著者
池上 高志 FROESE T FROESE T.
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

基本的なテーマである、身体化認知科学の研究を,特に2人以上の社会的なネットワークの中で考察していく、それを進めていくことが出来た。身体性認知科学とは、人の知覚とは外部から勝手にやってくる情報をパッシブに受け止めることではなく、自分で積極的に動くことである。つまり知覚と、自律的な身体運動は等価である。こうした身体性認知科学の視点をさまざまな機会で発表し、また認知実験やモデル実験で示すことができた。例えばAndy ClarkのBehav.Brain Sci.に対するコメント論文、Frontiers in Human Neuroscienceへの論文、あるいは国際会議での招待講演の中で主張してきた。具体的な実験として、知覚交差実験を新たに構築しなおすこともできた。これは、人を被験者としてコンピュータのスクリーン越しに触覚による対話をさせる実験である。仮想空間上の同じところに指があると、指先にはめたデバイスに刺激が生じるが、それは相手じゃなくてその仮想空間上の静止物に触っても生じてしまう。また、あいての本当の指の影に接触しても刺激が生じる。この静止物や影と、本物の相手の指を区別できるかどうか、がここでの実験である。この対話相互作用を繰り返し、この実験を行い、いつどういうタイミングでマウスをクリックするか、それが正しいか、またそのときに相手であることがはっきり知覚できたか(Perceptual Awareness Scale=PASという)、をアンケートで調べたりした。この結果、正しいクリックが高いPASを伴うことなどを発見することができた。これはひき続いて研究中である。この認知実験を説明する力学系モデルの研究は、論文として受理されている。
著者
土井 樹 池上 高志
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

これまで多くの科学は,ある現象における要素の個性を考えないようにし,より基礎となる一般法則に注目することで偶発的要素を減らす努力をしてきた.しかし我々の生活階層では個性に依存する現象が極めて多いことに気がつく.こういった個性に依存するような現象を考えたい.そこで我々は社会性昆虫の代表であるミツバチに着目し「個」の行動とその「社会の雰囲気」がどういう風に関係しあっているかについて解析を試みた.
著者
星野 力 丸山 勉 HUGO deGaris 徳永 幸彦 佐倉 統 池上 高志 葛岡 英明
出版者
筑波大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

本研究課題でなされた研究をいくつかのカテゴリーに分け、概要を記す。(1)自己複製・自己組織化○マシンによって書き換えられるテープと、テープによって書き換えられるマシンの共進化を研究した。(池上)○自己複製のモデルを観察し、その条件とクラス分けを行なった。(田中、津本)○生物(大腸菌、酵素)による無細胞自己増殖系を実験した。(2)群と生態、進化○魚相互間の運動が創発的に出現する観察を行ない魚群行動を調べた。(三宮、飯間、中峰)○自然界の進化の特徴である進化と共に丸くなる適応度地形を考察した。(徳永)○個体の繁殖と分散のみを仮定した人工生命的シミュレーションを行った(河田)○多重遺伝子族におけるコピー数の増加シミュレーションを行ない、種々の遺伝的冗長性を調べた。(館田)(3)中立進化と頑健性○8つの赤外近接センサーと2つの車輪からなるロボットの行動モデルにおける中立変異の爆発的発現を解析した。(星野)○ロボットの行動進化において、フラクタル性と頑健性との関係を明らかにした。未解決の難問(3階層以上の多段創発の困難)を指摘した。(佐倉)(4)その他○ニューライトネットの進化を10万ニューロンの回路を進化させることで研究した。(deGaris)○細菌の走行性を支える分子機構をシミュレーションによって再現した。(大竹、辻、加藤)○脊椎植物の力学対応進化学を確立した。(西原、松田、森沢)○所要時間最短という利己的な行動を行なうカ-ナビの設計を研究した。(星野、葛岡)○FPGA(適応的に構造を再構成するゲートアレイ)を多数並列に結合しテープとマシンの共進化モデルを長時間計算しようとしている。(丸山)
著者
池上 高志 嶋田 正和
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

ロボットの制作/シミュレーションとハエの自律運動の解析を通じて、人工と自然のシステムにおける自律性の意味を考えるのが、このプロジェクトの目的であり、2009年は、生物システムと工学システムの双方に重要な「ロバストネス」に注目し、LEGO Mindstormを使った実験と、自走する油滴システムを用いた化学実験を行った。1) ロボットに関しては、グリッドに仕切ったアリーナの各点から始めて、目標にたどりつけるかを調べた。その結果、光に頼るのが一番ロバストで、音と光の両方を使うことでむしろロバストネスは減少した。音にノイズを加えたときには、光も信号として使うことで音だけよりもロバストとなった。2) 油滴の実験はサイズ依存性を調べた。油滴はあるサイズ付近で形が変形しはじめ、より前進運動を好む馬蹄形に変形することが観測された。またさらにサイズを増すことで、複雑な振動モードを示すことも分かった。
著者
池上 高志
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.435-444, 2010-05-15
被引用文献数
1 2

Here we will discuss the Self-organization of autonomous embodied motion [5]. Despite being a major characteristic of living systems, Self-movement has never been viewed seriously as a central element of living systems. In fact, most current research focuses on 'structure' rather than 'movement'. The theory of autopoiesis [35] also does not examine biological movement directly. However, Self-movement often appears as a central theme in robotics research, its self-organization has scarcely been studied. Self-organization of Self-motion is important, because We need to understand the natural intelligence of living systems, opposed to artificial intelligence, its diversity and its root in evolution. As a means for approaching these challenges in robotics research, we designed a simple chemical system that synthesizes embodied autonomous motion: a self-moving oil droplet. This chemical system provides a new example of self-movement besides biological systems and mechanical robots.
著者
大海 悠太 池上 高志
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.440-443, 2007-06-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。研究会報告