著者
松原 繁夫 伊奈 祐輔
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

クラウドソーシングにおいて,難易度に差がある複数種類のタスクが存在するときに,ワーカがどのタスクを選択するかをモデル化する.
著者
鍵福竜也 松原 繁夫
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2457-2465, 2012-11-15

本研究では逐次参加型m票先取の投票方式の性質を調べる.投票は優れた意見集約法の1つであるが,状況により適した投票方式は異なる.本稿では,投票結果に対する責務などの点で投票参加に費用を要すると仮定する.このとき,強制参加のように全員に投票を強いる方式は,大きな費用が発生する.一方,ランダム意思決定では費用を削減できるが,意思決定の品質に疑問が生じる.つまり,集合的意思決定の品質向上と投票に要する費用削減をどう両立させるか,という課題が存在する.この課題を検討するため,本稿では逐次参加型m票先取の投票方式に着目する.これと類似した投票方式は人気投票などで用いられているが,その性質はまだ十分に議論されておらず,より広範な応用への妨げとなっていると考えられる.そこで,本稿では,可決票数mの設定法や,他の投票方式と比較しての有効性などを明らかにする.本研究の貢献は,(1)投票参加に費用を要する場合の逐次参加型投票モデルの構築,(2)動的計画法を用いた最適投票戦略導出法の考案,(3)可決票数mや投票期間などの設計パラメータの影響の分析,(4)意思決定の品質向上と投票費用削減の両立という点で,逐次参加型m票先取投票方式が有効となる状況の解明である.This paper examines the property of the m votes to win mechanism with sequential participation. Voting is an effective way to achieve a collective decision making but a suitable voting system depends on the environments. This paper assumes that voting behaviors may incur a cost, for example, because voters have a responsibility for their votes. In this case, compulsory voting incurs a larger cost. Random decision making can reduce the cost for voting but is skeptical in the quality of decision making. That is, we face the problem of how to improve the quality of collective decision making with the reduction of the cost for voting. To consider this problem, this paper focuses on the m votes to win mechanism, which can be seen in the case of popularity polls. However, the property of the m votes to win mechanism has not sufficiently studied, which prevents its use for various situations. Thus, we try to answer the questions include how to find an appropriate value of m and what situation this mechanism is superior to other mechanisms. The contributions of this paper are (1) providing the model of the costly voting with sequential participation, (2) developing a method of calculating the optimal voting behavior based on dynamic programming, (3) providing the information for selecting the design parameters such as m, the length of the voting period, and (4) clarifying whether the m votes to win mechanism is superior to other voting mechanisms.
著者
松原 繁夫 横尾 真 Shigeo Matsubara Makoto Yokoo
雑誌
人工知能学会誌 = Journal of Japanese Society for Artificial Intelligence (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.912-921, 2000-09-01

Internet and agent technologies have facilitated world-wide trade, but we sometimes encounter risky situation in exchange processes involving goods and money, i. e., fraud. This problem is becoming more serious with the growing popularity of person-to-person trade. One of the reasons for such fraud is that obtaining a new identifier in netwoeks is cheap. This makes it difficult to exclude malicious agents from trade. One solution is the imposition of an entry fee. However, if an entry fee is expensive, it discourages newcomers from starting deals. To resolve the conflict between safety and convenience, we have developed two kinds of exchange mechanisms that guarantee against defection from a contract. One reduces the entry fee by integrating multiple deals and controlling goods and money flows. We also show an extension of this mechanism that can reduce the entry fee more while taking a longer time to complete the exchange process. The other reduces the entry fee by incorporating a third party agent into the exchange process. We examine the lower bound of the entry fee for each mechanism and provide a calculation method that is able to obtain this value in linear time.
著者
松田 昌史 松原 繁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.727, pp.31-36, 2005-03-08

複数の売手が, 複数同一財を出品するオークションメカニズムを考案する.インターネットオークションにおいては多くの場合, 相手の素性が不明であり, 相手が優良な取引相手かどうかを知ることが困難である.社会的に効率の良い財の割当てを達成するためには, 望ましくない取引相手をオークションから排除することが必要である.そのための方法として, 本稿では買手が得た情報を他者と共有することで, 望ましくない売手を特定し, 取引から排除するオークションプロトコルを提案する.本プロトコルの特徴は, 売手の素性がわからない状態の時に, 一部の買手が売手と取引を行うことでその売手の情報を獲得し, それを他の買手や主催者と共有する誘因を, 価格を優遇することで与える点にある.解析では, 買手が正直に情報を共有することが均衡になることを証明する.また, 計算機実験を行い, 提案プロトコルでは社会的に望ましい割当てに近い状態が実現されることを実証する.
著者
松田 昌史 松原 繁夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.24, pp.85-90, 2005-03-15

複数の売手が、複数同一財を出品するオークションメカニズムを考案する。インターネットオークションにおいては多くの場合、相手の素性が不明であり、相手が優良な取引相手かどうかを知ることが困難である。社会的に効率の良い財の割当てを達成するためには、望ましくない取引相手をオークションから排除することが必要である。そのための方法として、本稿では買手が得た情報を他者と共有することで、望ましくない売手を特定し、取引から排除するオークションプロトコルを提案する。本プロトコルの特徴は、売手の素性がわからない状態の時に、一部の買手が売手と取引を行うことでその売手の情報を獲得し、それを他の買手や主催者と共有する誘因を、価格を優遇することで与える点にある。解析では、買手が正直に情報を共有することが均衡になることを証明する。また、計算機実験を行い、提案プロトコルでは社会的に望ましい割当てに近い状態が実現されることを実証する。To achieve a socially efficient allocation in Internet auctions, it is important to exclude insincere sellers,i.e., it is necessary to investigate unidentified sellers and share information on them. However, the first buyer (investigator) may suffer a loss if the seller is insincere, which discourages the buyer being an investigator. To solve this problem, we design auction protocols that motivate buyers to investigate unidentified sellers by determining an appropriate amount of payment. We prove that buyer`s truth telling is in equilibrium in this protocol. Moreover, experimental results show that the social surplus obtained by our protocol is close to an efficient allocation.
著者
松原 繁夫 水島 拓也
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

クラウドソーシングにおいて,最終的に得られる解の品質を高めるには,適切にワーカをタスクに割り当てることが必要である.本研究では,リクエスタが事前にタスクの人気度合いに関する情報を持つ場合に,選好に関するワーカの虚偽申告を防ぐ割当決定法を提案する.
著者
菅原 俊治 横尾 真 松原 繁夫 岩崎 敦
出版者
日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では,ネットワーク上の各リソースを市場原理に基づいて公平かつ効率的に割り当てるプロトコルを,その実装に向けて評価することを目的とする.P2Pや分散センサネットワークなどのアドホックなネットワークにおけるデータ転送では,個々のノードの所有者や規格が異なる.この場合,各ノードにデータを適切に転送するための誘因(報酬)を考慮しなければならない.この報酬の決定にはしばしばオークションプロトコルが用いられる.しかし従来のプロトコルでは,あるノードが架空のノードを用いるか他ノードと共謀することで,不正に報酬を獲得できることを示した.この場合、理論的にもっとも優れているVickrey-Clarke-Grovesプロトコル(VCG)でも、不正行為は防げない。本研究では、さらに、選択されうる経路を所有しているエージェントの数に応じたペナルティをVCGに適用し、Reserve-Costプロトコル(RC)を提案し、このプロトコルが架空名義を用いた操作の影響を受けないことを理論的に明らかにした。計算機上に再現した小世界ネットワークに対して、提案プロトコルを評価し、VCGに対して約60〜80%の効率性を達成することも示した。また実際のネットワークでは,各ノードでオークションなど取得可能な情報に基づいてどこからデータを受ける(送る)べきかを決定する必要がある.これは,入札可能な対象(サーバなど)が複数あるときに,適切な入札箇所をある程度推定することに相当する.しかし、ネットワークの資源割当てのように非常にたくさんの要求が同時に起こり、かつ多くの地点から独立に処理をする必要がある.このような状況で資源割り当てプロトコルで見られる現象の解析も行った。それぞれが合理的に判断をすると全体の効率が落ちる現象があり、このために揺らぎや学習を導入することが一定の効果を上げることを示した。
著者
松原 繁夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1340-1348, 2006-04-15
被引用文献数
1

本論文は動的環境における資源割当て問題を解決するオークションプロトコルを提案する.動的環境においては,資源の価値は不確実性を有する.すなわち,価値はオークションが行われる時点の状況だけでなく,割り当てられた資源が実際に使用される時点の状況に依存する.たとえば,天気が晴れの場合の価値は雨の場合の価値と異なるかもしれない.このような状況を扱う方法の1 つは,事象が生じるたびにオークションを行って,再割当てを行うことである.しかし,再割当ては不効用を生じるかもしれない.さらに,そのようなオークションはつねに均衡戦略が存在するとは限らない.均衡戦略が存在しなければ,どのような結果が得られるか予測できなくなる.この問題を解決するため,我々は新たなプロトコルを提案する.提案プロトコルは,入札者に資源の利用から得られる効用に加えて,再割当てによって生じる費用を申告させる.提案プロトコルでは,入札者の真実申告が均衡となり,期待値のうえで社会的に効率的な割当てが達成できることを証明する.This paper proposes an auction protocol for solving a resource allocation problem in dynamic environments. In such environments, the valuation of resources has uncertainty for each bidder, i.e., this valuation depends on the situation not only at the point when the auction is held but also at the point when the allocated resources are actually used. For example, a bidder's valuation in fine weather may be different from that in rainy weather. A solution for dealing with this problem is to execute auctions whenever an event occurs and then to re-allocate resources. Re-allocating resources, however, may cause disutility. Moreover, it does not always provide an equilibrium strategy because it can be viewed as a sequential auction, which means that we cannot accurately predict what outcome will be obtained. To solve this problem, we propose an auction protocol that allows bidders to declare the cost due to re-allocation and then decides an allocation based on this cost of re-allocation as well as the surplus obtained from the allocated resources themselves in the realized situation. We prove that a bidder's truth telling is in equilibrium and that a socially efficient allocation on expected values is obtained in the proposed protocol.
著者
伊藤 孝行 横尾 真 松原 繁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.602, pp.15-22, 2002-01-18

インターネット上のオークションでは, 不特定多数の人間が商品(財)を販売しており, 商品の質を正確に見極めるのは困難である.例えば, 骨董品が売られていたとしても, その骨董品が本物であるか偽物であるかを見極めることは難しい.もし買い手が, 偽物の骨董品を高い値段で購入してしまった場合, 買い手は, このオークションによって損害を被る.骨董品の質を見極めることができる専門家は, このオークションによって利益を得ることができてしまう.これは, オークションプロトコルが, 財の効率的な配分に失敗していることを意味する.そこで, 本論文では, 専門家に, 自然の選択に関する情報を正しく申告させることによって, パレート効率的な配分を実現し, かつ, 合理的な参加者が損害を被らないようなオークションプロトコルを設計する.本論文で提案するオークションプロトコルは以下の4つの特長を持つ.(1)専門家にとって真の申告をすることが支配戦略である.(2)専門家の人数に関する仮定の下で, 素人にとっても, 真の申告をすることが支配戦略となり, 反復支配戦略均衡を得られる.(3)反復支配戦略均衡のもとでパレート効率な割り当てを実現する.(4)非合理的なプレイヤが存在しても, その数がある閾値以下ならば, 合理的なプレイヤは損をしない.
著者
伊藤 孝行 横尾 真 松原 繁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.614, pp.11-16, 2003-01-23

インターネット上のオークションでは,不特定多数の人間が商品(財)を販売しており,商品の質を正確に見極めるのは困難である.例えば,骨董品が売られていたとしても,その骨董品が本物であるか偽物であるかを見極めることは難しい.そこで筆者らは過去に,買い手が財の質(例えば本物か偽物か)について正確に判断ができない場合,条件付きの入札が可能なオークションプロトコルを提案した.ここでは,専門家に,自然の選択に関する情報を正しく申告させることによって,合理的な参加者が損害を被らないようなオークションプロトコルの設計に成功した.本論文では,上のような状況において,複数財の組合せに対して入札が可能なオークションを設計する.ここで,専門家が単一の財に関して専門知識を持つ場合と複数の財に専門知識を持つ場合が考えられる.前者の場合でも複雑な問題であるが,後者はより複雑な問題になっている.そこで,本論文では,まず前者の場合のオークションプロトコルを設計する.すなわち,単一の財に関して専門知識と興味を持つ専門家に自然の選択に関する情報を正しく申告させ,素人にとって,真の申告をすることが最適反応戦略になるプロトコルを設計する.
著者
伊藤 孝行 横尾 真 松原 繁夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.8, pp.69-74, 2003-01-29

インターネット上のオークションでは,不特定多数の人間が商品(財)を販売しており,商品の質を正確に見極めることは困難である.例えば,骨董品が本物であるか偽者であるかを見極めることは難しい.そこで筆者らは過去に,買い手が財の質(例えば本物か偽者か)について正確に判断ができない場合,条件付きの入札が可能なオークションプロトコルを提案した.ここでは,専門家に,自然の選択に関する情報を正しく申告させることによって,合理的な参加者が損害を被らないようなオークションプロトコルの設計に成功した.本論文では,上のような状況において,複数財の組合せに対して入札が可能なオークションを設計する.ここで,専門家が単一の財に関して専門知識を持つ場合と複数の財に専門知識を持つ場合が考えられる.前者の場合でも複雑な問題であるが,後者はより複雑な問題となっている.そこで,本論文では,まず前者の場合のオークションプロトコルを設計する.すなわち,単一の財に関して専門知識と興味を持つ専門家に自然の選択に関する情報を正しく申告させ,素人にとって,真の申告をすることが最適反応戦略になるプロトコルを設計する.Auctions have recently commanded a great deal of attention in the field of multi-agent systems. Correctly judging the quality of auctioned goods is often difficult for amateurs, on the Internet auctions. We have formalized such a situation so that Nature selects the quality of the auctioned good. Experts can observe Nature's selection(i.e., the quality of the good) correctly, while amateurs, including the auctioneer, cannot. In often words, the information on Nature's selection is asymmetric between experts and amateurs. In this situation, it is difficult to attain an efficient allocation, since experts have a clear advantage over amateurs, and they would not reveal their valuable information without some reward. Thus, we have succeeded in developing a single unit auction protocol in which truth-telling is a dominant strategy for each expert. In this paper, we focus on a combinatorial auction protocol under asymmetric information on Nature's selection. Experts may have an interest in, and expert knowledge on, Nature's selection for several goods, i.e., experts are versatile. However, the case of versatile experts is very complicated. Thus, as a first step, we assume experts to have an interest in, and expert knowledge on, a single good. That is, experts are single-skilled. Under these assumptions, we develop an auction protocol in which the dominant strategy for experts is truth-telling. Also, for amateurs, truth-telling is the best response when experts tell the truth. By making experts to elicit their information on the quality of the goods, the protocol can achieve a socially desirable, i.e., Pareto efficient allocation, if certain assumptions are satisfied.
著者
伊藤 孝行 横尾 真 松原 繁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.10, pp.920-930, 2004-10-01
被引用文献数
2

インターネット上のオークションでは,不特定多数の人間が商品(財)を販売しており,商品の質を正確に見極めるのは困難である.例えば,骨董品が売られていたとしても,その骨董品が本物であるか偽物であるかを見極めることは難しい.商品の質が正確に見極められないことによって,商品の質に関する素人が,商品の質に見合わない価格で商品を購入してしまうという問題がある.そこで筆者らは過去に,買い手が財の質(例えば本物か偽物か)について正確に判断ができない場合に,条件付きの入札が可能なオークションプロトコルを提案した.ここでは,専門家に,自然の選択に関する情報を正しく申告させることによって,合理的なプレイヤが損害を被らないようなオークションプロトコルの設計した.本論文では,上記のような状況において,複数財の組合せに対して入札が可能なオークションを設計する.ここで,専門家が単一の財に関して専門知識をもつ場合と複数の財に専門知識をもつ場合が考えられる.前者の場合でも複雑な問題であるが,後者はより複雑な問題になっている.そこで,本論文では,まず単一の財に関して,専門知識と興味をもつ専門家に商品の質に関する情報を正しく申告させ,素人にとって,真の申告をすることが最適反応戦略になるプロトコルを設計する.本オークションプロトコルの特長は,以下の四つである.(1)専門家にとって,真の申告をすることが支配戦略である.(2)素人にとって,他の素人がどのような申告をするかにかかわらず,専門家が支配戦略をとると仮定した上で真の申告をすることが最良の戦略となる.(3)パレート効率的な割当を実現する.(4)非合理的なプレイヤが存在したとしても,その数が1人ならば,合理的なプレイヤの効用が負になることはない.