- 著者
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後藤 一成
崔 鳥淵
大山 卞 圭悟
高松 薫
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育学会
- 雑誌
- 体育学研究 (ISSN:04846710)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.4, pp.383-393, 2003-07-10 (Released:2017-09-27)
- 被引用文献数
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本研究では,レジスタンス運動における代表的な負荷方法であるStrength-up type(S-type)の運動とBulk-up type(B-type)の運動と負荷特性の相違を,動作中の筋放電量(実験A)と運動後の成長ホルモンの分泌量(実験B)の両面から検討することを目的とした。実験A,Bともに,被験者には健常な一般成人男性8名を用い,S-typeの運動とB-typeの運動をそれぞれ異なる日に行わせた。運動には,実験Aでは片脚による膝伸展運動を,実験Bでは両脚による膝伸展運動を用いた。実験A,Bともに,S-typeの運動においては1RMの90%の負荷を,セット間に3分間の休息をはさんで5セット行わせた。これに対して,B-typeの運動においては,1-3セットは1RMの80,60,40%,4-6セットは70,50,40%,7-9セットの間には30秒間,3-4,6-7セットの間には3分間の休息をはさんで,合計9セット行わせた。両運動ともに,いずれのセットにおいても動作は可能な限り反復させた。主な結果は以下の通りである。(1)各セットにおける反復回数は,S-typeの運動では3-8回の範囲にあったが,B-typeの運動では8-24回の範囲にあった(実験A,実験B)。(2)各セットにおける大腿直筋,外側広筋,内側広筋の%mEMGを平均化した値は,S-typeの運動では等尺性最大筋力発揮時の値とほぼ同様の水準が維持されていたのに対して,B-typeの運動では,3セットごとにみるとセット数が進むにつれてて低下したが,9セット全体でみると徐々に増加する傾向が認められた(実験A)。(3)各セットにおけるFmeam/%mEMGは,s-typeの運動ではいずれのセットにおいても一定の水準が維持されていたのに対して,B-typeの運動ではセット数が進むにつれて大きく低下する傾向が認められた。(4)運動後の血清成長ホルモン濃度は,B-typeの運動がS-typeの運動に比較して著しく上昇し,両運動間には運動後のいずれの時間においても有意差が認められた(実験B)。また,血中乳酸濃度も,B-typeの運動がS-typeの運動に比較して高値を示した(実験A,実験B)。(5)運動後における大腿囲の増加率は,B-typeの運動がS-typeの運動に比較して有意に高値を示した(実験A,実験B)。(6)運動後におけるMVCおよびMRFDの減少率は,いずれもB-typeの運動がS-typeの運動に比較して有意に高値を示した(実験B)。上述の結果は,S-typeの運動とB-typeの運動における負荷特性には,神経系の改善と筋肥大に関連した要因から見てきわめて大きな相違があること,およびこれらの相違が両運動のトレーニング効果の差に影響を及ぼす可能性があることを示唆するものである。