著者
明星聖子 永崎 研宣
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.49(2007-CH-074), pp.25-32, 2007-05-25

本稿は、人文科学研究資料のための汎用的なエディティング・システム構築をめぐる研究報告である。まず第一段階として、カフカの文学作品のなかでも編集という点でもっとも複雑な問題を呈している”Der Jaeger Gracchus”のテクストに関する情報を、ドイツ編集文献学の理論に基づき構造化し、それをインド仏教学研究用に開発された文献関連情報データベース上へ実装することを試みている。現在この試みは比較的順調に進行しており、その順調さの背景には、文学と宗教学の文献情報処理の方法の共通性が認められる。今回の研究は、システム開発を通してこうした共通性を検討しながら、汎用的システム設計を支える汎用的な文献学理論を模索することも目的としている。
著者
明星聖子 永崎 研宣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.49, pp.25-32, 2007-05-25

本稿は、人文科学研究資料のための汎用的なエディティング・システム構築をめぐる研究報告である。まず第一段階として、カフカの文学作品のなかでも編集という点でもっとも複雑な問題を呈している"Der Jaeger Gracchus"のテクストに関する情報を、ドイツ編集文献学の理論に基づき構造化し、それをインド仏教学研究用に開発された文献関連情報データベース上へ実装することを試みている。現在この試みは比較的順調に進行しており、その順調さの背景には、文学と宗教学の文献情報処理の方法の共通性が認められる。今回の研究は、システム開発を通してこうした共通性を検討しながら、汎用的システム設計を支える汎用的な文献学理論を模索することも目的としている。This paper describes the collaborated electronic editing system of Franz Kafka's work that we are now developing. The concept behind this system is based on German scholarly editing theory, especially the methodolgy of historical-critical editing. As the first step of constructing the database, we structured information about Kafka's texts, including historically significant editions and their editorial information (such as pagination and linage). This same information was also cross-referenced. This model was implemented via an existing system originally developed to analyze Buddhist texts.
著者
明星聖子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.58, pp.37-44, 2004-05-28
被引用文献数
1

コンピュータは、はたして、文献学が現在陥っているジレンマを解決してくれるのか。その答えを探るために、ここではそのジレンマを、カフカのテクスト編集を具体例に説明する。カフカの草稿を忠実に編集しようとして、3種類のカフカ全集が出版された。その最新のものが示す型破りな形態は、草稿への忠実の追求が、じつは、紙の本というメディアの限界への挑戦だったことを明らかにしている。とすれば、コンピュータという新しいメディアに何を託すべきか。草稿という存在がもつ文学的意味を考えながら、学術的編集において今後コンピュータが担うべき役割を示唆する。This paper describes the dilemma into which scholarly editing has lapsed for the past thirty years, using Kafka-editing as an example. Following the publication of the complete edition by Max Brod, two different types of critical editions were released in order to explore the faithful reproduction of his hand written manuscript. The unconventional form of the latest one reveals the many limitations of the book-form media. Since computer as a media offers new possibilities for the presentation of text, a fresh type of critical editing has the potential to be realized. This study suggests the general direction future computer editions may take.
著者
内木 哲也 明星聖子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.53, pp.43-50, 2004-05-21

本論文では、電子書籍出版ビジネスを、電子書籍を媒体とする情報システムと捉え、電子書籍が持つ機能性と共に、それを巡る社会、利用者、普及活動などの利用環境の視点から総合的に分析する。分析の結果として、現在の電子書籍出版ビジネスを巡る問題点が、大型の書物では優位とされてきた可搬性と利用シーンでの使い勝手の悪さにあることを明らかにする。この結果に基づき、大型でない一般書物の電子書籍出版ビジネスの可能性について考察する。This paper describes the view points of the analysis of an electronic publication business as information systems, which are the functions, social impacts, users, enlightenment activities for electronic text. Because, we consider that an electronic text is an information media and is consist of an information system. The analysis shows us the problem of the present electronic books publication business as the result. In the field of the users, mobility and usability of the text are not so significant, which have been made the dominant characteristics in electronic texts based on a large size book. As the result, we consider about the possibility of electronic publication businesses on general books that are not large size.
著者
明星聖子
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.58(2004-CH-062), pp.37-44, 2004-05-28

コンピュータは、はたして、文献学が現在陥っているジレンマを解決してくれるのか。その答えを探るために、ここではそのジレンマを、カフカのテクスト編集を具体例に説明する。カフカの草稿を忠実に編集しようとして、3種類のカフカ全集が出版された。その最新のものが示す型破りな形態は、草稿への忠実の追求が、じつは、紙の本というメディアの限界への挑戦だったことを明らかにしている。とすれば、コンピュータという新しいメディアに何を託すべきか。草稿という存在がもつ文学的意味を考えながら、学術的編集において今後コンピュータが担うべき役割を示唆する。
著者
明星 聖子 高畑 悠介 井出 新 松原 良輔 松田 隆美 中谷 崇 納富 信留 矢羽々 崇 伊藤 博明 Pekar Thomas 黒田 彰 近藤 成一 宗像 和重 杉浦 晋 武井 和人 北島 玲子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

昨年度の検討を受けて、今年度は昨年度のテーマに若干変更を加えた以下のAからEの5つのテーマについて、さらに今年度からは総合的なFのテーマも加えて研究を進めた。A.ドイツ文献学の成立の事情とその日本における受容および明治/大正期の文学研究の確立をめぐる検討、B.日本文学における現在の文献学的状況を探るケーススタディ、C.再評価の機運が高まっているイタリアの文献学者S.Timpanaroの代表著作の 読解と翻訳、D.英文学研究および教育における編集文献学的方法論の実践、E.独文学研究および教育における編集文献学的方法論の実践、F.人文学テクスト全般における「信頼性」および「正統性」をめぐる総合的な編集文献学的考察。テーマごとの班活動以外に、全体としての研究会も3回、2019年6月16日に慶應義塾大学で、7月31日に放送大学で、また2020年1月26日に慶應義塾大学で開催した。第1回での研究発表は、「編集文献学の可能性」(明星聖子)、第2回は、「古典文献学の可能性」(納富信留)、「注釈の編集文献学」(松田隆美)、第3回は、「南朝公卿補任の真贋判断をめぐって」(武井和人)、「偽書という虚構ー近代日本の小説3つをめぐって」(杉浦晋)。なお、こうした活動が実を結び、2019年9月に刊行された雑誌『書物学』(勉誠出版)で、特集「編集文献学への誘い」が組まれ、そこでプロジェクトメンバーの論考6本がまとめて掲載されたことは、特筆に値するだろう。
著者
明星 聖子
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要 (ISSN:05813654)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.197-207, 2000
被引用文献数
2