著者
遠藤 織枝 桜井 隆 陳 力衛 劉 頴 CHEN Liwei LIU Ying
出版者
文教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

中国女文字の保存を考える2004年の現地調査での女文字の実情を報告する。調査に訪れた2週間後に伝承者陽換宜が死去して、この文字を伝統的方法で習得し、娘時代に実際にこの文字をコミュニケーション手段として用いた人はいなくなった。緊急によりよい保存の方法を講じなければいけないときにきている。調査の結果、伝統的な文字とは変形した文字が盛んに書かれていること、そのような書き手を現地政府が重用していること、昔の女性の文字に最も近い文字を書く何艶新が生活に追われて文字から離れてきていることがわかった。女文字の保存にとって望ましい状況ではないことが憂慮される。この文字の歴史や規模について、3000年以上の歴史がある、2000字以上の文字があるというような誇張された大げさな言説がインターネット、新聞などに流布している。この文字を、昔の女性たちが使い・伝えた、本来の姿に近い姿で保存することが望ましいが、以上のような根拠のない無責任な言説は、本来の女文字の姿を歪めかねない。こうした事態を軌道修正し、合理的・科学的に考究し合って共通理解を得ることが肝要と考えて、中国と日本との研究者の共同主催でシンポジウムを開いた。両国研究者が一堂に会して、同じ対象についてそれぞれの研究を発表し合い、真摯に討論する機会が得られた。女文字の研究方法や歴史に対する考え方にも共通の理解が得られたことは大きな成果であった。
著者
跡見 順子 村越 隆之 平工 志穂 三上 章允 桜井 隆史
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

東京大学教養学部では新入生を対象に必修科目のスポーツ・身体運動を行っている。その科目の一つとして、自分自身の身体を用いて運動を行いながら、運動時の身体変化を科学的に理解することを目的とした「スポーツサイエンスコース」を開講している。約30人の受講生を対象として、生命科学を基本とし、自分自身のからだを通して、また実際に運動することを通して、生命と脳を理解するための、以下の4つの教育プログラムの開発を行っている。1)フィールドにおける呼吸数による至適運動強度の推定を行い、運動に苦手意識を持つ学生にも自分自身のからだの機能を理解させる効果が得られた。2)運動後の脳の活性化を測定するためのプログラムを開発した。パソコンを用いた数分で修了する試験により、脳の活性状態を数値化し、比較検討することを可能としている。3)自分自身のからだを、構成単位である細胞から理解するために、ラットの解剖を行っており、現在、映像コンテンツを作成中である。4)自分自身の身体の動きを理解するために、ゆっくりとした動きを制御する太極拳を実習科目に取り入れ、太極拳について科学的な視点を持って身体の理解につなげる研究を行っている。伝統武術太極拳の脳機能への効果を、近赤外分光法(NIRS : Near Infrared Spectroscopy)を用いて検討した結果、太極拳実施中のOxyHbは対照課題実施時と異なる変化を示すことが明らかになった。1-3の内容をまとめたものを、日本体育学会第56回大会にて跡見、桜井が口頭発表、The American Society for Cell Biology, 44^<th> annual meetingにて跡見がポスター発表を行った。4の内容についてまとめたものを、日本体育学会第56回大会にて平工がポスター発表および共同研究として口頭発表を行った。
著者
桜井隆
出版者
明海大学
雑誌
明海日本語
巻号頁・発行日
no.17, 2012-02-26
著者
桜井 隆
出版者
明海大学
雑誌
明海日本語 (ISSN:13412582)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-15, 2012-02
著者
跡見 順子 長尾 恭光 八田 秀雄 柳原 大 桜井 隆史
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、運動を生み出すための細胞内外の張力伝達構造である細胞骨格及び細胞外基ECMとその分子シャペロン・ストレスタンパク質を中心に、筋・関節、それらの培養細胞を用いて適切・適度な運動の基盤研究を行い、適切適度な運動の評価軸を明らかにした。1)細胞骨格の分子シャペロンαB-クリスタリン(αB)のC末領域:α-crytallin domainが、細胞骨格・チューブリンの熱変性抑制に働く。2)拍動する心筋細胞でGFP-αBは横紋を示し構造タンパク質の動的なケアをしている。3)αBのN末は、MAP-微小管の脱重合抑制効果を示す。4)不活動でコラーゲン特異的分子シャペロンHSP47が減少し、重力負荷で増加する。筋芽細胞でも同じ結果を示す。その応答はきわめて早く新たな重力応答領域が発見される可能性がある。5)2℃の温度の上昇により培養筋細胞の分化促進及び筋の遅筋化の促進がある。6)マイルドなトレッドミル走でラットの膝関節のIII型コラーゲン、ヒアルロン酸合成酵素などECMタンパク質mRNAに変化が観察され細胞環境創成にも適切適度がある。7)座業がちな高齢者ではリン酸化αBはとくに沈殿分画で増加し、ユビキチン化タンパク質が増加、分解が減少している。8)個体レベルでのホメオスタシス維持機構HPA軸末端の副腎で、運動によるグルココルチコイド合成の活動期直前の上昇にはHSP70がシャペロンとして機能することから、細胞・身体の両面での適切適度な運動のマーカーとしてストレスタンパク質が有用である。運動は生命、細胞そのものへの働きかけであることから、とれを理解する教育へ応用するために、東京大学における1年必修授業に「身体運動と生命科学」を導入し、細胞で考えることの重要性、遺伝子との関係性などに関する教育プログラムを作製し導入した。受講者へのアンケート結果から運動の本質的な効果の理解に貢献したことが示された。