著者
柴田 友厚 児玉 充 鈴木 潤
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-22, 2017-02-15 (Released:2017-02-25)
参考文献数
27
被引用文献数
4

探索と活用という目的と性質が違う二種類の活動を、企業内で分離させながらも共存させる二刀流組織の考え方が提示されてきた。しかし、企業内の探索と活用の関係性は状況に応じて異なるにもかかわらず、先行研究はその違いを考慮していないために有効性と妥当性に限界がある。本稿は、探索製品と主力製品の製品代替性に注目して、二刀流組織を共食い型と補完型の二つに類型化し、各々経営課題と有効なマネジメントが異なることを議論する。そして富士フイルムの詳細な事例分析から、デジタル化の波を生き延びた要因の一つは、状況適合的な二刀流組織のマネジメントを行った点にあることを主張する。
著者
柴田 友厚
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.13, no.12, pp.477-498, 2014-12-25 (Released:2015-12-26)
参考文献数
22

本稿は、日産CMF 開発過程の事例分析を通して、モジュール化研究で残されてきた課題であるデザイン・ルールの策定過程を明らかにする。新たな三つの知見を導出した。第一に、最初にデザイン・ルールを明確に策定し、その後初めて製品設計を始めるという順番を厳守すること、第二にデザイン・ルールの是非は、設計能力だけではなくて市場要件など前提条件の解決度合いの影響を大きく受けること、第三にそれゆえにデザイン・ルールの策定は戦略的な課題であり、技術者のみならずシニアマネージャーの関与が必要だということである。これらの点で、モジュール化の製品開発プロセスは従来の製品開発プロセスとは異なる。
著者
柴田 友厚 馬場 靖憲 鈴木 潤
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0170512a, (Released:2017-09-04)
参考文献数
28

企業が持続的に成長するには、現在の事業領域と技術領域を超えた新たな領域での探索が有効な方策のひとつである。先行研究は、近傍領域の探索に傾斜しがちな企業の特性を指摘すると同時に、探索活動を類型化した上でそれぞれの効果を明らかにしてきた。本稿は、先行研究が注意を払ってこなかった探索をすすめるプロセスに着目し、その解明に貢献することを目的とする。まず、探索の階層性という新たな概念を提示したうえで、富士フイルムとコダックの探索戦略の違いを明らかにする。そして両社の盛衰が分かれた理由を、探索の階層性に立脚して探索プロセスの違いから考察する。
著者
柴田 友厚
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.338-347, 2010-12-17 (Released:2017-10-21)
参考文献数
31

Japan's machine tool production was in the top position for 25 years since 1982, but decreased in 2009 by 56.5% from the level in the previous year, lowering the rank to the third and yielding the top position to China. The technical level of the machine tool industry in a country is indicative of its technology base. What happened in the competitiveness of the sector of strategic importance even for its relatively small market? Examination of the official trade statistics up to 2008 permitted to discern the trade structure of machine tools in East Asia and Japan's position in it. It was revealed that Japan has always enjoyed export surplus in this sector, indicating its technological competitiveness intact. The author argue that a coevolution mechanism between the NC equipment and machine tools has been at work as an important factor that supported the development of Japan's machine tool industry.
著者
柴田 友厚
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.53-63, 2012-12-20 (Released:2013-10-01)
参考文献数
29
被引用文献数
3

新しい技術の台頭によって,既存技術か新技術かという技術選択に直面した多くの企業は,合理的理由によって通常,両方の技術を一定期間開発するという並行開発を行う.だが,成功する並行開発の仕組みに関する知見は十分に蓄積されていない.本稿ではまず,先行研究の知見を整理し,それらを踏まえたうえで,並行開発の枠組みを概念的に導出する.次に,松下電器産業の並行開発事例を分析し,その妥当性を例証する.
著者
柴田 友厚
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.733, pp.65-73, 2015-10

製品のバリエーションを確保しつつコスト競争力を高める手法として脚光を浴びているモジュール化。しかし、モジュール化に合わせて開発プロセスを変えることや、モジュール戦略を主導する責任者を置くことの重要性は見落とされがちだ。
著者
柴田 友厚 馬場 靖憲 鈴木 潤
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.213-232, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
28

企業が持続的に成長するには、現在の事業領域と技術領域を超えた新たな領域での探索が有効な方策のひとつである。先行研究は、近傍領域の探索に傾斜しがちな企業の特性を指摘すると同時に、探索活動を類型化した上でそれぞれの効果を明らかにしてきた。本稿は、先行研究が注意を払ってこなかった探索をすすめるプロセスに着目し、その解明に貢献することを目的とする。まず、探索の階層性という新たな概念を提示したうえで、富士フイルムとコダックの探索戦略の違いを明らかにする。そして両社の盛衰が分かれた理由を、探索の階層性に立脚して探索プロセスの違いから考察する。
著者
野中 郁次郎 パトリック ラインメラ 柴田 友厚
出版者
日本情報経営学会
雑誌
オフィス・オートメーション (ISSN:0389570X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.3-13, 1998-04-10
被引用文献数
4

The role of regional areas for innovation has recently began to be reassessed. From the perspective of knowledge, areas are conceptualized as BA(place)of rich embedded knowledge. Beyond infrastnuctural moduls such as networks or clusters the concept of BA offers the opportunity to differentiate platforms supportive to specific processes of knowledge conversion in an area. In addition, the poly-agent theory emphasizes the subjects involved in regional knowledge creation. Finally the conceptual framework of regional knowledge creation is tentatively tested against data on Silicon Valley, Route 128 and Ohta-ku.