- 著者
-
古村 健太郎
松井 豊
- 出版者
- 公益社団法人 日本心理学会
- 雑誌
- 日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
- 巻号頁・発行日
- pp.PC-006, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)
本研究の目的は,マッチングアプリ利用の心理的背景を検討することであった。調査対象は,インターネットパネルから抽出された390名であった。男女別に人口統計学的変数(恋人の有無,職業の有無)や心理変数(自尊心,賞賛獲得欲求,拒否回避欲求,孤独感,ぬくもり希求)が,リスクのある性行為への願望と関連し,アプリ利用と関連するという過程を想定し,構造方程式モデリングによる分析を実施した。その結果,3つの主たる結果が得られた。第1に,男女ともに,恋人がいない人や有職者のアプリ利用経験が多かった。第2に,男性において,自尊心や賞賛獲得欲求,拒否回避欲求はリスクのある性行為願望と関連するが,アプリ利用との直接的な関連は示さなかった。これらの心理変数の中でも,賞賛獲得欲求については,リスクのある性行為への願望と関連し,アプリ利用と関連する有意な媒介効果が示された。第3に,女性において,拒否回避欲求の低さやぬくもり希求の高さは,アプリ利用と直接的な関連を示した。以上の結果から,男女ともに,主に社会人が異性との出会いの場としてマッチングアプリを利用していることや,男女でアプリ利用の背景が異なる可能性が示された。