著者
長倉 淳子 重永 英年 赤間 亮夫 高橋 正通
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース 第114回 日本林学会大会
巻号頁・発行日
pp.443, 2003 (Released:2003-03-31)

スギとヒノキは日本の主要な造林樹種であり、スギは沢沿い、ヒノキは斜面中腹に植林するのが良い、とされてきた。このことは、スギは水要求度が高く、ヒノキは比較的乾燥に耐えるという樹種特性と、斜面上の水分傾度に基づいていると考えられる。しかし林地の斜面上には、水以外にも環境傾度が存在する。植物の生育に大きく影響を及ぼす窒素条件も斜面位置によって異なることが知られている。そこで本研究では、土壌水分と窒素がスギとヒノキの成長に及ぼす影響を明らかにするため、水分と窒素をそれぞれコントロールして苗木の育成試験を行った。森林総合研究所内苗畑において発芽させたスギ、ヒノキ当年生実生苗を、発芽から約1ヶ月後に赤玉土 (pH(H2O)=5.3)を培地とした1万分の1アールワグネルポットに一本ずつ移植した。約2ヶ月の予備栽培後、ポットを6群に分け、3つの窒素条件と2つの土壌水分条件(湿潤、乾燥)とを組み合わせた6つの処理を約3ヶ月行った(n=10)。窒素条件は培養液の窒素濃度を0.5、2、8mM(0.5N、2N、8N)と変えることによって設定した。窒素源には硝酸アンモニウムを用いた。水分条件は灌水間隔を変えることによって設定した。湿潤条件ではおよそ2日に一回の頻度で灌水し、育成期間中、最も乾燥した日で土壌含水比がθ=0.36(-0.005MPa)程度であった。一方乾燥条件ではθ=0.30(-0.06MPa)程度に乾燥した時点で培養液を灌水した。育成試験は自然光型育成温室で行い、温度25/20℃は、湿度は70/80%とした。育成期間中は経時的に主軸の伸長成長を測定した。処理開始から約7週間後に各処理半数の個体(n=5)について掘り取りを行い、その約5週間後に残りの個体も掘り取った。1回目の掘り取り後の約5週間は、各個体について蒸散量を重量法によって測定した。掘り取った個体は部位別の乾重、根元直径、苗高を測定した。各部位は粉砕して分析試料とした。これらの結果を用いて、個体乾重、R/S比(地下部乾重/地上部乾重)、育成期間後半の水利用効率(蒸散量あたりの乾物生産量)等を算出した。葉と根の窒素含有率をNCアナライザによって測定した。スギの乾物生産は窒素処理濃度の増加に伴って増加したが、水分条件による違いは有意でなかった。しかし、伸長成長は乾燥によって抑制された。一方、ヒノキの乾物生産は処理の影響は有意でなかった。ヒノキは伸長成長についても処理間差は明らかでなかった。スギ・ヒノキ共に乾燥処理によって相対的に根への乾物分配が増え、R/S比が増加した。R/S比は、両樹種とも乾燥処理内では窒素処理濃度が低いほど高かったが、湿潤処理内では窒素条件による違いはみられなかった。スギの水利用効率は、水分条件には影響されなかったが、窒素処理濃度の増加に伴って増加した。ヒノキの水利用効率は水分条件や窒素条件に対する一定の傾向がみられなかった。葉の窒素含有率は、両樹種とも窒素処理濃度の増加に伴って増加し、水分条件の影響は受けなかった。根の窒素含有率は両樹種とも窒素処理濃度の増加に伴って増加し、湿潤処理でやや高い傾向がみられた。スギは乾燥によって伸長成長が低下し、窒素処理濃度の減少によって乾物生産、水利用効率も減少した。一方、ヒノキは水分条件や窒素条件による伸長成長、乾物生産への影響は小さかった。これらのことから、スギはヒノキに比べ、窒素、水分条件に対する感受性が高いと考えられる。斜面下部に比べ、窒素や水分の少ない斜面上部における成長低下はヒノキよりもスギで大きいことが示唆された。
著者
直江 将司 阿部 真 田中 浩 赤間 亮夫 高野 勉 山崎 良啓 藤津 亜季子 原澤 翔太 正木 隆
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.34-40, 2017-02-01 (Released:2017-04-03)
参考文献数
32
被引用文献数
3

放射性セシウムの空間分布の実態を評価し,空間分布に影響している要因を検討することを目的として,2011年と2012年に茨城県北端の落葉広葉樹林内に61個のリタートラップを設置し,回収したコナラ落葉の放射性セシウム濃度を測定した。落葉の放射性セシウム濃度と落葉採取地点の斜面方位,傾斜度,落葉量の関係を調べたところ,2011年において,コナラ落葉の放射性セシウムの空間分布は一様ではなかった。東向き斜面の落葉の放射性セシウム濃度は西向き斜面の落葉のものよりも高く,また落葉量が大きいほど落葉の放射性セシウム濃度が高かった。2012年においても,空間分布の偏りは小さくなったものの同様な傾向がみられた。これらの原因としては放射性セシウムが原発事故時に大量放出された際の風向きが調査地付近では東風であったことなどが考えられた。
著者
金子 真司 後藤 義明 田淵 隆一 赤間 亮夫 池田 重人 篠宮 佳樹 今村 直広
出版者
国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.259-264, 2018 (Released:2018-11-15)
参考文献数
18

福島県十万山(浪江町・双葉町)の森林火災(2017年4月29日~ 5月10日)の延焼地において、火災直後に山頂部のアカマツ林と谷部のスギ林で樹木と土壌の試料を採取して放射性セシウム(RCs: 134Cs+137Cs)濃度を測定して火災の影響を調べた。樹木については、同一木の幹の燃焼側と非燃焼側から樹皮を採取した。土壌は燃焼地と隣接する非燃焼地から堆積有機物層と表層土壌を採取した。アカマツでは燃焼樹皮が非燃焼樹皮に比べて現存量とRCs 濃度とRCs 蓄積量が小さかった個体が存在した。また、アカマツ林、スギ林で調査したすべての堆積有機物層のRCs 濃度が燃焼箇所に比べて非燃焼箇所で高かった。
著者
李 康穎 Biligsaikhan Batjargal 前田 亮 赤間 亮
雑誌
じんもんこん2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.261-266, 2019-12-07

落款印は書や絵画の真贋を鑑定する上で重要な要素であるだけではなく,書画との調和美が意識され,芸術的な価値もある.落款印を対象にした自動認識システムの構築により,専門家や愛好家に対してこれらのコレクションが持つ背景情報の理解を支援するための効率的なツールを提供できる.本研究では,落款印画像を用いた検索システムの構築に注目し,複数のオープンデータの活用を考慮した浮世絵関連情報の抽出を試み,浮世絵コレクションの検索に新たな視点を提案する.
著者
清野 嘉之 赤間 亮夫 岩谷 宗彦 由田 幸雄
出版者
国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.195-211, 2019 (Released:2019-08-09)
参考文献数
39

2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故後、環境から樹木山菜への放射性セシウムの移行が調べられている。しかし、草本に比べ樹木の山菜の情報は少ない。事故により環境中に放出されたセシウム137(137Cs)は、自然物のセシウム133(133Cs)と異なり、生態系内でまだ平衡に達しておらず、分布は今も変化していると考えられる。生態系における137Csの現在の分布は、植物体内の分布を含め、133Csの分布パターンに近づいていく途中の姿であり、133Csの現在の分布や代謝特性を明らかにすることにより137Csの将来の状態を推定できると考えられる。そこで2015~2017年に福島県の6町村でコシアブラ (Eleutherococcus sciadophylloides) とその生育環境における放射性セシウム、133Csの現状を調べた。当年シュート (枝葉) 133Cs濃度は、土壌K+の濃度 (R2 = 0.2756, P = 0.023) や沈着量 (R2 = 0.3390, P = 0.011) と負の相関関係を持ち、リター133Cs (P = 0.425)、土壌133Cs+ (P = 0.751) 濃度とはあまり関係がなかった。リターから当年シュートへの137Csの面移行係数 (Tag) は、133CsのTagと正の相関関係 (R2 = 0.5748, P < 0.001) があり、133Csが移行し易い条件では137Csも移行し易いと考えられた。樹体内の器官を比較すると、137Cs/133Cs濃度比が葉や根皮では材や樹皮より小さい場合があった。今後、137Csが生態系内で平衡していくにつれ、前者は後者のレベルに上昇していくと考えられる。また、新芽の137Cs濃度は今後、土壌K+が高濃度の林地では低下し、低濃度の林地では上昇する可能性がある。本研究で示した知見や仮説を検証する、さらなる研究が必要である。
著者
赤間 亮 波多野 宏之 本間 友
出版者
アート・ドキュメンテーション学会
雑誌
アート・ドキュメンテーション研究 (ISSN:09179739)
巻号頁・発行日
vol.27.28, pp.18-33, 2020-05-31 (Released:2021-06-23)

本稿は、JADS 30周年記念企画行事 第12回秋季研究集会(2019年11月16、17日)の2日目に行われた鼎談の記録である。鼎談においては、JADS創設に関わった初代幹事長/初代会長・波多野宏之氏を迎え、JADSの歴史、アート・ドキュメンテーションの必要性、対象とするアートの範囲について活発な議論が交わされた。
著者
赤間 亮
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.181-186, 2015-04-01

立命館大学アート・リサーチセンターにおけるデジタル・アーカイブ事業では,デジタル化技術やデータベース開発を独自に行って来た。徹底した公開ポリシーを掲げて所蔵品を公開する一方,国内の自治体や大学,個人の所蔵品のデジタル・アーカイブを実施してきた。その後,海外に展開し,欧米の博物館所蔵の日本美術品・文化財を対象として,急速に進んでいる。現在は,古典籍に重点が移っているが,これはバンジーシステムの開発により,高速化が実現されたからである。また,現地の若手研究者とのコラボレーションと教育的効果を組込んだARC国際モデルが定着し,小さな組織ながらグローバルな展開が可能となっている。
著者
八村 広三郎 赤間 亮 吉村 ミツ 遠藤 保子 小島 一成 崔 雄 丸茂 美恵子 中村 美奈子 阪田 真己子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は,舞踊における身体動作の計測と保存のためのアーカイブ技術,およびそのデータに対する数量的解析を行うことを目的としている.ここでは,デジタル画像処理技術で身体動作を精密に計測できる光学式モーションキャプチャ・システムを利用して,舞踊の身体動作データを取得する.キャプチャして得た各種の舞踊動作データを保存し,これを各種の解析や情報処理において活用する。さらに,動作データは解析や処理の研究に使うだけでなく,CGなどでコンテンツとして作成し,教育や広報活動の素材としても利用する.また,新しい芸術表現の可能性を探るものとして,これらのCGによる舞踊動作の表示を,仮想現実感(バーチャルリアリティ:VR)の環境下で活用することも視野に入れて研究活動を行ってきた.解析の結果や,CG・VRでの表現は,舞踊研究者,舞踊家,芸能研究者など,いわゆる文系の研究分担者へフィードバックし,さらに高度で,よい解析結果や,新しい表現の創出を心がけてきた.このように,このプロジェクトの研究は,単に理が文を支えるということだけではなく,文一理の間で情報を巡回させることにより,より深い成果を得るという形を重視してきた.期間内に対象とした舞踊は,日本舞踊と能楽が中心であったが,そのほかにも,アフリカの民族舞踊なども扱った.また,舞踊の種類には限定されないが,一般的に,舞踊という身体表現,あるいは日常動作をも含む身体動作に共通の動作解析手法,たとえば動作のセグメンテーション,動作や動作者の識別,身体動作の類似検索などの手法についても研究を行った.舞踊動作の質を評価する試みとして,舞踊の中の特徴的動作の抽出やラバン動作解析の手法による,動作の評価を行った.さらに,筋電図などの生体情報とモーションキャプチャによる動作データとの同時計測を可能にし,これらに基づいて熟練者と初心者の違いについて明らかにした.
著者
重永 英年 長倉 淳子 高橋 正通 赤間 亮夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース 第114回 日本林学会大会
巻号頁・発行日
pp.444, 2003 (Released:2003-03-31)

高CO2濃度は植物の成長を促進するが、その程度は栄養状態に左右され、特に窒素が十分でない場合には高CO2の効果が低減することが知られている。CO2濃度上昇が植物の生育におよぼす影響を評価する際には、窒素と高CO2濃度との相互作用を実験的に明らかにするとともに、自然環境下では、植物がどのような窒素の栄養状態にあるのかを把握する必要がある。また、温暖化にともなう気温の上昇は、土壌の養分環境を変化させ、植物の栄養状態に影響をおよぼす可能性が予想される。 葉の窒素含有率は、植物の生育にとって窒素の過不足を表す指標として利用され、光合成速度と密接な関係があることから、モデルのパラメータとして用いられることも多い。本研究では、全国から採取されたスギ針葉の窒素含有率を調べ、平均値とその度数分布を明らかにし、窒素栄養の状態を評価すること、温度環境と針葉窒素含有率との関係を検討することを目的とした。 窒素含有率の測定には、1990年から1994年にかけて林野庁によって行われた「酸性雨等森林被害モニタリング事業」で採取されたサンプルを用いた。上記事業では、全国を20km×20kmのメッシュに区分し、陸地が全体の4分の1未満の場合等を除いた1,033の地理区画ごとに調査地が設定され、林分調査、雨水、土壌の成分分析等が実施された。各地点では、原則として、調査地内の優勢木を対象とし、8月から10月の期間に樹冠上部の当年葉が採取されている。スギ針葉は、香川県と沖縄県を除く45都道府県の500以上の地点から採取された。調査林分の林齢は20から40年生が約8割を占める。針葉の窒素含有率は、CNコーダを用いて定量した。 各調査地の表層土壌の窒素含有率、同C-N比については上記事業のデータを、年平均気温についてはメッシュ統計値(気象庁監修 (財)気象業務支援センター,1996)を利用した。531地点の針葉窒素含有率の度数分布は、正規分布型を示し、平均値は14.0mg gDW-1、標準偏差は2.4mg gDW-1であった。スギ壮齢林の場合には、針葉の窒素含有率が12mg gDW-1未満で成長不良、15mg gDW-1以上で成長良との報告がなされている。本結果では、針葉の窒素含有率が15mg gDW-1以上の地点は全体の3割以上を占め、12mg gDW-1未満の地点は2割に満たない。調査地の設定にあたり、生育不良な林分は選定されていない可能性があるが、針葉の窒素含有率から判断すれば、窒素が大きく不足しているスギ林は多くはないと考えられる。また、スギ苗木では、針葉の窒素含有率が約15mg gDW-1までは光合成速度は増加するが、それ以上では飽和することが知られている。針葉窒素含有率のモードは14から15mg gDW-1にみられ、この値は光合成にとって過不足の無い最適な窒素含有率に近かった。 表層土壌のC-N比を4水準に区分し、各区の針葉窒素含有率を比較すると、C-N比が高い区では針葉の窒素含有率が低い値をとった。年平均気温によって区分した場合は、針葉の窒素含有率は、9.5℃未満の地点では13.6mg gDW-1、14.5℃以上の地点では14.2mg gDW-1と、年平均気温が低い区で値が低い傾向がみられた。低温環境では、表層土壌の窒素含有率、同C-N比が高い値を示しており、土壌有機物の分解が抑制され、窒素の可給性が低いことが、上記の結果と関係していると考えられる。このように、温度環境に対して針葉の窒素含有率は変化する傾向があるものの、その変化量自体は非常に少なかった。温暖化による気温の上昇により土壌の養分環境が変化したとしても、スギ針葉の窒素含有率は大きくは変化しないことが予想される。
著者
秋山 仁志 坂元 麻衣子 赤間 亮一 安藤 文人 髙橋 幸裕
出版者
日本歯科医学教育学会
雑誌
日本歯科医学教育学会雑誌 (ISSN:09145133)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.27-34, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
9

抄録 日本歯科大学生命歯学部では, ICTを活用して最新の医療情報を収集, 分析, 評価する方法およびモラルに則って効果的に利用する技術や表現方法を含む能力を修得するため, 第1学年前期に歯科医療情報学実習を行っている. 第1学年学生は, G-suite, Moodleの利用方法, 情報倫理, 教育著作権, タッチタイプ習得, 画像処理法, データ分析, プレゼンテーション実践, 文書作成, ICTを用いた遠隔共同作業, インターネットによる歯科医学情報の収集を履修する. 「インターネットによる歯科医学情報の収集」 において, 第1学年学生はパソコンルームにて時間配分に従い与えられた5つの課題に対して初めて扱う医学中央雑誌Web (医中誌Web), PubMedを使用し, インターネットを利用して歯科医学情報を収集した. 学生は得られた情報と与えられた課題に適した文献1つを配布用紙に記載して提出した. 終了後に実施した学習後のフィードバックアンケートでは, 「インターネットによる歯科医学情報の収集の仕方が理解できた」 が98.4%, 「インターネットにより的確に調べることができると思う」 が94.6%, 「PubMedで文献を検索することができた」 が82.9%, 「医中誌Webを用いて文献を検索することができた」 が96.9%であった. 本実習により医中誌Web, PubMedを利用したインターネットによる歯科医学情報の収集は, 第1学年学生の歯科に対する意識の向上に有効であることが示唆された.
著者
赤間 亮 Tomsen Hans 松葉 涼子 李 増先
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

欧州の5か所の所蔵機関が所蔵する浮世絵・絵入版本のカタログを目標に開始したが、最終的に欧州9か国30機関の作品デジタル化とカタロギングを実施し、大部分の作品は、「ARC浮世絵ポータルDB」「ARC古典籍ポータルDB」にそれぞれ搭載され、許諾を得られた組織については、一般公開を行っている。また、自前のコレクション・オンラインDBを運用している機関は、そこからも本研究の成果が発信されている。対象国は以下の通り。チェコ共和国(3機関)、ギリシャ(1機関)ドイツ(4機関)、イタリア(6機関)、英国(7機関)、ベルギー(1機関)、スイス(6機関)、オランダ(1機関)、アイルランド(1機関)。
著者
金子 真司 後藤 義明 田淵 隆一 赤間 亮夫 池田 重人 篠宮 佳樹 今村 直広
出版者
国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.259-264, 2018

福島県十万山(浪江町・双葉町)の森林火災(2017年4月29日~ 5月10日)の延焼地において、火災直後に山頂部のアカマツ林と谷部のスギ林で樹木と土壌の試料を採取して放射性セシウム(RCs: <sup>134</sup>Cs+<sup>137</sup>Cs)濃度を測定して火災の影響を調べた。樹木については、同一木の幹の燃焼側と非燃焼側から樹皮を採取した。土壌は燃焼地と隣接する非燃焼地から堆積有機物層と表層土壌を採取した。アカマツでは燃焼樹皮が非燃焼樹皮に比べて現存量とRCs 濃度とRCs 蓄積量が小さかった個体が存在した。また、アカマツ林、スギ林で調査したすべての堆積有機物層のRCs 濃度が燃焼箇所に比べて非燃焼箇所で高かった。
著者
赤間 亮 川村 清志 後藤 真 野村 英登 師 茂樹
雑誌
じんもんこん2004論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.259-267, 2004-12-09

このパネルディスカッションは、デジタルアーカイブに「人文系からの視点が欠けている」という本シンポジウムの問題意識を受け、その人文科学における意義を改めて問い直し、「真の活用」の道筋をさぐるための議論を行うことを目的とする。本稿は最初の師による問題提起に続けて、各パネリストのポジションペーパーを五十音順でならべている。
著者
清野 嘉之 赤間 亮夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.97, no.3, pp.158-164, 2015-06-01 (Released:2015-08-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

茨城県内の二つのフキ栽培地 (HO 区,TS 区) で 2013 年 3~10 月, 2014 年 3~7 月に月 1 回地上部を採取し, 2014 年 3 月にリターと表層土壌 (0~5 cm) を採取して放射性 Cs 濃度を調べた。葉の 137Cs 濃度はフキノトウが存在する 3 月に高く, 葉のバイオマスが多くなる 5 月には低下した。その後は, 葉の成長が衰える盛夏までに HO 区では増加し, TS 区では顕著な増加は起こらなかった。葉の 40K 濃度は両区であまり変わらず, 3~7 月に漸増した。両区の空間線量率や [リター+表層土壌] 中の放射性セシウム量に特段の違いはなかったが, HO 区には上木があり, リター量やリター中の 137Cs 量が TS 区の約 3 倍あった。葉の 137Cs 濃度の季節変化の違いに栽培地間の上木とリターの状態の違いが関係している可能性がある。
著者
赤間 亮 水田 かや乃 神楽岡 幼子 黒石 陽子 池山 晃 野口 隆 齊藤 千惠
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、日本近世演劇の基盤研究として近世期に出版された「役者評判記」を対象に、研究資料として正確な翻刻本文を作成し、それを使ったデータ・ベースを構築しようとするものである。今回の研究期間においては、いわゆる第三期(安永年間から享和年間まで)の役者評判記について、正確なデジタル翻刻本文を完成させるべく、研究協力グループも組織しながら大きく作業を進展させた。新時代の翻刻凡例を策定し、それに則った本文の調整、諸本を対照して、諸本確認翻刻(C翻刻)までの作業を実施した。また、役者移動DBを代表に、評判記を校正する情報データ・ベースの集合体をWEB上に展開し、海外の歌舞伎研究者の利用も想定した役者評判記の閲覧・検索システムによる、デジタル歌舞伎情報書庫を完成させるための作業を展開した。外題・人名・用語索引については、いわゆる手作業の線引は行わず、統合的な用語索引のシステムの実験を行った。役者評判記デジタル閲覧システムの原本閲覧システムを運用継続しながら、翻刻本文とのレイヤー化が実験された。検索された用語から、「歌舞伎興行年表」や「歌舞伎人名DB」「歌舞伎外題DB」「登場人物DB」「歌舞伎用語DB」へと連動が可能となった。また、今回の研究成果として、第三期以降の評判記の需要や地方への伝播について、あらたな視点による研究論文集をまとめた。
著者
中本 大 赤間 亮 赤間 亮 冨田 美香
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、立命館大学アート・リサーチセンターに寄贈された近世絵入版本を中心とする作品の基礎的研究を行い、展覧会の開催、ならびにその目録化を推進した。研究協力者を含めた研究会活動により、カタロギングのための情報収集と情報の共有化に研究の重点がおかれ、その成果として詳細な書誌目録としての報告書を世に送り出すこととなった。とくに絵入本の内、希少価値が高いもの、歴史上意義の高いものについて、目録とは別に、詳細な解説を付し、挿絵入りの解説が実現できている。本コレクションは、江戸絵入本のジャンルを広くカバーしており、価値が高いものであるが、残念なことに、林美一氏の自宅に保管されていた段階で虫損被害が進み、保存状態としては、劣悪なものである。本研究では、こうした状態の悪い古典籍の修復をも兼ねてしかも、修復を終えたものをデジタル画像で発信するという、公開型の研究を実施した。さらに、本コレクションの整理分類をするなかで、林美一氏が京都在住時代に映画会社大映京都に働き、また江戸研究家として独立し、時代考証により映画制作に関った経緯があるために、大量の映画スチル写真を持っていることがわかり、その目録化も鋭意進めることとなった。残念ながら、研究期間内では、完全な目録としては上梓できなかったが、日本映画のスチル写真データベースとして研究利用が可能となった。また、本報告書は、現代の情報発信技術に照らし合わせて、印刷物としてのみ提供するに不足を感じるものであり、別途WEBサイトにより、冊子では提示できなかった解説情報も含めて公開することになる。URL : http://www.arc.ritsumei.ac.jp/db1/arcsyoseki/search.htm