著者
有田 隆也 高木 浩光 河村 忠明 曽和 将容
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1896-1897, 1989-10-16

機械語命令レベルからレジスタトランスファレベル程度の細粒度における並列実行方式であるPNアーキテクチャでは、プロセッサ内の複数の処理ユニットにそれぞれ命令流を独立に与えることによって並列実行を行う.各処理ユニットが独立に動作し、必要に応じて高速通信を行うので、VLIW方式のようにコンパイラで完全にスケジューリングを行い実行時には同期を行わない方式より、きめの細かな並列度を抽出する可能性かあり、またタイミングの不安定なメモリなどのハードウェアを組み込むのも容易である.処理ユニット数を3としたプロトタイプモデルは、従来の逐次的な機械語命令を、(1)データ転送命令(2)演算命令(8)フロー制御命令、の3つに分類し、制御フロー計算モデルに基づいた通信を行いながら、それぞれを専用の処理ユニットで実行する・フロー制御を行う処理ユニットに独自の命令流を与えたことにより、分岐判断の先行実行が可能となり、分岐処理に要する時間を大幅に減ずることも特長のひとつである.本稿では、PNアーキテクチャの分岐命令の処理方式について比較検討する.
著者
高木浩光 有田 隆也 川口 喜三男 曽和 将容
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告
巻号頁・発行日
pp.73-80, 1994
被引用文献数
1

効率的な並列実行のために,タスク間のデータ依存関係などにより必要となるプロセッサ間の同期操作を,高速に実現することが重要である.同期操作のソフトウェアによる実現では,同期操作自体に浪費される時間が無視できないほどに大きいものとなりうるのに対し,バリア同期の専用ハードウェアによる実現は,高速でしかも実現コストが小さいという特長を持っている.本稿では,ソフトウェアによる同期操作を一切併用することなく,バリア同期のみによって,与えられたプログラムの正しい実行を保証するような,バリア挿入位置を求めるアルゴリズムについて議論し,プロセッサの実行タイミングを推定しながらタスク割当てと同時にバリア挿入位置を決定することで,できるだけ全体の処理時間が短くなるような割当てを決定するアルゴリズムを示す.
著者
高木 浩光 有田 隆也 曽和 将容
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.1583-1592, 1991-12-15
被引用文献数
7

並列計算機において高い性能を得るためには 高速な命令実行順序制御機構の開発が重要である本論文では単純なハードウェアによって構成できる 命令のプロセッサ割り当てをコンパイル時に決定する静的順序制御方式について議論する従来の単純なハードウェアによる静的順序制御機構としてバリア型同期が挙げられるバリア型同期機構は構成が単純なため高速な制御が可能であるが すべてのプロセッサが一斉に待ち合わせを行うという同期の性質上 本質的に不要な待ちが生ずるという欠点を持つ本論文では 静的順序制御方式による実行を並列コントロールフローモデルによって抽象化し その特性を示すとともに その特性を利用することによってはじめて可能となる 単純で かつ 不要な待ちを生じない静的順序制御機構を提案する提案する制御機構は一般化静的順序制御機構と呼び プログラムカウンタのほかに それと同程度に単純なカウンタを任意のプロセッサ間に設け これらを協調的に動作させることによって実現される
著者
金岡 弘記 高木 浩光 有田 隆也 川口 喜三男
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.121-122, 1994-03-07

VLIWプロセッサの問題点として、コード量が増加することと実行時間変動に対して弱いということが挙げられる。それらに対する解決手段として規定型再構成と適応型再構成を用いた、V++プロセッサアーキテクチャを我々は提案している。V++では、この2つの再構成の効果的な融合が重要となる。本稿では、適応型再構成のための同期方式として重複可能バリア同期を用いた場合について、ソフトウェアパイプライニングと同様の効果をコード量を増加させないで実現する方法、基本ブロックの境界における同期タグを実現する方法、及び基本ブロックの境界における投機的実行の実現の方法について述べる。
著者
有田 隆也 伊藤 広明 高木 浩光 曽和 将容
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.145-146, 1990-09-04

細粒度の並列度を効率的に抽出するプロセッサアーキテクチャとして、我々はPNプロセッサを提案し、開発を進めている。PNプロセッサには、1)命令の種類に応じたプロセッサの機能分割、2)シンプルで高速な命令実行順序制御方式の採用、などの特徴がある。プロトタイプモデルでは、プロセッサの処理を、1)転送、2)演算、3)フロー制御(分岐)、の3つに分割して、スカラ処理を細粒度並列実行化している。本稿では、シミュレーションに基づき、上記の特徴について評価する。
著者
有田 隆也 鈴木 麗璽
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は,協力が創発するメカニズムが生物進化・文化進化するダイナミクスを解明し,応用することを目的とした.まず,進化シミュレーションにより直接互恵と間接互恵が協働的に動作して裏切りの侵入を防ぐことが示された.次に,マルチプレイヤー型オンラインゲーム型実験環境により,ゲーム内挙動と心的特性の関係を明らかにした.また,大規模ソーシャルゲームの行動データを統計分析し,コストが大きいコミュニケーションが協力行動につながる可能性を示した.さらに,間接互恵に基づく協力行動を二重化ゲーミフィケーションによって促進するプラットフォーム概念を提唱,実装し,被験者実験によりその効果を確認した.
著者
佐藤 竜也 有田 隆也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.5, pp.168, 2005

競合型共進化アルゴリズムの問題点であるFocusingの解決のため,遺伝子型/表現型空間での近さではなく,個体の振舞いの類似度を使って多様性を保つ適応度共有法を提案する.ナンバーズ・ゲームでの各手法の比較評価により有効性を確認した.
著者
鈴木 麗璽 有田 隆也
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本論文は連続的な社会相互作用ダイナミクスの理解に対する次の3つのアプローチについて論ずる:1)社会空間を表現した二次元平面上を近傍とのゲーム論的状態と位置関係に応じて移動するsocial particle swarm(SPS)モデル,2)実時間で意思決定を行い利得を得る状況における動的な社会相互作用を理解するためのWeb実験フレームワーク,3)超多個体での3次元版SPSモデル.
著者
有田 隆也
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

言語の起源や進化は構成的手法による検討が有効であり,当初から人工生命の中心テーマである.講演者は,言語のみならず,心,表現型可塑性,社会性など,ヒトの独自性の進化的起源を考えてきたが,それらの密接な関わりあいが明らかになってきた.本講演では,研究の方法論を論じた後に,特に,言語起源と利他性や表現型可塑性との関わりの考察から描かれるヒトの進化シナリオを計算論的モデルの実験結果に基づいて議論する.
著者
小鹿 明徳 Ojika Akinori 有田 隆也 Arita Takaya
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.1509-1516, 1997 (Released:2008-09-12)

自然界に存在する生物の体表の模様は,蝶の羽に典型的に見られるように非常に多様である.これ らの模様は偶然性のみによって作られたものではなく,その生物の生息する環境や生存競争により, 自分にとって有利な模様へと進化した結果と解釈することができる.本研究では,このような進化を 引き起こす要因として捕食者と被食者間の相互作用に着目し,その共進化メカニズムを抽象化し,カ ラーパターンを生成,進化させるモデルを設計し,人工生命的手法を用いた創発システムを計算機上 に実現した.それに基づき,カラーパターン生成における共進化のダイナミクスを解析する. Surface patterns of Organisms that exist in nature are various, - for example those of butterflies. These patterns have been created not only by random processes but also by evolutionary processes based on the interactions between predators and prey. This paper reports our efforts to abstract the evolutionary mechanism of color pattern generation and color pattern recognition, and to construct a model in which coevolutionary dynamics automatically generates such various color patterns as is observed in nature one after another.
著者
高野 雅典 加藤 正浩 有田 隆也
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.221-233, 2005 (Released:2009-10-16)
参考文献数
26
被引用文献数
2

An individual having a Theory of Mind (ToM) can read the minds of others. If we assume further that the individual considers each of them also to have a ToM, then there should be recursive structure here. We believe that emergence and evolution of this structure are deeply linked to the evolution of intelligence. We construct two computational models: an abstract model describing fitness landscapes interacting with each other and a concrete model describing physically-situated agents moving around avoiding collisions. We conduct evolutionary simulations using the concrete model in order to investigate the dynamics inherent in the mechanism of recursion. Several unexpected properties of recursion were found, including a significant difference in fitness between odd levels and even levels of recursion. This is due to the asymmetry between level 0 and 1 (without and with ToM). We also discuss an evolution scenario in which human beings have evolved the ToM.