著者
坪井 潤一 森田 健太郎 松石 隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.180-185, 2002-03-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
28
被引用文献数
14 15 9

北海道南部の4河川において,天然のイワナSalvelinus leucomaenisを用いて,キャッチアンドリリース後の成長,生残,釣られやすさを調べた。釣獲直後の死亡率は6.7%であり,過去の研究結果に近い値であった。一方,キャッチアンドリリースが行われた個体において,成長率や生残率の低下は認められなかった。また,釣られやすさは釣獲経験のある個体と無い個体で同程度であった。よってキャッチアンドリリースを行うことは資源量および釣獲量の増大に有効であることが示唆された。
著者
馬場 真哉 松石 隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.2-9, 2015 (Released:2015-02-02)
参考文献数
23
被引用文献数
4

本研究では,ランダムフォレストを用いたサンマ来遊量予測モデルを作成し,その予測精度をモンテカルロリサンプリングにより評価した。応答変数はサンマ来遊資源量指数を 3 カテゴリに分けたものである。説明変数は 1972-2011 年の海洋環境など 22 項目 186 種類を使用した。変数選択の結果,4 種の変数のみが説明変数として選ばれ,説明変数の圧縮が可能となった。予測の的中率はおよそ 62% となり,現状の予測精度をやや上回った。
著者
芳山 拓 坪井 潤一 松石 隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.87, no.5, pp.461-472, 2021-09-15 (Released:2021-10-01)
参考文献数
38
被引用文献数
1

遊漁対象種の希少性や生物学的特性の違いに着目し,北海道然別湖,朱鞠内湖および洞爺湖における遊漁者を対象に,遊漁者の満足度と釣果の関係を比較した。その結果,1)希少魚の釣果は1尾の釣果が遊漁者の満足度を大きく高める,2)希少魚の釣果はその魚種が1番の狙いの魚種でなくとも遊漁者の満足度に影響を与えうる,3)大型に育つ遊漁対象種では釣獲尾数よりも体サイズに満足度の主眼がおかれる,4)遊漁対象種に食用としての価値が高い場合,遊漁者にとって満足といえる釣獲尾数はより多くなる,という傾向が明らかになった。
著者
松石 隆 松田 純佳 黒田 実加 佐藤 雅彦 佐藤 里恵 石川 創
出版者
利尻町立博物館
雑誌
利尻研究 (ISSN:09199160)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.83-88, 2017-03

Rishiri Island is located in the Sea of Japan off the west coast of Hokkaido, Japan. Stranding record at this island could be important information for understanding the migration of the cetacean in the Sea of Japan. A total of 21 stranding records were collected. Each stranding records consisted of one individual. The records include 6 Stejneger's beaked whales Mesoplodon stejnegeri (including one unidentified Mesoplodon), 4 Dall's porpoises Phocoenoides dalli (one truei-type, two dalli-type and one type unidentified), 4 harbor porpoises Phocoena phocoena, 3 Baird's beaked whales Berardius bairdii, 1 killer whale Orcinus orca, 1 beluga Delphinapterus leucas (sighting) and 2 unidentified cetaceans.
著者
坪井 潤一 松石 隆 渋谷 和治 高田 芳博 青柳 敏裕 谷沢 弘将 小澤 諒 岡崎 巧
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.16-00039, (Released:2016-10-20)
参考文献数
24

西湖で発見されたクニマスは,近縁種であるヒメマスと区別されずに釣獲されている。毎年,解禁から2日間,ビクのぞき調査を行い,鱗による年齢査定,遺伝子解析による種判定を行った。Age-length keyから,体長組成分布を年齢組成に変換した。年齢組成から,平衡状態を仮定して全減少係数Zを推定し,寿命から得られた自然死亡係数を用いて,漁獲係数Fを推定した。総釣獲尾数CとF,Zの関係から資源尾数Nを推定し,クニマスの比率を乗じた結果,クニマス資源量は4,300-11,000尾と概算された。
著者
小池 裕子 松石 隆 西田 伸
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

本研究では、鯨類の特に座礁集団および個体に着目し、座礁の原因究明の一つの手段として、ウィルス感染の有無とその動向のモニタリング、および検出されたウィルスの系統解析をおこない、宿主-ウィルスの共進化関係の有無と、免疫遺伝子MHCとの相互関係について探ることを目的としてきた。本年度も引き続き日本各地において座礁・混獲された鯨類より試料の収集をおこない、10鯨種・47個体の試料を得た。これは北海道ストランディングネットワーク・北海道大学・国立科学博物館・大村湾スナメリネットワーク(仮称)・宮崎くじら研究会との連携によるものであり、本プロジェクトもこれらネットワークの構築・運営の一部に携わっている。これまでに蓄積された試料について、DNA診断によるウィルス検出をおこなったところ、4鯨種・4個体よりヘルペスウィルスが検出された。本年度は特にこれらの系統解析と病理学的所見との関連性について解析を進めた。系統解析の結果、カズハゴンドウの鼻腔粘膜およびオキゴンドウの肺より検出されたウィルスは、それぞれ新たな系統のアルファヘルペスで、オウギハクジラおよびマッコウクジラのリンパ節からのものは、同じく新たな系統のガンマヘルペスと同定された。鯨類から検出されたアルファヘルペスウィルスは単一のクレードを形成し、種1分類群特異的な進化が示唆された。一方で、ガンマヘルペスウイルスの鯨類クレードは大きく2つに分かれており、これらウィルスの起源が複数あることを示した。またアルファヘルペスウィルスは主に呼吸器系統から、先行研究におけるガンマヘルペスウイルスは主に生殖器から、そして本研究によるガンマヘルペスウィルスはリンパ節から検出され、これらの系統のウィルスがそれぞれ異なる組織をターゲットとし、潜伏感染をおこなっていることが示唆された.なおこれらの結果は学術誌に投稿中である。
著者
芳山 拓 坪井 潤一 松石 隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.858-871, 2018-09-15 (Released:2018-10-19)
参考文献数
23
被引用文献数
4 5

適切な管理の下での希少魚を対象とした遊漁は,遊漁者の消費を通じて希少魚を保全する社会的・経済的根拠を強める。本研究では,北海道然別湖におけるミヤベイワナ遊漁と,朱鞠内湖におけるイトウ遊漁において,遊漁者の消費実態を明らかにした。どちらの湖ともに,全国各地から遊漁者が訪れていた。遊漁者がそれぞれの湖で釣りをするために消費した金額は,然別湖では年間3,328万円,朱鞠内湖では4,156万円と推定された。このうち,交通費以外はほぼすべて遊漁料や宿泊滞在費として釣り場近隣地域で消費されたと考えられた。
著者
芳山 拓 坪井 潤一 松石 隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.21-00007, (Released:2021-08-25)
参考文献数
38
被引用文献数
1

遊漁対象種の希少性や生物学的特性の違いに着目し,北海道然別湖,朱鞠内湖および洞爺湖における遊漁者を対象に,遊漁者の満足度と釣果の関係を比較した。その結果,1)希少魚の釣果は1尾の釣果が遊漁者の満足度を大きく高める,2)希少魚の釣果はその魚種が1番の狙いの魚種でなくとも遊漁者の満足度に影響を与えうる,3)大型に育つ遊漁対象種では釣獲尾数よりも体サイズに満足度の主眼がおかれる,4)遊漁対象種に食用としての価値が高い場合,遊漁者にとって満足といえる釣獲尾数はより多くなる,という傾向が明らかになった。
著者
市森 大地 鈴木 駿介 小島 千里 石森 謙太郎 杉谷 舞 松田 純佳 小野 雄大 松石 隆
出版者
日本セトロジー研究会
雑誌
日本セトロジー研究 (ISSN:18813445)
巻号頁・発行日
no.23, pp.29-33, 2013
被引用文献数
2

10年間通年にわたって津軽海峡で実施している鯨類目視調査計375回で発見された全鯨種について集計し、その出現の季節性と経年変化を検討した。この期間に発見された鯨類は1,876群19,065頭となり、カマイルカ、イシイルカ、ネズミイルカ、ミンククジラ、ハンドウイルカ、マイルカ、シャチの少なくとも7種類の鯨類が発見された。シャチを除く6種が4月~6月に発見頭数のピークを迎えた。一方8月~10月はどの種も遭遇率が少なく、カマイルカとネズミイルカを除く5種は、10年間に1度もこの時期の発見がなかった。ネズミイルカは、遭遇率が年々有意に増加していた。マイルカとハンドウイルカは2004年以降発見されなくなった。一方、シャチは2009年以降に発見されるようになった。
著者
菅野 泰次 上田 祐司 松石 隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.67-77, 2001-01-15
参考文献数
28
被引用文献数
4 7

底曳漁獲量からみたマダラの濃密な分布は, 太平洋では北海道の襟裳岬以東の海域, 北海道恵山沖および三陸沖の3つの海域にみられ, 日本海では, 青森・秋田県沖および山形県沖の2つの海域にみられた。月別1曳網当り漁獲量を用いて因子分析を行った結果, 襟裳岬以東海域, 北海道恵山沖および三陸沖の魚群はそれぞれ異なる変動傾向を示す魚群であった。また脊椎骨数の解析から, 襟裳以東海域は他海域より脊椎骨数が有意に多いことが分った。これらの結果と産卵場の知見を考慮すると, 太平洋側海域には襟裳岬以東群, 陸奥湾・恵山沖群および三陸沖群の3つの系群が存在すると結論された。
著者
坪井 潤一 森田 健太郎 松石 隆
出版者
日本水産學會
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.180-185, 2002 (Released:2011-03-05)

キャッチアンドリリースされたイワナの成長・生残・釣られやすさ 坪井潤一、森田健太郎、松石 隆(北大院水) 北海道南部の4河川において、天然のイワナSalvelinus leucomaenisを用いて、キャッチアンドリリース後の成長、生残、釣られやすさを調べた。釣獲直後の死亡率は6.7%であり、過去の研究結果に近い値であった。一方、キャッチアンドリリースが行われた個体において、成長率や生残率の低下は認められなかった。また、釣られやすさは釣獲経験のある個体と無い個体で同程度であった。よってキャッチアンドリリースを行うことは資源量および釣獲量の増大に有効であることが示唆された。 日水誌、68(2)、180-185(2002)
著者
坪井 潤一 森田 健太郎 松石 隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.180-185, 2002-03-15
参考文献数
28
被引用文献数
6 15

北海道南部の4河川において,天然のイワナSalvelinus leucomaenisを用いて,キャッチアンドリリース後の成長,生残,釣られやすさを調べた。釣獲直後の死亡率は6.7%であり,過去の研究結果に近い値であった。一方,キャッチアンドリリースが行われた個体において,成長率や生残率の低下は認められなかった。また,釣られやすさは釣獲経験のある個体と無い個体で同程度であった。よってキャッチアンドリリースを行うことは資源量および釣獲量の増大に有効であることが示唆された。
著者
菅野 泰次 上田 祐司 松石 隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.67-77, 2001-01-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
28
被引用文献数
5 7

底曳漁獲量からみたマダラの濃密な分布は, 太平洋では北海道の襟裳岬以東の海域, 北海道恵山沖および三陸沖の3つの海域にみられ, 日本海では, 青森・秋田県沖および山形県沖の2つの海域にみられた。月別1曳網当り漁獲量を用いて因子分析を行った結果, 襟裳岬以東海域, 北海道恵山沖および三陸沖の魚群はそれぞれ異なる変動傾向を示す魚群であった。また脊椎骨数の解析から, 襟裳以東海域は他海域より脊椎骨数が有意に多いことが分った。これらの結果と産卵場の知見を考慮すると, 太平洋側海域には襟裳岬以東群, 陸奥湾・恵山沖群および三陸沖群の3つの系群が存在すると結論された。
著者
上田 祐司 成松 庸二 服部 努 伊藤 正木 北川 大二 富川 なす美 松石 隆
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.201-209, 2006-03-15
被引用文献数
1 7

東北海域におけるマダラ資源にVPAを適用して得られた資源量推定値をもとに,トロール調査に基づく面積密度法による資源量推定に必要な漁獲効率を推定した。1歳と2歳の漁獲効率はそれぞれ0.54,0.12と大きな差がみられた。1歳魚については調査範囲が生息域を網羅していることから,漁獲効率はトロール網の前にいた個体の入網率を反映した値であると考えられる。2歳魚以上では,着底トロール調査が困難な岩礁域等にも生息することから,漁獲効率は入網率に加え,網との遭遇率の影響も受けていることが示唆された。