- 著者
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木村 充
亀谷 真実
梶丸 弘幸
園山 裕靖
- 出版者
- 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
- 雑誌
- 医学検査 (ISSN:09158669)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.4, pp.781-785, 2019-10-25 (Released:2019-10-25)
- 参考文献数
- 7
術後感染症予防の為セフェム系抗生物質を投与した患者において,ビタミンK欠乏による血液凝固障害が見られた症例を経験した。術後よりセフォペラゾンとスルバクタムの合剤の投与を開始し,5日目にプロトロンビン時間(prothronbintime; PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastintime; APTT)の異常延長を認めた。クロスミキシング試験,凝固第VIII因子,第IX因子等の検査結果より,ビタミンK欠乏症が疑われた。凝固障害判明後ただちに,ビタミンKの投与,抗生物質の変更が行われ,翌日にはPT,APTTは改善し出血症状は確認されなかった。ビタミンK欠乏の原因としては,食事由来のビタミンK不足,一部のセフェム系抗生物質に含まれるN-methyl tetrazole thiol基(NMTT基)によるビタミンK代謝障害などが考えられた。重症患者,特に経口摂取不良の患者には,凝固異常の可能性を考慮して定期的な凝固検査の実施や,ビタミンKの予防投与も視野に入れる必要がある。