著者
塩田 剛 柏原 昭博
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

学習者は概念マップを用いることで,視覚情報を用いた知識構築支援を行うことができる.本研究では概念マップを用いてさらに,記憶の定着を促す手法について検討している.具体的には,概念マップ作成過程において,視覚以外の感覚として力覚を提示し,複数の感覚の併用による記憶の定着を図る.本稿では,擬似力覚の考え方に依拠しながら,本手法の有効性と,作成した支援ツールについて論じる.
著者
長谷川 忍 柏原 昭博
出版者
教育システム情報学会
雑誌
教育システム情報学会誌 (ISSN:13414135)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.9-20, 2011-01-31 (Released:2018-07-27)
参考文献数
61

Education/learning in network communities involves activities in which the members acquire, share, publish and create knowledge by joining in the communities to communicate with each other. The main topic addressed in this review paper is to classify fundamental technologies for scaffolding and promoting such education/learning activities. The key idea on this classification is to organize the fundamental technologies in each type of network community, with which social capital in the community increases, and with which the sustainability of the education/learning activities could be maximized.
著者
柏原 昭博
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.30-37, 2019

<p> ロボットを学習支援に用いる場合,学習支援メディアとしてのロボットの適性を見極めることが重要である。本論文では,主体的学習を支えるエンゲージメントに着目し,エンゲージメント促進にロボットが適していることを示した上で,ロボットによる学習支援をいかにデザインするかについて論じる。また,エンゲージメントが学びの鍵となる文脈として,(1)コミュニケーションを要する英文読み合い,(2)学習者の注意・集中を要する講義を取り上げ,それぞれの文脈におけるエンゲージメントの要因を分析し,エンゲージメントを引き出す支援を実装した英文読み合いロボットパートナーおよび講義ロボットについて論じる。</p>
著者
柏原 昭博 渡辺 成良 長谷 川忍 岡本 竜
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、大学の研究グループなどにおける研究活動に着目し、徒弟的な関係を踏まえて研究初心者が熟練者と同様に真正な文脈で学ぶことができるようになるためのスキルの獲得・向上を支援する計算機システムを構築した。特に、研究活動と連携しつつ段階的に学習スキルアップを図る新しい支援の仕組みを実現した。具体的には、Webリソースから研究活動に関連する知識を学ぶスキル、研究ミーティングでの学習スキル、プレゼンテーションスキルを取り上げ、学習プロセスを具体化する認知ツールを基盤とした学習スキル向上支援技術を設計・開発した。
著者
山本 米雄 柏原 昭博 川岸 圭介 塚本 信宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.734-742, 1989-06-15
被引用文献数
11

個人用データベース構築ツールTRIASを論じる.個人用データベースは 個人的作業環境が重視される現在のコンピュータ利用形態では重要である.本システムの目的は 個人用データベースを構築するツールを開発することである.TRIAS は パーソナルコンピュータなど低機能なコンピュータを対象として データアクセスの多機能性 高速性と ユーザ・システム間の対話性を実現する.データアクセスに関しては データ構造に多分岐平衡木を用いて高速性を実現する.また データを連想三重組の形で管理することで 種々のアクセス法を可能にする.三重組でデータを表現するのは 最も単純でありながら多様の事象を表現でき しかもデータを高速にアクセスするためである.開発したシステムで実験を行った結果 TRIAS は個人用データベース実現に必要な要素を備えている構築用ツールであることが確認できた.
著者
佐藤 禎紀 柏原 昭博 長谷川 忍 太田 光一 鷹岡 亮
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1P3OS2103, 2019 (Released:2019-06-01)

Web調べ学習では,Web空間を探索して与えられた課題(初期課題)に対して網羅的,体系的な学習が求められる.一方Web空間では,学ぶべき項目や順序(学習シナリオ)は与えておらず,学習者は学習課題に対する知識構築と次に学ぶべき課題の展開を並行して行うため,認知的負荷が高い.筆者らはWeb調べ学習におけるプロセスをモデル化したWeb調べ学習モデルを提案し,そのモデルに沿った学習を促すシステムiLSBを開発した.一方で学習者はiLSBを用いても初期課題と関係ない課題を展開する場合があり,学習シナリオの診断が必要である.しかし一般的な,解となるシナリオと学習者のシナリオの比較による診断は学習者の主体性を阻害してしまう.そこで本研究では,Web上の関連データをリンク付けしたLOD(Linked Open Data)を用いて,学習者の主体性を阻害せず課題展開を診断することで,より妥当なシナリオ作成を促す手法を提案する.また,本稿では提案手法の評価実験を行った.その結果,提案手法は学習者の課題展開への見直しを促し,妥当なシナリオ作成に有効であることが示された.
著者
西森 博紀 岡本 竜 柏原 昭博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.453, pp.253-258, 2011-02-25
被引用文献数
1

プレゼンテーション・リハーサルは,発表終了後,レビュアからの指摘をもとに質の高い議論を行い,発表内容の改善に役立つ有効な知見を得ることが重要である.しかし,議論フェーズでは,議論を行う上での準備や進行,結果の記録に関する問題などにより,議論内容の理解や議論結果の記録に不備が生じている.その結果,リハーサル終了後の改善作業が不十分に終わる場合が多い.そこで,本研究では発表全体の構成を示すプレゼンテーション構造を軸とし,議論フェーズにおける問題を解決するための支援方法を検討する.本報告では,支援環境の機能,構成の提案とプロトタイプシステムの開発について述べる.
著者
長谷川 忍 高橋 咲江 柏原 昭博
出版者
教育システム情報学会
雑誌
教育システム情報学会誌 (ISSN:13414135)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.199-210, 2010
被引用文献数
2

<p>The main topic addressed in this paper is to support university students who start their job-hunting activities by sharing information of job-hunting and work experiences their old boys/girls in the same department had. However, it is not so easy for the students to obtain information concerning such experiences since there are few opportunities to make personal connections with their old boys/girls. In order to resolve this issue, we had developed a SNS (Social Networking Service) system, which helps students gather informal and experiential information. It includes two main services as follows: one is to gather information concerning job-hunting and work experiences from the old boys/girls by means of a theme blog service, and the other is to make personal connections between the students and old boys/girls by means of a search engine and a tracer that allow the students to find informative blog entries contributed by the old boys/girls. This paper demonstrates the SNS system, and reports a preliminary case study in a laboratory scale. The results of the case study suggest that the system enables the old boys/girls to write down their informal experiences with the theme blog, and that the system allows the students to have instructive information from the blog entries via the tracer.</p>
著者
高橋 咲江 長谷川 忍 柏原 昭博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.470, pp.35-40, 2009-02-28

就職活動中の学生にとって,自分の専門性と類似した社会人がどのような就職活動を行ってきたか,また入社した企業に対してどのような考え方を持ち,活躍の場を得ているのかといった経験情報を参考にすることはキャリアプランを描く上で重要になる.こうした経験情報を得る手段の一つとして,学生は着目している企業の社員訪問を行うが,パーソナルコネクションを駆使し,アポイントを取って有用な情報を得ることは地理的・時間的制約が非常に大きい.本研究では大学生とそのOB・OGをメンバとした,経験情報の共有によるパーソナルコネクション構築のためのSNSの開発を行った.本SNSは,OB・OGと就職活動中の学生間のパーソナルコネクションの構築を支援し,メンバ間でOB・OGの就職活動中や入社後の経験情報の共有を図る機能を有している.ケーススタディの結果,本SNSによってOB・OGからの経験情報の提示が促進され,学生は就職活動に有用な経験情報が得られることが示された.
著者
柏原 昭博 齊藤 圭祐 長谷川 忍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.141, pp.23-28, 2011-07-09
参考文献数
11
被引用文献数
2

プレゼンテーションドキュメントの作成では,伝えたい内容に関して「何を・どのような順序で」提示するかを表すドキュメントの意味的構造を構成することが重要である.本稿では,大学などの研究グループにおける研究プレゼンテーションを対象として,グループ内に蓄積されたドキュメント群に共通する典型的な意味的構造(プレゼンテーションスキーマ)を手本に,ドキュメントを『書く』・『読む』・『聴く』という文脈で意味的構造を作らせ,ドキュメント作成スキルの向上を図る枠組みについて述べる.本枠組みの特徴は,認知的徒弟制の考え方に基づいてシステマティックなスキルアップを図る点にある.
著者
中山 欣也 柏原 昭博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.470, pp.65-70, 2009-02-28
被引用文献数
1

Webは極めて有用な情報媒体であり,学校教育でもWebリソースを用いて調べ学習を行う機会が増えてきた.本稿では,Webにおける情報探求スキルの育成を目的として,Web調べ学習を支援する手法について述べる.まず,Web調べ学習を「与えられた学習課題を段階的に詳細化すること」と捉え,学習課題を表現するキーワードを順次Webページから獲得しながらキーワード間の関係構造を作り上げていくプロセスとしてモデル化した.次に,このモデルに基づき,Webから学習課題キーワードを収集・構造化するための支援ツールを開発した.ケーススタディの結果,開発したツールの有効性が示唆された.
著者
王 文涌 池田 満 仲林 清 柏原 昭博 乙守 信行 林 公生 長谷川 忍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.315, pp.11-16, 2008-11-14

本研究はカスタマイズ可能な学習コンテンツを中心にした知識循環型e-Learning環境を提案する.本環境では,SCORM,LOMという標準化技術とオントロジーに基礎にして,学習コンテンツをカスタマイズする機能を提供することにより,学習者が学習共同体に蓄積された学習コンテンツやWeb学習リソースから学習情報や経験知,応用知,理解知などを参照・利用しながら,自分自身の知識を獲得・再構成する場を提供する.そして,再構成された知識を学習共同体に蓄積して,集合知の形成と知識の再利用に貢献しながら,自らの学習を続けるという知識循環型e-Learningを実現する.
著者
松田 憲幸 柏原 昭博 平嶋 宗 豊田 順一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.326-335, 1997-01-25
被引用文献数
13

プログラミングを行うためには, プログラマは少なくとも, プログラムの動作について明確に理解しておく必要がある. しかしながら初心者の場合プログラムの個々の命令の振舞いを理解できても, プログラム全体の動作を正しく理解できなかったり, プログラム仕様から動作を想定できない場合がよく見られる. このような初心者を対象とする場合, 動作とプログラムコード動作とプログラム仕様の対応関係について説明することが重要となる. 本論文では動作の理解が特に難しい再帰プログラムを対象に, プログラムの動作を介したプログラミングを支援する知的教育システムについて述べる. 筆者らは再帰プログラミングのモデルを想定した上で, 学習者にとって理解が容易となるようにプログラムの動作を表現し, これをプログラムの振舞いと呼んでいる. 本論文ではこの振舞い表現を用いて, 再帰プログラムの設計過程および理解過程を支援する方法について論じる. 特に, 雛形を用いた解法による設計過程の支援ならびに, 振舞い表現の可視化による理解過程の支援について述べる. 更に振舞い表現の評価実験についても述べる.
著者
平嶋 宗 柏原 昭博 豊田 順一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.273-274, 1994-09-20

本稿では、教育支援システムの高度化を指向して、学習者自身による誤りの認識修正を誘導する手法を提案する。教育的観点においては、誤りの発生は学習者の問題解決能力や知識を発展させる絶好の機会である。この機会を生かすためには、正しい問題解決方法を天下り的に教えるのではなく、学習者自身が能動的に誤りの認識と修正を行えるように誘導することが重要となる。このためには、学習者が自分の解答が誤りであると認識し、正しい方向に修正してゆくために十分な、しかも学習者が能動的に考える余地を残した情穀を選択・提供する能力が教育支援システムに求められる。学習者自身による能動的な誤りの認識・修正を支援する手法としては、mapping instruction、analogical mapping、ソクラテス式教授法を挙げることができる。これらは学習者自身による誤りの認識修正を支援するために有用な事実の選択・提示法として定式化することができる。前二者は、正しいものを学習者に理解させることに重点が置かれており、その結果として誤りが認識・修正されると解釈できる。ソクラテス式教授法は、反例によってより直接的に学習者に誤りを認識させる方法も含んでいるが、この方法は解答がYes/Noに限られた宣言的な問題解決の領域で有効なものであった。本稿では、手続き的な領域を対象として、学習者に誤りの存在を伝え、修正方向を示唆する方法として、誤り投影法(Error Projection)を提案する。この方法では、学習者の解答が誤りであることを伝えることに重点を置いており、その解答の誤りを元の問題に関する挙動シミュレーションや問題自身等へ投影する。挙動シミュレーションに誤りが投影されると、多くの場合学習者が不自然と認識できるシミュレーションとなり、また一見自然に見える場合でも、正しいシミュレーションとの比較によりどのように誤っているのかを認識しやすくなる。また、誤りの修正も正しいシミュレーションとの差異を埋めることとして方向付けることができる。問題に対して投影された場合には、元の問題との差異が存在するにも関わらず、その答えが一致する問題が生成されることになり、その差異が解答に影響するはずであることを学習者が知っていれば、学習者は誤りの存在を認識できる.また,誤りの修正は、問題間の差異を問題解決に反映させることとして方向付けることができる。mapping instrctionやanalogical instrctionが正解を基点として正しさを強調することによる誤りの認識修正支援であるのに対して誤り投影法は、誤りを基点として誤りであることを強調するものとなっているまたソクラテス式教授法とは異なり、手続き的な領域で有効な方法となっている。以下では、高校程度の力学問題での立式の誤りを対象として、挙動シミュレーションに対する誤りの投影と、問題に対する誤りの投影について述べる。