著者
石川 創
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-3, 2010 (Released:2018-05-04)
参考文献数
7
被引用文献数
1

動物福祉とは何かを一言で定義することは難しい。しかし,一般的には「人間が動物を所有や利用するにとを認めたうえで,その動物が受ける痛みや苦しみを最小限にすること」と解釈することができる。にの定義においては,動物を殺すことは否定しておらず,「殺す場合には可能な限り苦痛のない殺し方をするにと」と考える。動物福祉と類似するが異なる考え方として「動物の権利(Animal rights)」があるが,ここでは「すべての動物は平等であり(ヒトと)同等の生存権を持つ」と考え,適用の範囲は人や団体によってさまざまであるものの,基本的には動物を殺したり食べたりすることを認めていない。動物福祉の対象は産業動物(家畜),実験動物,伴侶動物および野生動物に大別される。動物福祉の指針としては,主に産業動物を対象にした「5つの自由」および実験動物を対象とした「3つのR」が知られているが,その概念は伴侶動物(ペット)や,人が関与し得る限りにおいて野生動物に対しても適用可能である。野生動物の動物福祉に関して,本学会では,「野生動物および動物園動物を対象とする研究活動(収集,飼育,実験を含む)において,対象動物のQOLを確保するための基本原則を定め,さらに自然保護,動物の福祉および適正利用を目指す。」と定め,研究対象とする動物のQOL(Quality of life)の確保に重点を置いている。
著者
松石 隆 松田 純佳 黒田 実加 佐藤 雅彦 佐藤 里恵 石川 創
出版者
利尻町立博物館
雑誌
利尻研究 (ISSN:09199160)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.83-88, 2017-03

Rishiri Island is located in the Sea of Japan off the west coast of Hokkaido, Japan. Stranding record at this island could be important information for understanding the migration of the cetacean in the Sea of Japan. A total of 21 stranding records were collected. Each stranding records consisted of one individual. The records include 6 Stejneger's beaked whales Mesoplodon stejnegeri (including one unidentified Mesoplodon), 4 Dall's porpoises Phocoenoides dalli (one truei-type, two dalli-type and one type unidentified), 4 harbor porpoises Phocoena phocoena, 3 Baird's beaked whales Berardius bairdii, 1 killer whale Orcinus orca, 1 beluga Delphinapterus leucas (sighting) and 2 unidentified cetaceans.
著者
宇仁 義和 櫻木 晋一 岸本 充弘 田島 佳也 谷本 晃久 石川 創
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本の近代捕鯨の沿岸時代について、東洋捕鯨の社内文書や株主総会資料、同時代の写真などから明らかにした。国内の事業場と捕鯨船の8割を得た東洋捕鯨は、黄海と千島に事業場を新設し事業を拡大し、事業場の一体運用や役割分担が見られ、人員と捕鯨船を通年で効率的に運用したことが史料的に裏付けられた。捕鯨船によっては年度内に台湾から北海道の網走、黄海へと回航していた。ノルウェー人砲手の着業は1930年代初めに終わり、その割合は朝鮮では高く、本州や北海道では低くかった。シロナガスクジラとナガスクジラの呼称は、東洋捕鯨の社内名称が定着したものである。
著者
南部 久男 徳武 浩司 石川 創 大田 希生 藤田 健一郎 山田 格
出版者
日本セトロジー研究会
雑誌
日本セトロジー研究 (ISSN:18813445)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.17-22, 2009 (Released:2019-12-04)

2005年春に東京湾に出現したコククジラの出現状況を調査した。このコククジラは4月中旬から5月初旬にかけて東京湾内で目撃され、5月11日に千葉県南房総市旧富山町沖1kmの小型定置網で混獲されて死亡した。筆者等は5月5日から10日の間に東京湾の3海域(千葉県袖ヶ浦市沖、同県習志野市沖、神奈川県横須賀市〜横浜市沖)でこのコククジラを観察する機会を得た。いずれの出現海域も沿岸の浅海で、袖ヶ浦市沖(沖合50〜100m、最短20m程)と習志野市沖(沖合10m〜100m)では索餌をしていたと考えられ、横須賀市〜横浜市沖(沖合100〜1400m、水深11〜18m)では沿岸にそって北へ遊泳していた。本個体は東京湾へ迷入したものと思われる。観察結果からは泥底での摂餌嗜好性、北上しようとする意図があった可能性などを窺うことができた。
著者
石川 創
出版者
日本セトロジー研究会
雑誌
日本セトロジー研究 (ISSN:18813445)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-5, 2013 (Released:2019-12-04)
被引用文献数
1 1

山口県内におけるスナメリNeophocaena phocaenoidesの地方名(別名)について、県内の漁業協同組合へのアンケートおよび聞き取りで調査を行った。回答数はのべ49件で20種の名前が収集できた。スナメリの地方名は県東部(柳井市、上関町、周防大島町等)では「デゴンドウ」が最も多く、デゴン、レゴンドウなど同じ語源から派生したと思われる「ゴンドウ」のつく名称が多かった。一方、県西部(山口市~下関市)では「ナメ」「ナメット」など「ナメ」のつく名称が多く、東西ではっきりと呼称が分かれた。この他「ボウズ」の名称が東西両方で見られた。明治以前の文献を見ると、スナメリの呼称は「ナメリ」「ナメイヲ」など「ナメ」を含む名称が最も古く、「デゴンドウ」は広島県や周防大島等で使われていた「ゼゴンドウ」の名称が語源である可能性が高い。現在の「スナメリ」の名前は、1808年の鯨史稿に記載されたことに基づくと推測される。
著者
石川 創
出版者
日本セトロジー研究会
雑誌
日本セトロジー研究 (ISSN:18813445)
巻号頁・発行日
no.24, pp.1-10, 2014

1970年代中旬から1980年代前半にかけて,今ならば魚市場の祭りなどで盛んに行われている「マグロの解体ショー」と類似した「鯨の解体ショー」と呼ばれるイベントが国内各地で行われていた.すなわち4~5 mの鯨を丸のまま会場に持ち込み,観客の前で解説をしながら専門業者が解体し,生肉を即売する形態のイベントである.しかし,日本の近代捕鯨史に関する様々な書物や資料をあたっても,鯨の解体ショーに関する記述は皆無に近い.このため下関海洋科学アカデミー鯨類研究室では,昭和時代に開催された鯨の解体ショーの実態把握と当時の日本人の生活文化に与えた影響を考察することを研究課題とし,調査を続けている.これまでの調査で,当時鯨の解体ショーを専業で行っていた方から聞き取りを行った他,インターネット情報,一般市民から得られた情報等を基に,地方紙記事検索や現地問い合わせを行い,1975年から1983年までの17件で開催場所と時期をほぼ特定した他,少なくとも6件の開催を確認した.地域は東北地方から関東,中部,中国,近畿,四国,九州地方まで多岐にわたり,スーパーマーケットやデパートの特売,商店街のイベント,農業祭など地域の祭り等で多く開催されていた.業者は注文を受けると,2tトラックに生あるいは解凍したゴンドウクジラ(内臓抜き)を積み,解体者および解体助手(兼運転手)の2名で現地へ向かった.基本的に業者は解体のみ請け負い,鯨肉の販売は主催者側が行った.鯨の解体ショーの特徴は,現地で解体販売した鯨肉の売り上げが主催者の収益となることで,主催者側に集客以上の利点があったこと,当時鯨肉は食べていても実物の「鯨」を見る機会がない人々に大きなインパクトがあったことから,解体前に展示会を行っていたりしたこと,都市部のみならず山間部での事例が多い一方で魚市場や港での開催が確認されなかったことなどが挙げられる.
著者
石川 創 重宗 弘久
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.21-28, 2008-03

(財)日本鯨類研究所は,国際捕鯨取締条約第8条に基づき日本政府が発給した特別許可による鯨類捕獲調査を,南極海(JARPA)および北西太平洋(JARPN)で行っている.鯨類捕獲調査では,致死的調査における動物福祉を向上させるため,詳細なデータ収集と解析に基づく鯨の致死時間(TTD)短縮および即死率(IDR)向上の努力が払われている。漁具改良による致死時間短縮を目指し,2000年から2004年にかけて鯨の捕獲に用いる爆発銛に搭載する銛先(グレネード)の改良実験を行った。ノルウェーが1999年に開発した新型グレネードおよび,日本の旧型グレネードの信管を改良した改良型グレネードを,旧型グレネードとともに比較実験した。ノルウェーグレネードおよび改良型グレネードは旧型と比較してTTDおよびIDRを有意に改善した。人工標的射撃実験及び洋上での検死結果から,その理由は両者ともに銛命中から爆発までの距離が短縮されたこと,および不発率が減少したことにより,グレネードの鯨体内での爆発率が大幅に向上したためと考えられた。ノルウェーグレネードと国産改良型グレネードを比較した場合,前者は小型個体の即死率が高い一方,後者は致死時間が短く不発率が低いなど,両者は捕殺手段として優劣つけがたかったが,コストと安定供給の側面からは将来の捕鯨漁具として国産改良型グレネードが推奨された。
著者
石川 創
出版者
日本セトロジー研究会
雑誌
日本セトロジー研究 (ISSN:18813445)
巻号頁・発行日
no.24, pp.1-10, 2014 (Released:2019-12-04)

1970年代中旬から1980年代前半にかけて,今ならば魚市場の祭りなどで盛んに行われている「マグロの解体ショー」と類似した「鯨の解体ショー」と呼ばれるイベントが国内各地で行われていた.すなわち4~5 mの鯨を丸のまま会場に持ち込み,観客の前で解説をしながら専門業者が解体し,生肉を即売する形態のイベントである.しかし,日本の近代捕鯨史に関する様々な書物や資料をあたっても,鯨の解体ショーに関する記述は皆無に近い.このため下関海洋科学アカデミー鯨類研究室では,昭和時代に開催された鯨の解体ショーの実態把握と当時の日本人の生活文化に与えた影響を考察することを研究課題とし,調査を続けている.これまでの調査で,当時鯨の解体ショーを専業で行っていた方から聞き取りを行った他,インターネット情報,一般市民から得られた情報等を基に,地方紙記事検索や現地問い合わせを行い,1975年から1983年までの17件で開催場所と時期をほぼ特定した他,少なくとも6件の開催を確認した.地域は東北地方から関東,中部,中国,近畿,四国,九州地方まで多岐にわたり,スーパーマーケットやデパートの特売,商店街のイベント,農業祭など地域の祭り等で多く開催されていた.業者は注文を受けると,2tトラックに生あるいは解凍したゴンドウクジラ(内臓抜き)を積み,解体者および解体助手(兼運転手)の2名で現地へ向かった.基本的に業者は解体のみ請け負い,鯨肉の販売は主催者側が行った.鯨の解体ショーの特徴は,現地で解体販売した鯨肉の売り上げが主催者の収益となることで,主催者側に集客以上の利点があったこと,当時鯨肉は食べていても実物の「鯨」を見る機会がない人々に大きなインパクトがあったことから,解体前に展示会を行っていたりしたこと,都市部のみならず山間部での事例が多い一方で魚市場や港での開催が確認されなかったことなどが挙げられる.