著者
鶴 正人 内田 真人 滝根 哲哉 永田 晃 松田 崇弘 巳波 弘佳 山村 新也
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.16, pp.16_57-16_68, 2011-03-01 (Released:2011-06-01)
参考文献数
43
被引用文献数
3 15

インターネットは世界を結ぶ情報社会の基盤となっている.しかし,その基礎となるTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)技術の設計の中では,極端に長い通信遅延時間,頻繁なパケット損,間欠的な通信リンクの出現,などが発生する通信環境は想定されておらず,情報通信を必要とする環境の著しい多様化に対応するためには拡張が必要である.惑星間インターネットを起源に持つ,遅延耐性ネットワーク(DTN:Delay, Disruption, Disconnection Tolerant Networking)と呼ばれる技術領域は,従来のTCP/IP 技術では対応できなかった状況においてもエンドツーエンドの情報伝達を実現する枠組みとして誕生した.本論文では,従来技術をある程度知っている読者を想定し,近年研究が活発化しているDTN 技術に関して概説を与える.DTN 技術を時間的・空間的不連続性の下で非実時間通信を効率的に行うための中継技術として捉え,その基本技術である蓄積形及び蓄積運搬形転送に焦点を当て,標準的なアーキテクチャや,中継経路の制御手法及び中継データの符号化手法についての技術動向を概観する.蓄積(運搬)形転送は,従来のTCP/IP 技術の制約を超える新世代ネットワーク技術として進展が期待できる.
著者
出口 恭代 松田 崇 神野 俊介 坂本 典子 蕨野 博明 真木 徹 廣田 智也
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第25回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.107, 2009 (Released:2010-04-21)

【はじめに】肩関節周囲炎は、有痛性の可動域制限と夜間痛が特徴である。今回、自己牽引で夜間痛を軽減できた症例を経験したので報告する。 【症例提示】60歳代男性。3年前に利き手の右肩痛を自覚、1年前より夜間痛が発生、運動時痛も悪化し整形外科を受診された。右肩関節周囲炎と診断され関節注射を受けたが軽減せず、半年後理学療法(以下PT)処方された。初期評価時は、夜間痛が毎晩生じ睡眠が中断され、腕をかかえて痛みに耐えている状態であった。部位は肩峰下と上腕骨前面に大別され、肩峰下の疼痛が特に強かった。圧痛は肩関節周囲すべての筋に認めた。自動運動時痛と可動域制限も強く、髪結いは困難、結帯動作は不可能、左腋窩に体温計を挟めなかった。職業のバス洗車も支障をきたし、趣味で続けていた野球も中断していた。 【治療経過】治療は週5回行い、筋スパズムを緩和し軟部組織や靭帯を伸張することで、除痛と可動域拡大を目指した。PT開始後6日目に自己牽引を指導した。方法はカルテンボーンのオートストレッチ法を参考にした。椅子坐位を取り左臀部に体重を移動する。右上肢を体側に垂らして座面の右端を握り、肘関節を伸展したままさらに手指屈筋に力を入れる。手指を支点に手関節背面が下がることで肩峰下が離解される。数日後、夜間痛で目覚めた際に自己牽引を行うとすぐに痛みを消失できると伝えられた。仰臥位のままベッド端を把持し引いても効果があると言われた。PT開始から20日で結帯動作や左肩への触知も可能となり、日常生活での運動時痛も消失した。睡眠中断も減り、夜間痛が生じても自己牽引で消失できる状態が約1月続いた。しかしその後、上腕骨に沿った夜間痛が多く出現し自己牽引でも軽減せず、現在もPT継続している。 【考察】夜間痛の発生原因は不明な点が多いが、肩峰下圧の上昇が関与しているとの報告が散見される。自己牽引で肩峰下滑液包が拡大し、圧を下げることができたと考えられた。この方法では特定部位の除痛効果しかなく根本的な治療とは言えない。しかし苦痛を緩和する自己調整法として有効ではないかと考えられ、今後さらに症例を重ね検討したい。
著者
酒井 佑 松下 陽介 松田 崇弘 山本 幹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.204, pp.37-40, 2003-07-11

本研究では,無線リンク上の誤り制御としてARQを用いた無線TCPの伝送特性に注目している.ARQは無線端末が固定の基地局と接続する静的な環境においてはTCPの性能改善に対して有効であることが知られている.しかしハンドオーバが発生する動的な環境では,基地局においてARQの再送処理によりリンクレイヤバッファに蓄積されたフレームはハンドオーバ時に廃棄されるため,必ずしも有効であるとは限らない.本研究では計算機シミュレーションにより,ARQのパラメータである最大再送回数に依存して,TCPの伝送特性はハンドオーバにより著しく劣化することを示した.本研究の結果は,移動通信では静的見地からだけでなく動的見地からもARQの設計を行う必要があることを示している.
著者
松田 崇
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.384-389, 2016-03-15

コンビニエンスストアを中心に普及した多機能小型ATMは,より多くの人に使いやすいユーザエクスペリエンスを実現する一方,24時間いつでも近所のATMを利用できるライフスタイルを提供するなど,新しい社会基盤としての側面を持つ.本稿ではコンビニATMの概要と社会に受け入れられてきた経緯や背景,ユーザインタフェースの進化とそのベースになったユーザエクスペリエンス(UX)に着目した開発の取り組みを紹介する.
著者
村田 真一 松田 崇弘 西森 健太郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.3, pp.229-239, 2022-03-01

無線信号が送出されている位置を推定する波源推定技術は,現在あるいは将来の無線通信技術における周波数有効利用のための一つの重要な技術である.本論文では,複数の無人飛行機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)を用いて波源推定を行う技術について検討する.各UAVはアレーアンテナを搭載し,アンテナ信号処理推定された信号の到来方向(DOA: Direction of Arrivals) より,波源推定を実現する.波源とUAVの間で見通し内(LOS: Line-of-Sight)伝搬路が確保されている場合,複数のUAVで推定された到来方向を組み合わせることにより波源の位置を推定することができる.一方,波源とUAVの間が見通し外(NLOS: Non-Line-of-Sight)伝搬路である場合には,到来方向から直接波源位置を推定することはできない.本論文では,到来方向分布の広がりが波源とUAV間の距離が大きくなると狭くなることに注目し,NLOS環境における最ゆう推定を用いた波源推定手法を提案する.提案手法では,各UAVにおける信号の到来方向は単峰型の角度分布として知られるvon-Mises分布に従うと仮定し,複数のUAVで推定された到来方向よりゆう度関数を構成し,繰り返し推定により波源の位置とvon-Mises分布のパラメータを推定する.
著者
松田 崇弘
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第57回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.1068-1071, 2014 (Released:2016-03-02)

ネットワーク計測技術は,ネットワーク設計や信頼性確保のために必要不可欠な技術である.本稿では,ネットワーク内部に発生した故障箇所や異常トラヒックの発生を検出するためのネットワーク計測技術について紹介する.
著者
Abeysekera B. A. Hirantha Sithira 松田 崇弘 滝根 哲哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.628, pp.91-96, 2006-02-23
被引用文献数
1

IEEE 802.11規格の無線LAN環境では,アクセスポイント(AP)が下りフローを多重化しているにもかかわらず無線端末と同等のアクセス権しか割り当てられていないことから,複数の下りフローがAPで多重化されている場合,上下フロー間にスループットに関する不公平が生じることが知られている.本稿では,APにおけるMACプロトコルを改良することにより公平性を改善する方式を提案する.提案方式はMACプロトコルのパラメタであるコンテンションウインドを変更することによりAPに優位性を与える方式であり,APのMACプロトコルのみの改良で実現できる.また,パラメタの最適値は一般には上りフローと下りフローの数で決まるが,提案方式はAPを通過する下りフロー数のみに基づいた簡易な制御となっている.TCPおよびUDPトラヒックに対する提案方式の有効性をシミュレーションにより検討する.