著者
加納 圭 後藤 崇志 塩瀬 隆之
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.77-85, 2020 (Released:2020-07-09)
参考文献数
24

Of recent, cross-curricular education has achieved greater importance. The present research aimed to obtain the psychometric properties of the nationwide achievement assessments on science, reading and mathematic literacy by analyzing the response data provided by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology in Japan. The data includes all of the sixth grade (1,066,295) students in Japan in the 2018 academic year. We randomly picked up 500,000 students from the data set. The results of a factor analysis showed that the science assessment test might be assessing a combination of reading skills, mathematics skills and scientific skills, although the reading and mathematics test assessed each skill specifically. To obtain a more detailed picture, we compared the correct answer rates among 4 groups of students; the higher-scientific-higher-reading skills group, the higher-scientific-lower-reading skills group, the lower-scientific-higher-reading skills group and the lower-scientific-lower-reading skills group. The results suggested that all questions in the science assessment tests required reading skills. Moreover, in some questions, reading skills could complement scientific skills to answer them. These results suggest that we should be careful when dealing with the science assessment test; instead of just using the answer rate as the index of scientific skills, it would be better to use a weighted factor score in order to find out more about students’ achievements by assessing three skills independently.
著者
安斎 勇樹 塩瀬 隆之 山田 小百合 水町 衣里
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Suppl., pp.97-100, 2013-12-20 (Released:2016-08-10)

本研究の目的は,視覚障害者をリードユーザーとしたインクルーシブデザインワークショップにおいて,障害者に対する晴眼者の先入観を取り除き,共感的理解を持ちながらコミュニケーションを取ることができるようなアイスブレイク手法を提案することである.「視覚が奪われた状態で,リードユーザーが日常経験するような生活作業に取り組み,リードユーザーから支援を受ける」というアイスブレイク手法を考案し,この手法に基づく場合とそうでない場合の参加者の発話を比較したところ,考案した手法に一定の効果があることが示された.
著者
水町 衣里 磯部 洋明 神谷 麻梨 黒川 紘美 塩瀬 隆之 堂野 能伸 森 奈保子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.289-290, 2011
参考文献数
2

大学教職員や大学生が,小学校,中学校,高等学校の教員と共同で開発した『宇宙箱舟ワークショップ』は,「宇宙に引っ越しするならどんな生き物を連れて行く?」というある種極端な舞台を設定しながら,普段の生活の中では見えにくい現代の問題をみんなで考えるという教育プログラムである.本稿では,この多様な答えを許容する教育プログラムの開発過程を報告する.
著者
塩瀬 隆之 加納 圭 江間 有沙 工藤 充 吉澤 剛 水町 衣里
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2016-EC-39, no.6, pp.1-4, 2016-03-09

協力型ボードゲームの舞台は 「制度疲労を起こした縦割り組織」.プレイヤーはその一員となり,次々と発生するハプニングを処理し,新人を鍛え,他部署の人間と情報やリソース共有しながら,全員で事業成立を目指す協力ゲームである.しかし,現実世界の協力の困難さを表す意味で,ボードゲームの中でも情報共有のチャンスはあえて希少に,協力型ボードゲームに不慣れな日本人には全員達成という終了条件そのものの難易度も高い.この困難を乗り越えた協力・対話スキルの獲得こそ,組織間の利害関係や専門家-非専門家の知識格差などの見えない壁の克服に寄与するとして,筆者らが社会対話技術研究の一環としてボードゲーム開発に取り組んだ過程について報告する.
著者
安斎 勇樹 平野 智紀 山田 小百合 塩瀬 隆之
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.27-38, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
15

本研究は,視覚障害者を対話のパートナーとした場合の美術鑑賞において,鑑賞の深まりのメカニズムについて明らかにした。実際に視覚障害者をサブナビゲイターとした対話型鑑賞の実践を行い,発話データの分析を行ったところ,視覚情報を共有出来ないがために,美術作品に関する精緻な言語化が動機付けられ,それに伴って精緻な観察が促されることが明らかになった。また,そうして説明された情報に対して,視覚障害者が素朴な疑問を繰り返し投げかけることによって,作品に対する解釈の前提が揺さぶられ,新たな作品の見え方が導かれていたことが明らかになった。また,考察の結果,視覚障害者を対話のパートナーとした美術鑑賞を実施する上では,事前に観察の結果を対話によって共有しやすい作品を選定すること,そして当日は作品鑑賞の時間を十分に確保し,鑑賞中には作品の細部だけに焦点が当たりすぎないようにナビゲイトを工夫するなどの注意点が示唆された。
著者
塩瀬 隆之 岡田 美智男 椹木 哲夫 片井 修
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.66-76, 1999-03-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
9
被引用文献数
1

According to a study of Situated Cognition, learning for individuals is not valid until they join into practice and acquire their own roles under the social environment. We call such a capability “sociality”, a capability of finding its own role or niche in the social environment through interactions with their restricted neighbors. Our main purpose in this paper is to clarify an emergent mechanism of such “sociality” from the viewpoint of a multiagent study. In this paper, we emphasize that the emergence of “sociality” seems to depend on the dual capabilities of an individual's referencing; self-referential and social-referential abilities. In addition, we present a learning model of an agent having such dual capabilities as a Bi-Referential Model, in which each referencing capability is implemented by an evolutionary computation method of classifier system. Finally we present simulation results obtained by the proposed Bi-Referential Model and discuss the relation between the emergent process of “sociality” and the changes of resources that are commonly available to the agents.
著者
嶋本 正範 谷口 忠大 大矢 智子 塩瀬 隆之 川上 浩司 片井 修
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.661-661, 2007

社会的生活の本質が他者との相互作用であると考えに基づき,ゲーム理論は社会的構造や社会的変化の研究に微視的な基盤を与えるものとして盛んに研究が行われた.しかし,実際に人間がゲームにおいてどのように振舞うかという研究分野である実験ゲームでは,ゲーム理論で仮定されているような合理的な行動を人間はとらないことが知られている.近年,このような人間の非合理的な行動などが行動経済学などの分野によって注目されるようになってきた. 本研究では,意思決定という行動のインタラクションだけでなく,ゲーム理論では取り扱われなかったコミュニケーションに着目し,ネットワークの構造によっておこる,局所的なコミュニケーションが人間の意思決定にどのような影響を与えるかを,ネットワーク構造の形態によって分析する.
著者
松本 光太郎 岡田 美智男 麻生 武 小嶋 秀樹 浜田 寿美男 塩瀬 隆之 塚田 彌生
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

当研究プロジェクトでは、ロボットが人間の実生活に入り込んできたときに生まれる行為を中心に、ロボット研究者および心理学者を中心とした学際研究を行った。成果として、(1)当メンバーが編集・執筆を担当した書籍1冊『ロボットの悲しみ:人とロボットの生態学にむけて』(新曜社、印刷中)、(2)学会シンポジウム主催2件(日本発達心理学会、日本質的心理学会)、(3)学会個人発表2件(EDRA、日本発達心理学会)が確定している。また、これまでの成果をまとめた論文を査読付雑誌に投稿することを計画している。
著者
塩瀬 隆之 川上 浩司 片井 修
出版者
脳機能とリハビリテーション研究会
雑誌
脳科学とリハビリテーション (ISSN:13490044)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.7-13, 2008 (Released:2018-11-13)

製造業, 伝統産業, 医療現場を問わず, あらゆる局面の最後にその成否を左右するのは, 円熟したベテランがもつ卓越した技である. この熟練の技が, いま失われようとしている. 2007年問題として知られる団塊世代の大量退職や, 構造的な後継者不足, 慢性的な人手不足を背景に, それら熟練の技を次世代に伝える方法の模索が急務である. しかし, 熟練の技は言葉にすることが難しく, また安易な形式化によりその価値が失われることも危惧される. 翻って徒弟制度やOJT(On the Job Training)に対する期待が高まるものの, 無責任に見習いを現場に放り込むこととの明確な差異を見いだせずにいる. 本稿では, 技能を形式化することの功罪, 徒弟制度の功罪を整理し, 技能継承を成功裏に進めるために, 技能を伝える側/受け取る側のそれぞれが意識すべき点を考察する.
著者
宮本 一巧 塩瀬 隆之 阪上 雅昭
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2B2OS19a04, 2018 (Released:2018-07-30)

理学療法士,作業療法士が治療の中で行う「ハンドリング」は,経験主義的な部分が多く,その技術を他者に伝達していくには困難を伴う.本研究は,リハビリテーション領域での患者の起立動作の治療に対するハンドリングにおいて,熟練者が持つ特徴と,そこから推測可能な「コツ」を検討した.対象はセラピスト役として18年目の作業療法士 (以下,熟練者)と作業療法学科学生の2名,患者役として仮想片麻痺者を想定した健常者2名とした.熟練者は患者との距離を大きくとりながらも,終始,セラピストと患者の距離間を一定にすることで起立動作に重要な前方への運動を誘導していたことが示唆された.その特徴を支持していたのは上肢運動の自由度を抑え,下肢運動の自由度を大きくするという全身の協応構造にあった.一方,このような身体構造は古武術などの武術的な身体運動の特徴にも見られる.そこで,古武術的な要素を取り入れた他者の上体起こしと一般的なそれを比較した結果,古武術の方が,頭と肩・肘・手との距離を小さくして身体操作を行っていた.
著者
塩瀬 隆之 後藤 崇志 加納 圭
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 42 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.61-62, 2018 (Released:2019-06-14)
参考文献数
5

本稿は,科学的リテラシーに必要な「認識に関する知識」を評価するために、どのような項目が必要かを特定するため、PISA 型の過去問について回答理由まで掘り下げた追加設問への回答傾向から偽陽性、偽陰性の傾向を分類、どのような項目候補が想定されるか、調査結果について概説する。
著者
安斎 勇樹 塩瀬 隆之 山田 小百合 水町 衣里
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.97-100, 2013

本研究の目的は,視覚障害者をリードユーザーとしたインクルーシブデザインワークショップにおいて,障害者に対する晴眼者の先入観を取り除き,共感的理解を持ちながらコミュニケーションを取ることができるようなアイスブレイク手法を提案することである.「視覚が奪われた状態で,リードユーザーが日常経験するような生活作業に取り組み,リードユーザーから支援を受ける」というアイスブレイク手法を考案し,この手法に基づく場合とそうでない場合の参加者の発話を比較したところ,考案した手法に一定の効果があることが示された.