著者
中尾 達馬 村上 達也 数井 みゆき
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.179-189, 2019-03-01 (Released:2019-03-12)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究の目的は,児童用に,アタッチメント不安とアタッチメント回避を測定可能な尺度(児童版ECR-RS)を作成し,その信頼性と妥当性を確認することであった。調査対象は小学4年生から6年生540名(平均年齢10.5歳,男児260名,女児280名)であった。本研究では,まず,児童版ECR-RSが2因子(アタッチメント不安,アタッチメント回避)から構成されているとみなせるかどうかを検討した。次に,児童版ECR-RSの信頼性については,内的整合性と再検査信頼性(5カ月)を確認した。最後に,妥当性については,児童版ECR-RSと理論的な関連性・無関連性が想定される変数(アタッチメントの安定性,全体的自己価値,情動知能,共感性,生活満足度,対人不安傾向,孤独感,友人関係良好度,運動能力評価)との間で検討を行った。これらの結果は,我々の予測をおおむね支持していた。以上の結果から,児童版ECR-RSは,一定の心理測定的属性(信頼性と妥当性)を備えた尺度であることが示唆された。
著者
中尾 達馬 村上 達也 数井 みゆき
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.179-189, 2019
被引用文献数
1

<p>本研究の目的は,児童用に,アタッチメント不安とアタッチメント回避を測定可能な尺度(児童版ECR-RS)を作成し,その信頼性と妥当性を確認することであった。調査対象は小学4年生から6年生540名(平均年齢10.5歳,男児260名,女児280名)であった。本研究では,まず,児童版ECR-RSが2因子(アタッチメント不安,アタッチメント回避)から構成されているとみなせるかどうかを検討した。次に,児童版ECR-RSの信頼性については,内的整合性と再検査信頼性(5カ月)を確認した。最後に,妥当性については,児童版ECR-RSと理論的な関連性・無関連性が想定される変数(アタッチメントの安定性,全体的自己価値,情動知能,共感性,生活満足度,対人不安傾向,孤独感,友人関係良好度,運動能力評価)との間で検討を行った。これらの結果は,我々の予測をおおむね支持していた。以上の結果から,児童版ECR-RSは,一定の心理測定的属性(信頼性と妥当性)を備えた尺度であることが示唆された。</p>
著者
中尾 達馬 村上 達也 数井 みゆき
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
2018
被引用文献数
1

<p>本研究の目的は,児童用に,アタッチメント不安とアタッチメント回避を測定可能な尺度(児童版ECR-RS)を作成し,その信頼性と妥当性を確認することであった。調査対象は小学4年生から6年生540名(平均年齢10.5歳,男児260名,女児280名)であった。本研究では,まず,児童版ECR-RSが2因子(アタッチメント不安,アタッチメント回避)から構成されているとみなせるかどうかを検討した。次に,児童版ECR-RSの信頼性については,内的整合性と再検査信頼性(5カ月)を確認した。最後に,妥当性については,児童版ECR-RSと理論的な関連性・無関連性が想定される変数(アタッチメントの安定性,全体的自己価値,情動知能,共感性,生活満足度,対人不安傾向,孤独感,友人関係良好度,運動能力評価)との間で検討を行った。これらの結果は,我々の予測をおおむね支持していた。以上の結果から,児童版ECR-RSは,一定の心理測定的属性(信頼性と妥当性)を備えた尺度であることが示唆された。</p>
著者
西村 多久磨 村上 達也 櫻井 茂男
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.345-355, 2018 (Released:2018-10-25)
参考文献数
43
被引用文献数
2

Development of prosociality and a trajectory in prosocial behaviors have been a major interest among developmental psychologists. The present study investigates age-related changes in prosocial behaviors from middle childhood to early adolescence based on the relational approach, emphasizing relations with the recipients of the prosocial behaviors (i.e., prosocial behavior toward family, strangers, and friends). A total of 1,829 Japanese students (944 boys and 885 girls) from mid-elementary and junior high schools (ages 9―14 at the time of the first measurement) participated in a one-year longitudinal study. This sample consisted of five cohorts: the 4th, 5th, 6th, 7th, and 8th grade samples. The results of the latent difference score model showed a decrease in prosocial behaviors once, as mean level of individual changes; while at the same time, the model indicated a bounce-back in prosociality after the middle of the junior high school period. Additionally, we found unique changes in prosocial behaviors toward family in the form not following the overall developmental trajectory.
著者
西村 多久磨 村上 達也 櫻井 茂男
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.16077, (Released:2018-09-20)
参考文献数
43
被引用文献数
2

Development of prosociality and a trajectory in prosocial behaviors have been a major interest among developmental psychologists. The present study investigates age-related changes in prosocial behaviors from middle childhood to early adolescence based on the relational approach, emphasizing relations with the recipients of the prosocial behaviors (i.e., prosocial behavior toward family, strangers, and friends). A total of 1,829 Japanese students (944 boys and 885 girls) from mid-elementary and junior high schools (ages 9―14 at the time of the first measurement) participated in a one-year longitudinal study. This sample consisted of five cohorts: the 4th, 5th, 6th, 7th, and 8th grade samples. The results of the latent difference score model showed a decrease in prosocial behaviors once, as mean level of individual changes; while at the same time, the model indicated a bounce-back in prosociality after the middle of the junior high school period. Additionally, we found unique changes in prosocial behaviors toward family in the form not following the overall developmental trajectory.
著者
千島 雄太 村上 達也
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 = The Japanese Journal of Educational Psychology (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-12, 2016
被引用文献数
4

本研究では, 現代青年に顕著なキャラを介した友人関係について, 中学生と大学生の比較から検討が行われた。本研究の目的は, キャラの有無による心理的適応の相違に加えて, キャラの受け止め方とキャラ行動が心理的適応に及ぼす影響を明らかにすることであった。中学生396名と大学生244名に質問紙調査を行った。分析の結果, 大学生は中学生よりもキャラがある者の割合が多く, キャラがない者よりも自己有用感が高いことが示された。因子分析の結果, キャラの受け止め方は, "積極的受容", "拒否", "無関心", "消極的受容"の4つが得られた。得点とパス係数の比較を行った結果, 学校段階で違いが見られた。中学生では, 友人から付与されたキャラを受容しにくく, キャラに合わせて振る舞うことが, 心理的不適応と関連することが明らかになった。一方で, 大学生ではキャラ行動と適応には有意な関連が見られず, 付与されたキャラを消極的にでも受け容れることが, 居場所感の高さと関連していた。以上の結果から, 中学生におけるキャラを介した友人関係の危うさについて議論された。
著者
古村 健太郎 村上 達也 戸田 弘二
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.303-313, 2016
被引用文献数
18

The purpose of this study was to translate the Experience of Close Relationship-Relationship Structure (ECRRS) and evaluate its validity. In study 1 (N = 982), evidence based internal structure (factor structure, internal consistency, and correlation among sub-scales) and evidence based relations to other variables (depression, reassurance seeking and self-esteem) were confirmed. In study 2 (N = 563), evidence based on internal structure was reconfirmed, and evidence based relations to other variables (IWMS, RQ, and ECR-GO) were confirmed. In study 3 (N = 342), evidence based internal structure (test-retest reliability) was confirmed. Based on these results, we concluded that ECR-RS was valid for measuring adult attachment style.
著者
村上 達也 西村 多久磨 櫻井 茂男
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.156-169, 2016
被引用文献数
10

本研究の目的は, 小学生および中学生を対象とした対象別向社会的行動尺度を作成し, その信頼性と妥当性を検討することであった。小学4年生から中学3年生までの1,093名を対象とし質問紙調査を実施した。探索的因子分析の結果, 家族に対する向社会的行動, 友だちに対する向社会的行動, 見知らぬ人に対する向社会的行動の3因子を抽出した。加えて, 確認的因子分析により, 向社会性という高次因子を仮定したモデルが最終的に採択された。対象別向社会的行動尺度の内的一貫性および再検査信頼性係数は十分に高いことが確認された。中高生版向社会的行動尺度, 共感性尺度, 自己意識尺度, 学級生活満足度尺度といった同時に測定した外的基準との関連が概ね確かめられた。また, 尺度の内容的妥当性についても確認された。尺度得点に関しては, 男女差がみられ, 女子の得点の方が男子の得点よりも高いことが確認された。また, 学年差に関して, 概ね, 小学生の得点の方が中学生の得点よりも高いことが確認された。最後に, 本尺度の利用可能性について考察されるとともに, 今後の向社会的行動研究に関して議論された。
著者
西村 多久磨 村上 達也 櫻井 茂男
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.453-466, 2015
被引用文献数
3

本研究では, 共感性を高めるプログラムを開発し, そのプログラムの効果を検討した。また, プログラムを通して, 社会的スキル, 自尊感情, 向社会的行動が高まるかについても検討した。介護福祉系専門学校に通う学生を対象に実験群17名(男性6名, 女性11名 ; 平均年齢20.71歳), 統制群33名(男性15名, 女性18名 ; 平均年齢19.58歳)を設けた。プログラムを実施した結果, 共感性の構成要素とされる視点取得, ポジティブな感情への好感・共有, ネガティブな感情の共有については, プログラムの効果が確認された。具体的には, 事前よりも事後とフォローアップで得点が高いことが示された。さらに, これらの共感性の構成要素については, フォローアップにおいて, 実験群の方が統制群よりも得点が高いことが明らかにされた。しかしながら, 他者の感情に対する敏感性については期待される変化が確認されず, さらには, 社会的スキル, 自尊感情, 向社会的行動への効果も確認されなかった。以上の結果を踏まえ, 今後のプログラムの改善に向けて議論がなされた。
著者
西村 多久磨 村上 達也 櫻井 茂男
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.368-373, 2015
被引用文献数
8

The purpose of the present study was to develop a simplified scale to assess loneliness in children. Participants were 646 elementary school students (335 boys and 311 girls) from 4th to 6th grade and 24 homeroom teachers who identified lonely children within the participants of their classes. The student participants completed the Five-item Loneliness Scale for Children (Five-LSC) and other scales measuring social skills, social competence, and withdrawal to confirm the validity of the Five-LSC. The results showed that the Five-LSC was both reliable and valid. In addition, there were no grade or sex differences in loneliness. Future research using the Five-LSC was discussed.
著者
西村 多久磨 村上 達也 櫻井 茂男
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.86.14326, (Released:2015-07-10)
参考文献数
21
被引用文献数
8

The purpose of the present study was to develop a simplified scale to assess loneliness in children. Participants were 646 elementary school students (335 boys and 311 girls) from 4th to 6th grade and 24 homeroom teachers who identified lonely children within the participants of their classes. The student participants completed the Five-item Loneliness Scale for Children (Five-LSC) and other scales measuring social skills, social competence, and withdrawal to confirm the validity of the Five-LSC. The results showed that the Five-LSC was both reliable and valid. In addition, there were no grade or sex differences in loneliness. Future research using the Five-LSC was discussed.
著者
村上 達也 西村 多久磨 櫻井 茂男
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.399-411, 2014

本研究の目的は他者のネガティブな感情とポジティブな感情の双方に着目した"子ども用認知・感情共感性尺度"の信頼性と妥当性を検討すること,共感性の性差および学年差を検討すること,そして,共感性と向社会的行動および攻撃行動の関連を検討することであった。小学4年生から6年生546名,中学生1年生から3年生646名に対して調査を行った。因子分析の結果,子ども用認知・感情共感性尺度は6因子構造であった。それらの因子は,共感性の認知的側面である,"他者感情への敏感性(敏感性)"と"視点取得"の2因子と,共感性の感情的側面である,"他者のポジティブな感情の共有(ポジ共有)","他者のポジティブな感情への好感(ポジ好感)","他者のネガティブな感情の共有(ネガ共有)","他者のネガティブな感情への同情(ネガ同情)"の4因子であった。重回帰分析の結果,小中学生で敏感性とネガ同情が向社会的行動を促進していることが明らかになった。また,小学生高学年ではポジ好感が身体的攻撃と関係性攻撃を抑制することが明らかになった一方で,中学生では視点取得が身体的攻撃と関係性攻撃を抑制することが明らかになった。