著者
松田昌史
雑誌
心理学研究
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.413-421, 2001
被引用文献数
3 3

3 0 0 0 OA 信頼と協力

著者
松田 昌史 山岸 俊男
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.413-421, 2001-12-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
30
被引用文献数
5 8

This study examined the relationship between cooperation and trust in interpersonal trust formation. Previous studies of trust and cooperation using prisoner's dilemma (PD) games failed, methodologically as well as conceptually, to distinguish the former from the latter. In response to the criticism on the use of iterated PD games, and for the purpose of investigating dynamic relationship between trust and cooperation, an improvement in research methodology was recently proposed: namely, PD with choice of dependence (PD/D; Kakiuchi & Yamagishi, 1997; Yamagishi & Kakiuchi, 2000). We conducted an experiment to compare formation of trust relations in PD and PD/D. Result indicated a higher level of cooperation in PD/D than in PD. Further analysis of strategies used to build trustful relationship, where two partners trusted each other and reciprocated the other's trusting behavior, revealed that participants in PD/D adopted “cautious and unconditional cooperation strategy” rather than TFT strategy.
著者
真島 理恵 山岸 俊男 松田 昌史
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.175-183, 2004-03-15 (Released:2017-01-13)

The purpose of this study was to examine the role of trust in relationships between temporary partners. In this study, we predicted that trust would play a "signaling" role in promoting mutual cooperation, even in relationships with unfixed or temporary partners. To examine this prediction, we conducted an experiment using two different games. We used the repeated PD/D (prisoner's dilemma with choice of dependence) game, which can measure trusting behavior independently from cooperation. Also, we used the ordinary PD game in which there is no option for trust. Seventy participants were assigned to either the PD/D condition or the ordinary PD condition. In both conditions, players interacted with a randomly matched partner in each trial. The results reveal that the cooperation rate in the PD/D game was significantly higher than that in the PD game. Such a finding indicates that trust serves as a signal of the player's intention, which in turn, promotes mutual cooperation. However, in a similar experiment in which players interacted with the same partner, Matsuda & Yamagishi (2001) found a much lower cooperation rate in the PD/D condition than what was found in this experiment. Therefore, we conclude that the role of trust in non-fixed relationships has only a limited effect for promoting mutual cooperation.
著者
松田 昌史
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

人間の社会行動を分析対象とする方法論には,事例研究法,調査法,観察法,実験法などいくつかの立場がある.当然,それぞれに一長一短があるが,本稿では著者が携わってきた実験法に焦点を当て,「仕掛学」研究推進のためのヒントを示したい.小集団内の対人相互作用に関する実験をはじめ,不特定多数の人々の関わる社会制度の形成・維持に関連した実験研究例を紹介したい.
著者
奥村 優子 池田 彩夏 小林 哲生 松田 昌史 板倉 昭二
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.201-211, 2016

<p>評判は,人間社会における利他行動の促進や社会秩序の維持に重要な役割を果たしている。評判を戦略的に獲得するために成人は"評判操作",つまり,他者に見られていることに敏感となり,他者の自分に対する印象や査定を操作する行動をとることが示されている。一方で,就学前の子どもにおいて,幼児が場面に応じてどのように評判操作をするのかは不明な点が多い。そこで本研究では,幼児の評判操作に関して2つの検証を行った。1点目は,5歳児が他者に観察されている場合に良い評判を得るように,また悪い評判を付与されないように評判操作をするかどうかであった。2点目は,5歳児が目のイラストのような他者を想起させる些細な刺激によって評判操作をするかどうかであった。研究1では,幼児が自分のシールを第三者に提供することで良い評判を得ようとするかを検討した結果,観察者,目の刺激,観察者なしの3条件で分配行動に有意な違いはみられなかった。研究2では,幼児が第三者のシールを取る行動を控えることにより悪い評判を持たれないようにするかを検討した結果,観察者条件では観察者なし条件に比べて奪取行動が減少した。一方,目の刺激条件と観察者なし条件とでは,行動に違いはみられなかった。これらの結果から,5歳児は悪い評判を持たれることに対して敏感であり,実在の他者から見られている際に戦略的に評判操作を行うことが示された。</p>
著者
白井 良成 松田 昌史 藤田 早苗 小林 哲生 岸野 泰恵
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1660-1679, 2020-11-15

位置情報ゲームをWWWをフィールドとして実現するゲームの概念,WBG(WWW-based games)を提案する.膨大なコンテンツが存在し,多くの人が日常的に利用するWWWをフィールドにしたゲームを構築することで,WWW上のデータを利用したヒューマンコンピュテーション,Webコンテンツを利用した能力開発,Webサイトへの集客効果など様々な効果が実現できる.一方,その構築においては,実世界とは異なるWWWの特徴を考慮する必要がある.本論文では,実世界を対象とした位置情報ゲームとの対比からWBGの概念を整理し,また,WWW上の文字列を擬人化してWebサイトを奪い合うゲーム,テキストモンスターを題材に,WBGによる新たなゲーム体験の実現性,構築によって得られた設計に関する知見,副次的効果の実現可能性について論じる.
著者
松田 昌史 松原 繁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.727, pp.31-36, 2005-03-08

複数の売手が, 複数同一財を出品するオークションメカニズムを考案する.インターネットオークションにおいては多くの場合, 相手の素性が不明であり, 相手が優良な取引相手かどうかを知ることが困難である.社会的に効率の良い財の割当てを達成するためには, 望ましくない取引相手をオークションから排除することが必要である.そのための方法として, 本稿では買手が得た情報を他者と共有することで, 望ましくない売手を特定し, 取引から排除するオークションプロトコルを提案する.本プロトコルの特徴は, 売手の素性がわからない状態の時に, 一部の買手が売手と取引を行うことでその売手の情報を獲得し, それを他の買手や主催者と共有する誘因を, 価格を優遇することで与える点にある.解析では, 買手が正直に情報を共有することが均衡になることを証明する.また, 計算機実験を行い, 提案プロトコルでは社会的に望ましい割当てに近い状態が実現されることを実証する.
著者
松田 昌史 松原 繁夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.24, pp.85-90, 2005-03-15

複数の売手が、複数同一財を出品するオークションメカニズムを考案する。インターネットオークションにおいては多くの場合、相手の素性が不明であり、相手が優良な取引相手かどうかを知ることが困難である。社会的に効率の良い財の割当てを達成するためには、望ましくない取引相手をオークションから排除することが必要である。そのための方法として、本稿では買手が得た情報を他者と共有することで、望ましくない売手を特定し、取引から排除するオークションプロトコルを提案する。本プロトコルの特徴は、売手の素性がわからない状態の時に、一部の買手が売手と取引を行うことでその売手の情報を獲得し、それを他の買手や主催者と共有する誘因を、価格を優遇することで与える点にある。解析では、買手が正直に情報を共有することが均衡になることを証明する。また、計算機実験を行い、提案プロトコルでは社会的に望ましい割当てに近い状態が実現されることを実証する。To achieve a socially efficient allocation in Internet auctions, it is important to exclude insincere sellers,i.e., it is necessary to investigate unidentified sellers and share information on them. However, the first buyer (investigator) may suffer a loss if the seller is insincere, which discourages the buyer being an investigator. To solve this problem, we design auction protocols that motivate buyers to investigate unidentified sellers by determining an appropriate amount of payment. We prove that buyer`s truth telling is in equilibrium in this protocol. Moreover, experimental results show that the social surplus obtained by our protocol is close to an efficient allocation.
著者
松田 昌史 八重樫 海人 大坊 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.457, pp.79-84, 2010-03-01
被引用文献数
3

ビデオ会議システムは,対面状況と同等なコミュニケーション環境を遠隔地間につくり出すことを目標の一つとしている.本稿では,遠隔地と空間共有を目指すt-Roomを取り上げ,同システムがこの目標を満たしているかどうかを評価した.本稿では評価法に関するロジックと,実際に評価を行った結果について報告する.評価の結果,必ずしも対面状況と同等の結果が得られるわけではないが,t-Roomでは対面状況と同様に平等的な選択がなされやすいことがわかった.また,地点間の人数の不均衡によるバイアスは発生せず,その点においては対面状況と同等であるとみなせることがわかった.
著者
松田 昌史 八重樫 海人 大坊 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.383, pp.37-42, 2011-01-14
被引用文献数
1

ビデオ会議システムの究極の目標の一つは,対面状況と同等な環境を遠隔地間に作り出すことにあると言える.本研究は,遠隔地間で利用者の相対位置を共有することのできるビデオコミュニケーションシステムt-Roomを取り上げ,同システムがこの目標を満たしているか確かめることを目標とする.本稿では評価法に関するロジックと,実際の評価について説明し,先行実験の結果を確認するための追加実験のデータを報告する.追加実験の結果,先行実験の結果がおおむね再現され,t-Roomは対面状況と同様な合議結果がもたらされやすいことがわかった.
著者
松田 昌史
出版者
日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

ビデオ通信環境における利用者間の位置関係の共有が,対人印象形成に与える影響を調べることを目標とする.一般的なビデオチャット・システムでは,利用者間の物理的な位置関係が抽象化されるため,自然な身振りや視線といった非言語行動で会話の調整を行うことが難しい.ゆえに,非言語行動を発話による言語行動で補償する.そのような不自然な発話行動は利用者本人の印象を悪化させることになることを実験によって実証した.