著者
越智 英輔 中里 浩一 石井 直方
出版者
明治学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、スポーツ現場において頻発する肉離れ損傷のメカニズムを解明することを目的とした。ラットエキセントリック筋収縮装置を用いて様々な条件下で筋損傷を誘発した結果、骨格筋萎縮を伴う比較的重度の肉離れ損傷モデルを作成することができた。さらに、タンパク質・遺伝子発現を検討した結果、修復に伴いミオスタチン・タンパク質分解系シグナル発現が増加し、骨格筋萎縮・結合組織瘢痕化への関与が示唆された。
著者
高松 薫 石井 直方 田中 喜代次 後藤 一成
出版者
流通経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、有酸素運動の途中に休息を挟みながら間欠的に行う「分割法」による運動が、糖・脂質代謝や体組成に及ぼす影響を検討した。その結果、「分割法」による運動は休息を挟まずに行う「連続法」による運動に比較して、脂質代謝の亢進に対する効果が大きいこと、食後における血中グルコース濃度の調節に有効であること、長期のトレーニングに伴う体脂肪量の減少や体力の改善に対する効果の大きいことが明らかになった。
著者
石井 直方 中里 浩一 越智 英輔 禰屋 光男
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

筋肥大を引き起こさない低負荷強度での上腕筋群のレジスタンストレーニングを、筋血流制限下での大腿筋のレジスタンストレーニングと組み合わせると、上腕筋群にも筋肥大が生じる(筋肥大の「交叉転移」: Madarame et al., 2008)。本研究では、この交叉転移における循環因子の役割を調べるために、ヒトおよびラットトレーニングモデルを用いて実験を行った。ヒトを対象としたトレーニング実験から、この交叉転移は、一般的な高負荷強度トレーニングによっても起こることが分かった。さらに、運動前後の血清をプロテオーム解析によって比較し、量的に差異のある複数の成長因子を同定した。一方、高強度トレーニングを負荷したラットの血清を培養筋芽細胞に添加したところ、筋タンパク質合成に関与するシグナル伝達系の活性化が見られた。これらの結果は、何らかの成長因子が循環因子として筋肥大の交叉転移に関わっていることを示唆する。
著者
小嶋 泰平 檜山 敦 小林 謙次郎 神山 祥子 石井 直方 廣瀬 通孝 秋山 弘子
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.273-281, 2016 (Released:2016-09-09)
参考文献数
18

In a hyper-aged society, health promotion for middle-aged and older people—especially women—became a serious social issue. Health promotion is highly important from the viewpoint of reducing healthcare cost and improving QOL. Among a variety of health promotion approaches, we especially focused on health promotion by exercises. Resistance training is regarded as one of the effective health promotive exercises. However, resistance training will not effectively work if the training is done with wrong postures and speed. In this paper, we propose a VR system that supports to perform correct exercises without relying on training instructor. Specifically, we developed a visualization system that superimposes the postures of the training instructor and trainee in a 3D virtual environment and helps the trainee to learn resistant training in the right manner.
著者
石井 直方 中里 浩一 佐々木 一茂 小笠原 理紀 田村 優樹 越智 英輔
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

加齢性筋減弱症 (サルコペニア)に伴う速筋線維特異的萎縮と線維数減少、結合組織増生などの質的変化の機序はいまだ不明である。本研究では、サルコペニア動物モデル、およびヒトを対象とし、筋線維タイプ、ミトコンドリア、筋サテライト細胞、運動神経、結合組織における質的変化とその要因に関する知見を得るとともに、それらに対するレジスタンス運動の効果を検証する。
著者
小谷 鷹哉 田村 優樹 中里 浩一 石井 直方
出版者
一般財団法人 日本健康開発財団
雑誌
日本健康開発雑誌 (ISSN:2432602X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.79-86, 2020-06-19 (Released:2020-06-19)
参考文献数
15

背景・目的 筋力トレーニングによって骨格筋を肥大させることは、健康の保持・増進に重要である。本研究では、日本人が古くから習慣としてきた「入浴」が筋肥大効果を高める可能性に着目し、「筋力トレーニング後の入浴は筋肥大効果を高めるか?」を検証した。方法 本研究では、SDラットを「筋力トレーニング群」および「筋力トレーニング+入浴群」に分類し、左脚をコントロール脚とし右脚をトレーニング脚とした。筋力トレーニングについては、腓腹筋への電気刺激による等尺性収縮運動を10回×5セット行わせた。筋力トレーニングから3時間後に腓腹筋を摘出し、生化学分析を行った。結果・考察 骨格筋量は筋タンパク質合成と分解の出納バランスによって制御されることから、その両者を検討した。筋タンパク質合成の活性化において中心的な役割を担うmTORC1シグナル伝達系および筋タンパク質合成は、筋力トレーニングによって活性化されたが、入浴による影響は観察されなかった。筋タンパク質分解系において主要となるオートファジー系およびユビキチン系について、オートファゴソーム量の指標となるLC3-IIタンパク質量およびユビキチン化タンパク質量は筋力トレーニングにより有意に減少したが、入浴による影響は観察されなかった。これらの結果より、筋力トレーニング後の入浴は筋肥大効果を高めない可能性が示唆された。