著者
池田 欽一 時永 祥三
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.18-31, 1999 (Released:2017-06-27)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

本論文では, まずフラクタル性をもつ時系列のインパルス応答関数をスケール関数により近似的に展開した場合に, 時間軸方向にインパルス応答を伸長することにより予測が行える原理について説明し, 予測誤差などについて整理する. 次に, フラクタル性をもつ時系列について, フラクタル次元が未知である場合に, 時系列をウェーブレット変換係数から計算できる方法を整理する. これらを現実の株価時系列へと適用して, 株価予測誤差の検討, フラクタル性, その次元推定について述べる. 具体的な応用例として株価のオプション取引のシミュレーションをとりあげ, 本論文の予測手法とこれに基づくオプション戦略の有効性について示している.
著者
時永 祥三 譚 康融
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.267, pp.31-33, 2007-10-12

近年、提案された粒子フィルター(モンテカルロフィルター)は、航空管制や、車両追跡など、多くの分野で応用されている。その特徴としては、ノイズの分布は正規に限定されず、いろなタイプのノイズに対応できるという点である。本報告は、粒子フィルターにおいて、仮にノイズの分布が分らない場合において、遺伝的アルゴリズムを用いて、そのノイズの分布を推定する手法を提案し、特に、混合分布を用いたノイズの分布の推定の手法について報告する。
著者
呂 建軍 岸川 善紀 時永 祥三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.1142-1152, 2006-12-01
被引用文献数
6

ある基準で抽出・分割されたデータ集合(クラスタ)の特徴を,言語的に記述する手法が注目されている.本論文では,遺伝的プログラミング(Genetic Programming : GP)によるルール生成を用いたクラスタ特徴記述システムの構成手法を提案し,その応用について述べる.まず,それぞれのサンプルに対してカテゴリカルデータが与えられている場合に,データ全体から特定のクラスタを取り出す.次に,カテゴリカルデータに対する論理変数を仮定し,これら論理変数による論理式をクラスタ特徴記述のルールとしてとらえ,クラスタ内のサンプルに対してだけルールが真となる(ヒットする)方向にGP手法を用いて改善する.論理式はGP手法における個体として表現され,プールを構成するが,通常のGP手法とは異なり,個体の適合度をクラスタ内部のサンプルヘのヒット数に比例するだけではなく,クラスタ以外へのヒット数に反比例するような定義へと変更する.応用例として,人工的に与えたクラスタを用いた性能評価と,個人へのローン決定問題について述べ,これらのほかに8種類のデータ集合に対する適用結果を示す.
著者
呂 建軍 時永 祥三
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J88-A, no.7, pp.803-813, 2005-07-01

本論文では,遺伝的プログラミング(Genetic Programming:GP)の方法を用いて時系列の特徴(生成モデル)を集合として近似・記述する方法を提案し,これを時系列データの分類(クラスタリング)に応用する.具体的には,時系列データを用いて,GP手法により時系列が生成される関数の形(非線形モデル)を近似する方法であり,クラスタリングの方法が簡略化できる可能性がある.GPにより近似度が改善された時系列モデルを用いてクラスタリングを実施する場合において,適合度が相対的に高い個体がプールに残されていることを積極的に利用する.すなわち,時系列に含まれるノイズや,時間軸の伸長縮小の影響により,同じクラスタに属する時系列集合に対しても一つの非線形モデルでは認識できない可能性があるので,複数の近似度の良好な個体による推定を同時に実施し,最終的な分類確定に用いている.応用例として,人工的に生成された時系列に対して時間軸の伸長縮小及びノイズの重畳を実施した時系列のクラスタリング,及び実際の株価セグメントの分類を示す.
著者
呂 建軍 時永 祥三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.7, pp.803-813, 2005-07-01
被引用文献数
18

本論文では, 遺伝的プログラミング(Genetic Programming: GP)の方法を用いて時系列の特徴(生成モデル)を集合として近似・記述する方法を提案し, これを時系列データの分類(クラスタリング)に応用する.具体的には, 時系列データを用いて, GP手法により時系列が生成される関数の形(非線形モデル)を近似する方法であり, クラスタリングの方法が簡略化できる可能性がある.GPにより近似度が改善された時系列モデルを用いてクラスタリングを実施する場合において, 適合度が相対的に高い個体がプールに残されていることを積極的に利用する.すなわち, 時系列に含まれるノイズや, 時間軸の伸長縮小の影響により, 同じクラスタに属する時系列集合に対しても一つの非線形モデルでは認識できない可能性があるので, 複数の近似度の良好な個体による推定を同時に実施し, 最終的な分類確定に用いている.応用例として, 人工的に生成された時系列に対して時間軸の伸長縮小及びノイズの重畳を実施した時系列のクラスタリング, 及び実際の株価セグメントの分類を示す.
著者
陳 暁栄 時永 祥三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.1038-1048, 2003-10-01
被引用文献数
38 4

複雑な現象を解明する手段として,マルチエージェントシステムの構成が議論されている.本論文では,人工株式市場を対象として,共進化遺伝的プログラミング(GP)を基礎としてエージェントの多様性を考慮に入れたマルチエージェントシステム構成を提案するとともに,その性質を分析する.GP手法の応用については個々のエージェントが独自の目的関数について最適化を行う行動のモデル化する場合に用いることとし,GP手法により異種のエージェントの適応的な認知プロセスをモデリングすることを試みる.システム構成では五つのタイプのエージェントを仮定し,算術式あるいはプロダクションルールをもとにして取引の方法を改善するもの,及び非合理的な挙動をするものを前提としながら,これらの学習過程において,占有的な個体プールのほかに,共有的な個体プールをも用いるグループを仮定する.これにより共進化GPを実現する.シミュレーション実験の結果として得られる株価の挙動を統計解析すると,実際の株式市場で見られるパフォーマンスに類似していることが示され,本論文の手法の有効性を検証できる.
著者
岩本 誠一 前園 宜彦 中井 達 時永 祥三 藤田 敏治
出版者
九州大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

従来のポートフォリオ理論では平均・分散基準の確定的最適化を数理計画法によっておこなっているが、本研究においては、数理ファイナンス分野おける新しい評価基準として単一評価クラスと複合評価クラスを導入して、その不確実性の下での動的最適化手法を提案している。とくに、リスクとリターンを確率変数そのものとして取り扱い、制御マルコフ連鎖上で分数型基準の条件つき期待値を再帰的に最適化している。分数型評価は複合評価の典型的な基準の一つであるが、他に、比型、分散などの複合型基準の動的最適化をおこなっている。さらに、動的計画法を中心とした動学的最適化手法として、(1)全履歴法、(2)パラメトリック法、(3)マルコフ法、(4)多段確率決定樹表を開拓し、既存の最適化手法では解けない問題を提案し、これらの最適解を導いた。また、動的最適化手法をより分かりやすく、説得力あるものにするために、各種グラフィックス表示およびその開発をおこなった。とくに、不確実性の下において非加法型評価の多段階意思決定過程の最適化を動的計画法によって行った。具体的には、(1)事前条件付き意思決定過程と(2)事後条件付き意思決定過程の二つを新たに導入し、(3)条件なし(本来の)意思決定過程との最適解の構造およびそのアプローチにおいて三つの過程の相違点を明らかにした。本研究によって、閾値確率制御問題が上述の多様な方法で解けることが明らかになった。とくに、閾値確率最大化問題の逆問題は数理ファイナンスにおけるバリュー・アト・リスクの最小化問題なることがっわかり、バリュー・アト・リスクの最小化に新たに動的計画法・埋め込み法が適用できることになった。この二つの方法はこれまで確定的システムの最適化に多用されて成果を上げてきたが、本研究によって確率システム・あいまいシステムに対しても動的計画法・埋め込み法が適用できることが判明した。したがって、本来不確実性の下で変動するポートフォリオシステムの最適化方法が多様・多彩になってきた。これらはまさしく本萌芽的研究の成果である。
著者
時永 祥三 池田 欽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.465, pp.117-122, 2011-03-03

本報告では,非線形時系列モデルにおける粒子フィルタ(Particle Filter:PF)および遺伝的プログラミング(Genetic Programming:GP)を用いた構造変化の推定とその応用について述べる.まず非線形状態方程式により生成される観測時系列データからPFにより状態を推定する問題を仮定する.さらにモデルの尤度などから構造変化が抽出された場合に,非線形方程式が変化すると仮定し,GPによりこの変形後の関数形を推定する.すなわち,GP手法により元の関数形から変形された複数の関数を求め,モデルの尤度が最大となる関数を構造変化のあとの関数と推定する.応用例として人工的なデータを用いて,本報告の手法の有効性を確認するとともに現実の時系列データに適用して,構造変化の前後の状態方程式推定を議論する.
著者
時永 祥三 譚 康融
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.739-755, 2010-11-01
参考文献数
26
被引用文献数
4

企業(エージェントと呼んでおく)間取引などを時系列として表現した場合に,時系列から相互作用を除去した本来の状態(真の状態と呼ぶ)を推定することは取引安定化などに有用である.本論文では,遺伝的プログラミング(Genetic Programming:GP)による方程式近似に基づく粒子フィルタ(Particle Filters:PF)を用いた時系列からの状態推定とその変動抑制への応用について述べる.エージェントの交互作用を非線形の状態方程式で記述し,行動結果を時系列として表現した場合には,観測データからエージェント状態(真の状態)を推定するPFが適用可能である.これまでのPFの適用においては,状態方程式が既知であるとされているが,一般的な商品市場などを仮定した場合にはエージェントの行動は未知であり,状態推定と同時に方程式の推定をしなければならない.本論文の手法においては,方程式を記述する複数の木構造(GP個体)を与えておき,これらを状態方程式とみなして,状態推定をPFにより実施した場合のゆう度を求め,これに比例して個体の適合度を定義し,遺伝的処理を行い近似と推定の改善を図る.応用例として,商品受注関係やオークション市場での価格を対象とした人工・現実データに対するシミュレーションを行い,時系列変動を抑制する方法及び取引手法を変更する効果分析を示す.
著者
時永 祥三 呂 建軍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.307, pp.71-76, 2004-09-09

本報告では,遺伝的プログラミング(Genetic Programming:GP)の方法を用いて時系列の特徴(生成モデル)を記述する方法を提案し,これを時系列データの分類(クラスタリング)に応用する。時系列テータを用いて,時系列が生成される関数の形(生成のモデル)を記述する方法であり,特徴の記述が簡略化できる可能性がある。また,複数の関数近似表現を保有するクラシファイヤシステムを用いているので,ノイズの重畳や時間軸方向の伸長縮小などを変形に対応が可能となっている。GPにより,それぞれのクラスタについて与えられている個体表現された時系列モデルの近似度を改善する。応用例として,人工的に生成された時系列の分類と株価の分類を検討する。
著者
児玉 正憲 中井 達 岩本 誠一 時永 祥三
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

平成5年度の研究においては企業におけるマルチメディア環境の実態調査とマルチメディア理論などの従来の研究成果を収集することに力点を置いた。更に日本企業の活動が国際化している現状から情報通信ネットワークによる日本の本社と海外生産拠点とのデータ伝送の実態についてもアンケート調査などを実施した。これらにデータ収集と平行して理論解析も行ってきた^<(1)、(2)>。この結果基本的な枠組としては種々の要因をもつ社会システムの解析方法として有効である動的システムの理論が適用可能であること情報産業などの影響を分析する数理経済的な方法により生産のネットワークにおけるデータや画像など設計や研究開発に密接に関連した情報の役割を分析できる見通しを得ている。平成6年度は更に多量の実証データを収集することにつとめ豊富化することができた。研究推進の上で生産・物流システムの最適構成の検討が重要であるので平成5年度〜平成6年度の2年間を通じて動的計画法の基礎理論^<(9)、(10)、(11)、(12)>、信頼性・待ち行列システムの解析^<(5)、(6)>、確率システムの最適政策^<(7)、(8)>、および確率的多段決定問題の解析^<(13)、(14)、(15)、(16)>などの理論的研究を行った。またマルチメディア環境における新しいデータ解析法の構築の必要性からニューラルネットワークによる企業倒産予測システムの設計^<(3)>および時系列データの検索・予測の理論的・実証的研究^<(4)>を並行して行った。
著者
時永 祥三 富永 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.724, pp.67-72, 2003-03-10

本報告では,ネットワーク上を伝搬するリスクの拡散モデル分析およびその制御方法を議論し,特にCNN (Cellular Neural Network)を用いる方法を提案する。この場合,遺伝的ブログラミング(GP:Genetic Programming)の手法を用いて,観測されたデータからシステムのダイナミックスを推定し、この推定式を用いて拡散の条件などを予測する。CNNにおけるシステム方程式をGPにより近似するために,初等演算のほかに区分線形などの関数を準備し,これらと変数を含む木構造によりにGPにおける個体を定義する。GP手法により拡散のモテルが微分力程式の形で記述できるので,これを線形近似した連立1階微分方程式から進行波の拡散(停止)条件を導出する手順が応用できる。更に,適切な微小制御人力を推定し加える方法により,短い時間で均衡レベルに拡散を制御することができる。応用例として,実際のリスク拡散データ近似とその制御への応用事例を示す。
著者
池田 欽一 時永 祥三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.125, pp.13-18, 2005-06-16

ボラティリティに注目したモデルとして, ARCH, これを一般化したGARCHモデルが用いられているが, モデル化では, あらかじめその構造が仮定されており, 最適化性の検証に問題がある。本報告では, モンテカルロフィルタと遺伝的プログラミング(Genetic Programming: GP)を用いたGARCHタイプ時系列モデル推定と, その応用について述べる。この場合, 時系列のボラティリティ変動を含むモデルを多次元の状態変数を含むダイナミックスとして記述し, ダイナミックスを推定するためにGPを用い, その状態を推定する手法として, モンテカルロフィルタを用いる。推定手法の有効性を確認するため, 人工的に生成された時系列からのモデル推定問題, 現実の株価時系列から推定されるモデルを求める。
著者
呂 建軍 時永 祥三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.417, pp.65-70, 2005-11-12

本報告では, ネットワーク・コミュニティ形成などメンバーのグループ化(クラスタ形成)の過程を分析する方法として, 遺伝的プログラミング(Genetic Programming : GP)による学習を行うマルチエージェントからなるセル平面のクラスタ形成分析を提案し, その応用について述べる。エージェントはセル平面において周辺の情報を入力として意思決定を行うが, まず, 基本モデルとして, エージェントを記述する状態変数が連続的な値をとることができる場合を考察し, エージェントが自己の利得を最適化する行動においても, 状態変数に均衡点が存在することを不動点定理を用いて整理する。次に, エージェントを記述する状態変数が1かゼロかの2値をとる場合には, 状態が1つの場合には, 周辺のエージェントの状態の期待値とあるしきい値を比較して行動を決定することが, 漸近的な意味での均衡条件であることを述べる。しかし, 状態が複数の場合や, エージェントが相互に学習的に行動する場合を記述するのには適していないので, エージェントモデルを基本とするシミュレーション分析を行う。応用例として, 人工的なエージェントによる事例, 企業内部における社員のクラスタ形成の特性分析などを示す。