に基づく研究成果を概観し,その位置づけを再考することを目的とする。民俗学による日記資料の分析は,いくつかの有効性が指摘されてきた。例えば日記資料は,聞き取りが不可能な過去の民俗文化を再現するための有効な素材である。とりわけ長期間にわたって記録された日記は,民俗事象の継起的な持続と変容を検証するうえでも,重要な資料とみなされる。さらに通常の聞き取りではなかなか明らかにし得ない定量的なデータ分析にも,日記資料は有用であると述べられている。確かにこのような目論見のもとに多くの研究が行われ,一定の成果が見られたことは間違いない。ただし日記を含めた文字資料の利用は,民俗学に恩恵だけをもたらしてきたとは,一概にはいえない。文字資料への過度な依存は,民俗学が担ってきた口承の文化の探求とそこで紡がれる日常的実践への回路を閉ざしかねないだろう。そこで本稿では,これまで民俗学が,日記資料とどのように向かい合ってきたのかを問い直すことにしたい。民俗学者が,日記資料からどのようなテーマを抽出してきたのか,また,それらはどのような手順を踏むものだったのか,そこでの成果は,民俗学に対して,どのような展開をもたらし得るものであったのかを検証していく。これらの検証を通して,本論では日記研究自体が内包していた可能性を拡張することで,民俗学の外延を再構成し,声の資料と文字資料との総合的な分析の可能性を指摘した。
著者
川村 清志
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.165, pp.175-204, 2011-03-31

本稿は、近代日本の地域社会において、「民謡」が生成する一事例として、「こきりこ」を取りあげる。ただし、ここで扱う「民謡」は、前近代から伝えられてきた口頭伝承の一分野ではない。「こきりこ」は、富山県五箇山地方に伝わる民謡として、全国的に知られているが、近代以後にいったん廃れたものが、戦後になって再発見されたという経緯をもつ。その後、この民謡は、地域の保存会によって歌詞や踊りの形態が整えられ、多くのイベントに出演して知名度を増していった。つまり、「こきりこ」は、「伝統の創出」、あるいはフォークロリズム的な側面を色濃くもっているといえるだろう。しかし、ここで注目しておきたいのは、このような「創出」の過程でどのような人的な資源、文献や口頭の資料、多様なメディア網が駆使されたのかということである。それら近代的な諸制度の配置のなかで、この「民謡」にどのような言説が付与され、錯綜し、さらに剥離していったのかを検証することで、「民謡」の近代を考えていくことにしたい。以下では、まず、民謡が生成する背景、あるいは資源として存在していた近世の地誌類などの文献資料と、それらを再解釈して地域の「歴史」を構成しようとする郷土史家の存在に注目する。次に再発見の過程で生じた「民謡」という象徴資本を巡る地域間での競合的な側面を明らかにしたい。逆説的なことだが、これらの競合を通じて、「こきりこ」の踊りや歌詞、由来についての言説は、一貫した歴史性や物語性を獲得していったと考えられる。そのうえで、郷土史家のような地域の側の主張に呼応する中央の研究者の視点や、両者を巻き込みながら展開していった全国規模での民謡のリバイバルを促す運動についても確認することになるだろう。
著者
川村 清志
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.199, pp.143-169, 2015-12

本論は,近代日本において生地からの移動によって見いだされた故郷の物語が,現代においてどのように変貌し,実体と言説の境界面においてどのようなゆらぎを抱えているかを検討する。故郷を巡る物語は,様々なメディアのなかに表出され,出郷や離郷,場合によっては故郷喪失の経験をもつ多数の都市生活者の内面に刻み込まれてきた。そのような物語はいくつかの定型を構成しつつ,地方にとどまった者や地域間を往還する者たちにも受容され,変奏されて紡ぎだされていった。これまで故郷観や故郷の物語についての研究の多くは,都市に住む出郷者たちの社会組織や心性の問題として論じられてきた。しかし,本論では表象される側であった故郷において内在的に,あるいは相互交渉的に語られる故郷の物語に注目する。同時に現代において故郷からの移動の経験を身体化し,故郷と新たな生活の場としての「第二の故郷」との距離をはかりつつ生活する人びとによってどのように再構成されているのかに焦点をあてる。以上の目的を検証するために石川県輪島市門前町七浦地区にあった七浦小学校の同窓会の会誌を取りあげる。この同窓会は明治の終わりに成立して以来,本部を七浦地区におき,地元の卒業生と出郷者との交流を目的とした会誌を発行してきた。ここでは質量ともに会誌がもっとも充実していた1980年代中頃から90年代にかけての誌面に登場する記事の検証を行う。近代初期に移動によって生み出された故郷の物語が,世代を超えて続く地域間の往還の経験や,世帯や家格に関係なく生じる離郷経験のなかで,物語そのものの解体,ないしは内破にむかう可能性について考えていく。現実の故郷はひたすら過疎化し,高齢化していくなかで,故郷の物語がどのように語られていくのか,その徴候をこの時期の会誌から読み解いていきたいと考える。This paper analyzes how the hometown memories of emigrants who left their homes in modern Japan have changed in the present times and what differences exist between the memories and reality. Hometown memories have been expressed by various media and imprinted in the minds of many urban residents who left or lost their homes. While evolving into different forms, these memories have also been accepted and adapted by people who continued to live in their hometowns and who migrated between regions.Most prior studies on people's perceptions and memories of their hometowns focused on the social organizations and views of urban residents who emigrated from their homes; this paper is centered on how the people who continue to live in their hometowns create hometown memories by themselves or in interaction with emigrants. At the same time, this paper embodies the experience of emigration in the present times to analyze how people who are living in new places while keeping the balance between their original and second homes remember their hometowns.This paper examines some bulletins published by the alumni association of Shitsura Elementary School in Shitsura District, Monzen-machi, Wajima City, Ishikawa Prefecture, to analyze the above-mentioned points. Since its establishment at the end of the Meiji Period, the alumni association has placed its headquarters in Shitsura District and issued bulletins to facilitate communication between local alumni and those who emigrated from the district. This paper examines the articles of the alumni bulletins at their peak in quality and quantity, from the mid-1980s to the 1990s. The results are used to analyze the possibility that hometown memories created by migrants in the early modern times will be broken or imploded by the experience of migration between regions over generations or the experience of emigration that occurs regardless of the family rank or household they were born into. This paper analyzes the bulletins published when the population of the district was declining and aging to reveal how hometown memories changed in parallel with the process.
著者
赤間 亮 川村 清志 後藤 真 野村 英登 師 茂樹
雑誌
じんもんこん2004論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.259-267, 2004-12-09

このパネルディスカッションは、デジタルアーカイブに「人文系からの視点が欠けている」という本シンポジウムの問題意識を受け、その人文科学における意義を改めて問い直し、「真の活用」の道筋をさぐるための議論を行うことを目的とする。本稿は最初の師による問題提起に続けて、各パネリストのポジションペーパーを五十音順でならべている。