著者
水島 治郎 ミズシマ ジロウ MIZUSHIMA Jiro
出版者
千葉大学法学会
雑誌
千葉大学法学論集 (ISSN:09127208)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.125-147, 2014-08-29

『千葉大学法学論集』第29巻第1・2号 宮崎隆次先生・嶋津格先生 退職記念号Hogaku Ronshu(Chiba Journal of Law and Politics) Vol.29 No.1・2 Essays in Honor of Professors Ryuji Miyazaki and Itaru Shimazu at their Retirement from Chiba University
著者
水島 治郎
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1_40-1_61, 2021 (Released:2022-06-15)
参考文献数
14

オランダでは、1917年の憲法改正から現在に至るまで1世紀以上にわたり、各政党に1議席まで議席を配分する、いわば 「完全比例代表制」 が採られてきた。2017年下院選では、実に13の政党が議席を獲得している。本稿ではこの完全比例代表制の成立した歴史的背景を探り、「政党優位」 と 「議員の自律性」 をめぐるせめぎあいを振り返ったうえで、比例代表制導入後も政党にとらわれない 「優れた人物」 を議会に送ろうという動きが生じたものの、事実上挫折に終わったことを明らかにする。そして20世紀、完全比例代表制のもとであっても、必ずしも小党分立と連立政権成立の困難が生じてきたわけではないこと、その背景として、「柱」 社会の存在があり、主要勢力 (特にキリスト教民主主義勢力、社会民主主義勢力) が安定的に支持を確保し、連立政権の組み合わせも限定的であったことなどを示す。しかし 「柱」 社会が解体し、さまざまな新党が登場した21世紀においては、もはや既成政党の優位は自明とはいえなくなっており、小党分立などの完全比例代表制の負の側面が表面化する可能性が高いこと、他方、政党組織にとらわれない個性的政治家の台頭といった、制度導入時の意図が 「実現」 している面もあることを指摘した。
著者
水島 治郎
出版者
千葉大学法学会
雑誌
千葉大学法学論集 = Chiba journal of law and politics (ISSN:09127208)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.1-25, 2015-03

第二次世界大戦が終結して七〇年目となる二〇一五年。「戦後」の平和と繁栄を長期にわたって謳歌してきたはずの西ヨーロッパでは、一月初旬からイスラム過激派に関わる事件が相次ぎ、騒然とする年明けとなった。まずフランスでは、預言者ムハンマドの風刺画を掲載したシャルリー・エブド紙が襲撃されて一二人が死亡する悲劇的な事件をはじめ、イスラム過激派による事件が相次いで発生した。次にベルギーでは、大規模なテロを計画していたとされるイスラム過激派を警察が一斉に摘発したが、そのさい銃撃戦が発生し、二人が死亡した。二月にはデンマークで、「表現の自由」をめぐる会合が襲撃されて二人が死亡するなどの事件が続いた。他のヨーロッパ各国も同様のテロを強く警戒しており、ヨーロッパが新たな「戦い」の渦中に入りつつあるようにさえ見党である。近年「イスラムの脅威」を強調し、イスラム系移民の排除を訴えてきたポピュリズム政党は、これらの事件によって自らの主張の正しさが立証されたとしたうえで、既成政党の無策を批判するとともに、イスラム批判を一層声高に唱えている。この事件以後、イタリアの北部同盟の党首はイスラムを「危険な宗教」と批判し、デンマーク国民党の議員は急進的とされるモスクの閉鎖を要求した。フランス国民戦線の幹部であるド・サン=ジュスト(Wallerand deSaint-Just)は、イスラムは「宗教法と市民法を混同」し、フランス国家の世俗的性格を認めない宗教であるとしたうえで、「他のいかなる宗教よりも狂信者を生み出す傾向がある」と断言した(Al Jazeera America, 2015)。オランダ自由党のウィルデルスは、
著者
加藤 壮一郎 水島 治郎 嶋内 健
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.165-176, 2019 (Released:2019-05-01)

2010年10月デンマーク政府は非西欧圏移民の居住率が 50%を超え,生産者人口(18~65歳)の40%以上が失業し,18歳以上の地区住民の犯罪率が2.7%を超える29か所の社会住宅地区を,「ゲットー(Ghetto)」と定義した。1950年代以降,全国の主要都市郊外に建設された社会住宅地区では,1970年代以降,移民・難民が集住するゲットーゼーション (Ghettoisation)が起こった。1990年代以降これらの社会住宅地区での貧困化,治安悪化,犯罪などが多発している。本稿では,デンマークの社会住宅地区におけるゲットーゼーションに注目し,ゲットーがどのように形成されたかを主に移 民・難民,住宅政策のアプローチから考察する。
著者
水島 治郎 ミズシマ ジロウ MIZUSHIMA Jiro
出版者
千葉大学法学会
雑誌
千葉大学法学論集 = Chiba journal of law and politics (ISSN:09127208)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.1-25, 2015-03

第二次世界大戦が終結して七〇年目となる二〇一五年。「戦後」の平和と繁栄を長期にわたって謳歌してきたはずの西ヨーロッパでは、一月初旬からイスラム過激派に関わる事件が相次ぎ、騒然とする年明けとなった。まずフランスでは、預言者ムハンマドの風刺画を掲載したシャルリー・エブド紙が襲撃されて一二人が死亡する悲劇的な事件をはじめ、イスラム過激派による事件が相次いで発生した。次にベルギーでは、大規模なテロを計画していたとされるイスラム過激派を警察が一斉に摘発したが、そのさい銃撃戦が発生し、二人が死亡した。二月にはデンマークで、「表現の自由」をめぐる会合が襲撃されて二人が死亡するなどの事件が続いた。他のヨーロッパ各国も同様のテロを強く警戒しており、ヨーロッパが新たな「戦い」の渦中に入りつつあるようにさえ見党である。近年「イスラムの脅威」を強調し、イスラム系移民の排除を訴えてきたポピュリズム政党は、これらの事件によって自らの主張の正しさが立証されたとしたうえで、既成政党の無策を批判するとともに、イスラム批判を一層声高に唱えている。この事件以後、イタリアの北部同盟の党首はイスラムを「危険な宗教」と批判し、デンマーク国民党の議員は急進的とされるモスクの閉鎖を要求した。フランス国民戦線の幹部であるド・サン=ジュスト(Wallerand deSaint-Just)は、イスラムは「宗教法と市民法を混同」し、フランス国家の世俗的性格を認めない宗教であるとしたうえで、「他のいかなる宗教よりも狂信者を生み出す傾向がある」と断言した(Al Jazeera America, 2015)。オランダ自由党のウィルデルスは、
著者
水島 治郎
出版者
千葉大学法学会
雑誌
千葉大学法学論集 (ISSN:09127208)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.125-147, 2014-08

『千葉大学法学論集』第29巻第1・2号 宮崎隆次先生・嶋津格先生 退職記念号
著者
水島 治郎
出版者
千葉大学法学会
雑誌
千葉大学法学論集 (ISSN:09127208)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.125-147, 2014-08

『千葉大学法学論集』第29巻第1・2号 宮崎隆次先生・嶋津格先生 退職記念号Hogaku Ronshu(Chiba Journal of Law and Politics) Vol.29 No.1・2 Essays in Honor of Professors Ryuji Miyazaki and Itaru Shimazu at their Retirement from Chiba University
著者
水島 治郎 土倉 莞爾 野田 昌吾 中山 洋平 伊藤 武 津田 由美子 田口 晃
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

第二次世界大戦後、西欧諸国の多くで政権を掌握していたキリスト教民主主義政党は、1990年代に入ると各国で凋落し、政権を離れるに至ったが、国によってはその後、党改革を進め、一定の「革新」を可能とした例もある。本研究ではこのキリスト教民主主義政党の危機と革新という現代的展開の動態を明らかにすることで、西欧保守政治における構造的変容の実態の解明を試みた。成果は学会セッション企画、著書、論文などで幅広く公表された。
著者
宮本 太郎 山口 二郎 空井 護 佐藤 雅代 坪郷 實 安井 宏樹 遠藤 乾 水島 治郎 吉田 徹 田中 拓道 倉田 聡
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は大きく三つの領域において成果をあげた。第一に、日本の政治経済体制、とくに日本型の福祉・雇用レジームの特質を、比較政治経済学の視点から明らかにした。第二に、レジームを転換していくためのオプションを検討し、各種のシンクタンクや政府の委員会などで政策提言もおこなった。第三に、世論調査でこうしたオプション群への人々の選好のあり方を明らかにし、新しい政党間対立軸の可能性を示した。