著者
中山 浩太郎 岩澤 有祐 黒滝 紘生 松尾 豊
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.1102-1109, 2015-10-15

Deep Learningが人工知能研究のブレークスルーとして研究者の注目を集め始めてから久しく,Google,Face-book,Baiduなどが積極的に研究開発に参加,DeepMindなどの強烈なインパクトを持った研究が行われるなど,発展著しい研究領域となった.これに伴い,ここ数年でTorch,Caffe,Pylearn2/Theanoなどの実装が急速に整備され,これらのライブラリを利用した研究も盛んに行われている.本稿では,Deep Learningの概要と,2015年における研究・開発の状況を主に実装面から俯瞰する.また,筆者らが開発しているGPUを利用した高速・高機能のSdA 実装「GeSdA」も紹介する.これからDeep Learningに関する研究を始める研究者や,利用を考えている読者の一助になれば幸いである.
著者
小松 怜史 松尾 豊史 三浦 智久 石川 哲哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.22-00212, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
23

洋上風力発電設備コンクリート浮体の疲労特性を解明するため,本研究では縮小部分模型供試体を製作し,供用環境を想定した各種条件(水の有無,応力強度比など)にて常時圧縮応力下での疲労載荷実験を行った.結果,コンクリート内に湿潤する水の影響により水中では気中と比べ疲労寿命が2オーダー低下することなどが示された.また最大振幅の応力強度比が大きい場合,接合部近傍では部材中央部と比べて疲労寿命が低下する傾向にあった.具体的には最大振幅が応力強度比70%の場合,接合部近傍が中央部と比べ疲労寿命が1オーダー短くなった.接合面の面着状態が大きく影響していると考えられる.なお本実験の範囲内では,現行のコンクリート標準示方書の疲労強度式を適用して,PRC部材(設計基準強度60N/mm2相当)の疲労寿命を概ね評価可能であった.
著者
松尾 豊
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.36-46, 2022-03-01 (Released:2022-03-15)
参考文献数
35

This paper proposes an integrated architecture for intelligence based on recent advances in deep learning. Two systems, called BeastOS and Language App, represent the sensori-motor and symbolic processing systems. The world model is acquired through physical interaction in the environment. By disentangling factors in the world model, a counter-factual imagination becomes possible. A query to Language App can trigger the generation of data using the world model and generate an answer based on that. Such integration of deep learning models with external modules has been shown to be possible in a number of existing studies. Furthermore, we argue that primitive features such as knowledge processing, reasoning, long-term planning, and decision making can be obtained by learning on the corresponding datasets or tasks, called linguistic tasks. The main claim of this proposal is that symbolic processing is a set of functions acquired through deep learning and discrete inputs and outputs. The proposed model is novel in that it integrates a large amount of prior research discussion in the field of AI and cognitive science with the latest findings in deep learning.
著者
関 喜史 福島 良典 吉田 宏司 松尾 豊
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.95-115, 2017-02-15 (Released:2017-05-15)
参考文献数
17

推薦システムのユーザ体験を高めるために重要な指標の 1 つが多様性 (Diversity) である.多様性は推薦システムが提示するリスト内には様々なコンテンツが含まれるべきという考え方であり,過去の研究では多様性が含まれるリストの方がユーザに好まれるとされている.しかし実際のサービス上で推薦システムを検証したという報告は少なく,サービス上で多様性がユーザにどのような影響を与えるのかは明らかになっていない.本研究では実際にサービスとして提供されているウェブページ推薦システムを分析し,その推薦システムに多様性を導入して比較を行った事例について報告する.まず多様性が導入されていない推薦システムのユーザ行動を分析し,結果としてリストの中位以降に表示するウェブページに課題があることを明らかにした.その上で多様性を導入し,多様性のない既存システムとサービス上でのユーザ行動を比較した.結果として継続率やサービス利用日数が有意に改善していることを示し,従来研究で示されていた多様性を含む推薦リストの方がユーザに好まれるということを実サービス上で示した.そして利用日数が増えるに従ってリスト全体のクリック数が改善していくこと,特にリスト下部のクリック率が多様性のない手法では下がっていくのに対して,多様性のある手法では向上していくことを示した.
著者
大澤 昇平 松尾 豊
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.10, pp.870-881, 2017-10-01

FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを対象にした分析研究では,分析対象となるエンティティの属性情報を収集するために,ソーシャルメディアの提供するAPI (application programming interface)に対するサンプリングが行われることがある.APIの中でも,検索APIに対するサンプリングはこれまで事例が少なく,効率的なサンプリング手法については明らかになっていない.本論文では,Wikipediaから得られるオントロジーを用いることで,検索APIを利用したサンプリングの効率を高めることができることを示す.具体的に,オントロジーから複数の辞書を生成し,収集したいトピックに合わせて適応的に用いる辞書を変える手法を提案する.また,辞書の評価指標として推定Jaccard指標を提案する.実験では,提案手法がFacebookから25.8%にあたる1800万件のエンティティをサンプリングでき,推定Jaccard係数を用いた手法が既存手法よりも効率が高いことを報告する.
著者
宮崎 邦洋 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.2D3OS19a3, 2017 (Released:2018-07-30)

機械学習を用いた株式市場における株価予測の研究を多く行われており、その手法を用いて運用する資産運用会社も少なくない。また一方で、機械学習のアルゴリズムも発展を続けており、特にDeep Learningは従来の機械学習よりも上手くデータの特徴を捉え、画像処理などにおいて良い精度を出すことが確認されている。本研究では、そのDeep Learningの株価予測における有効性を分析する。
著者
田村 浩一郎 大澤 翔平 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

ソーシャルメディアは,センサとしてだけでなく,アクチュエーターとしても機能している.ソーシャルセンサはソーシャルメディアから獲得されたデータを用いて,実世界の現象やトレンドを検出することができる.ソーシャルセンサによって獲得された情報は,実世界の観測と予測の可能性を高めたが,ソーシャルメディアその自身と実世界の間の因果関係は今まで議論されてこなかった.近年,インスタ映えというインスタグラムに投稿する写真をとるための消費行動が話題となり,ソーシャルメディアから実世界への因果関係を分析する重要性は高まっている.この研究では,ソーシャルアクチュエーターという新しい概念を提案する.ソーシャルメディアにおいて他のユーザーとの相互作用によって蓄積される内部情報を表すinternal statesを導入し,そして交絡要因の存在への対処方法を示す.今回の実験では,仮想通貨市場を対象とし,Twitterのデータを用いて,Twitterでの要因から仮想通貨市場に対する因果を検証した.そして提案手法の拡張性について議論し,我々全員がソーシャルメディアを通して実世界に働きかけることが可能であることを考察した.
著者
吉田 宏司 榊 剛史 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

本研究では,ソーシャルメディアを用いた支持獲得に関して分析と提案を行う.Google+とAKB48を事例として取り上げ,ソーシャルメディアでの支持者の観測可能性に関する分析と,支持者の獲得状況を俯瞰する支持者の類似ネットワークと遷移ネットワークの構築を行う.また,支持者の遷移ネットワークを用いた支持者獲得先の競合ユーザの選択手法の提案を行う.提案手法をAKB48に適用し,その有用性を評価する.
著者
関 喜史 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

SNSの登場によってウェブ上のコンテンツはアクセスされるだけでなく共有される様になった.最近ではSNSに共有されることを狙ったバイラルメディアとよばれるウェブメディアも登場し,その重要性はさらに高まっている.本研究ではニュースアプリのユーザ行動を分析することにより,ユーザがどのようにコンテンツを消費し共有するに至っているのかを明らかにすることを目指す.
著者
大知 正直 関 喜文 川上 登福 小野木 大二 野村 眞平 吉永 恵一 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

家や車を購買する場合,さまざな商品を比較し検討をするだろう.本研究はこうした購買行動を考慮した推薦手法を提案する.不動産情報サイトの行動履歴を元に実験した結果,従来手法と比較し最大1.14倍将来的なCV率が上昇することがわかった.また,推薦ページへの遷移確率が0.4以上の場合効果があった.本研究は購買したい商品イメージがあいまいなユーザに対しても効果的な推薦を可能にする.
著者
関 喜史 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

論文の評価指標として論文被引用数は重要である。以前から書誌計量学の分野では書誌情報と論文被引用数の相関を求める研究が数多く行われているが将来的な予測にまでは踏み込んでいない。本研究では論文の書誌情報に加えて論文の引用情報から特徴量を生成し、その論文が将来獲得する被引用数の予測を試み、論文被引用数の予測システムの可能性について考察する。
著者
小林 由弥 鈴木 雅大 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.I-L75_1-17, 2022-03-01 (Released:2022-03-01)
参考文献数
63

Ability to understand surrounding environment based on its components, namely objects, is one of the most important cognitive ability for intelligent agents. Human beings are able to decompose sensory input, i.e. visual stimulation, into some components based on its meaning or relationships between entities, and are able to recognize those components as “object ”. It is often said that this kind of compositional recognition ability is essential for resolving so called Binding Problem, and thus important for many tasks such as planning, decision making and reasoning. Recently, researches about obtaining object level representation in unsupervised manner using deep generative models have been gaining much attention, and they are called ”Scene Interpretation models”. Scene Interpretation models are able to decompose input scenes into symbolic entities such as objects, and represent them in a compositional way. The objective of our research is to point out the weakness of existing scene interpretation methods and propose some methods to improve them. Scene Interpretation models are trained in fully-unsupervised manner in contrast to latest methods in computer vision which are based on massive labeled data. Due to this problem setting, scene interpretation models lack inductive biases to recognize objects. Therefore, the application of these models are restricted to relatively simple toy datasets. It is widely known that introducing inductive biases to machine learning models is sometimes very useful like convolutional neural networks, but how to introduce them via training depends on the models and is not always obvious. In this research, we propose to incorporate self-supervised learning to scene interpretation models for introducing additional inductive bias to the models, and we also propose a model architecture using Transformer which is considered to be suitable for scene interpretation when combined with self-supervised learning. We show proposed methods outperforms previous methods, and is able to adopt to Multi-MNIST dataset which previous methods could not deal with well.
著者
大澤 昇平 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1I23in, 2014

<p>近年、ソーシャルメディアの台頭により、人間関係に関連する膨大な情報がウェブ上に蓄積されるようになり、信頼性に関する指標を定量化することが可能になっている。 本研究では、従来の組織内の文書を対象にしたエキスパート検索と、ソーシャルメディアに蓄積されている信頼性に関する情報を統一的に扱う枠組みを実現する。</p>
著者
久保 静真 岩澤 有祐 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では、Generative adversarial networks(GANs)に基づく写真上の自動着せ替えの新しい手法であるSwapGANを提案する。Conditional Analogy GAN(CAGAN)は、GANに基づく自動着せ替えの手法として既に提案されているが、複雑なパターンの服の生成は難しい。衣類の領域を考慮することで、SwapGANはCAGANよりも服のパターンをよりよく反映させることが出来る。このSwapGANは、大規模なデータセットで訓練されたセグメンテーションのモデルを使用してして、写真上の人物の衣服の領域を最初に取得する。次に、取得した領域を用いて衣服部分を人間の画像から除去する。そして、空白領域に所望の衣服を描写する。このようにネットワークは新しい服を人の服の領域に適用出来るようになる。さらに、テスト時にCAGANで必要であった人物が元々着用している服の画像はSwapGANでは不要になる。