著者
池上 高志
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.198-210, 2021-06-01 (Released:2021-06-15)
参考文献数
28

Ordinary neural networks represent objects in a dimensionally compressed latent (Z) space. In this latent space, a grammatical structure emerges if the input is a language, or a finite state automaton that makes predictions if the input is a time series. But the living system perceives and experiences the object without contracting it. The philosopher Meillassoux said, “A discontinuous ring consisting of multiple interruptions.” While discussing the interpretation of this idea, I will analyze and report on an experiment using the android Alter3, which mimics human poses. What is important to make a robot anti-contractive is one's interaction with a human being, and the other is the autonomous rewriting of memories that is created because of its inability to learn.
著者
本武 陽一 池上 高志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.2C3OS06b4i, 2015 (Released:2018-07-30)

DNNの内部に、学習データの性質に応じた階層的構造が組織化されることが示唆されている。本研究では、この構造を議論するため、与えられた画像毎に階層間のヤコビアン行列を計算し、その特異値分布を算出した。現在、教師ありで学習された畳み込みネットにて、情報の抽象化を示す急勾配な特異値分布が観察されている。発表では、この結果とRifaiらがCAEで検討した多様体仮説との関連や、他の解析結果を議論する。
著者
池上 高志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.809-813, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)
参考文献数
8

インターネットという情報の巨大な伝送装置を得,おびただしい量の情報に囲まれることになった現代。実体をもつものの価値や実在するもの同士の交流のありようにも,これまで世界が経験したことのない変化が訪れている。本連載では哲学,デジタル・デバイド,サイバーフィジカルなどの諸観点からこのテーマをとらえることを試みたい。「情報」の本質を再定義し,情報を送ることや受けることの意味,情報を伝える「言葉」の役割や受け手としてのリテラシーについて再考する。第9回は,生命進化の観点から情報を考える。いま世界のいたるところで,人工システムが生命的な様相を呈している。単なる自己複製にとどまらない人工生命化。その進化の先にある世界とは。
著者
土井 樹 池上 高志
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

社会性集団とこれを構成する個体或いは局所個体集団の間に生じる現象に関する研究は古くから存在するが,個体の個性を考慮した上での両者の関係性は明らかにされてこなかった.本発表では集団のダイナミクスにとって個体の個性というものが系に対してどの様に振る舞うのか社会性昆虫のひとつであるセイヨウミツバチを通して解析を行った。
著者
松田 英子 池上 高志
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

生物は膨大な量の情報から、適応的な行動を自己組織的に学習する。一方ロボットの学習では、恣意的な教師信号が与えられ、センサー刺激も限定されていた。そこで生物の学習モデルとして、predictive codingに基づく脳を備えたロボットを構築・実験を行った。ここでは、センサー値を予測するために学習が行われる。複雑な環境における情報の構造が脳内に再構成され、生物が有用な情報を取り出す過程を議論する。
著者
池上 高志
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.249-254, 2021-06-01 (Released:2021-06-15)
参考文献数
31

I discuss the relevance of Massive Data Flow, Valera' s autopoiesis and Maillassoux' s subtraction and contraction as argued in the target paper, citing the brilliant six commentators. I argue that it is important to think about MDF, ALife and automated scientists to remove human cognitive biases from cognitive science.
著者
池上 高志
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.198-210, 2021

<p>Ordinary neural networks represent objects in a dimensionally compressed latent (Z) space. In this latent space, a grammatical structure emerges if the input is a language, or a finite state automaton that makes predictions if the input is a time series. But the living system perceives and experiences the object without contracting it. The philosopher Meillassoux said, "A discontinuous ring consisting of multiple interruptions." While discussing the interpretation of this idea, I will analyze and report on an experiment using the android Alter3, which mimics human poses. What is important to make a robot anti-contractive is one's interaction with a human being, and the other is the autonomous rewriting of memories that is created because of its inability to learn.</p>
著者
佐藤 譲 池上 高志
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.659-664, 1997-08

命題論理式の充足可能性問題(Satisfiability problem,以下SATと表記する.)は数理論理学を背景に持つ代表的なNP完全問題であり,計算の複雑さの理論においては「実際的計算可能性」を考える上で重要な研究対象になっている.近年,このSATは数値計算を用いる実験数学的な手法によって研究されており,計算の複雑さの現実的な性質が明らかになっている.本論文では力学系の理論に基づき計算理論に新たな視点を導入する.SATのうちで,節に含まれるリテラルの数がk個である和積標準型の論理式(kCNF)の充足可能性を判定する問題を特にkSATという.本稿では主にこのkSATを取り上げる.kSATは与えられたkCNFを満たす解が存在するかどうかを判定する決定問題であり,k=1,2のときは多項式時間で解ける問題クラス(class P),k&ge;3のときは多項式時間では解けないと予想されている問題クラス(class NP)に属することが知られている.先行研究によると,計算コストのかかる問題の分布は一様なものではないことが示唆される.この分布の幾何学的側面を考察するために,ここではkCNFをk次元の単位区間内にコードし,充足可能式をプロットするという方法をとった.このとき3CNFの充足可能式の集合は3次元の単位立方体内部に,2CNFの充足可能式の集合はその原点を通る平面での切断面に埋め込まれることになる.結果として,このkCNFの充足可能式の集合は,k=2のとき完全な自己相似集合(フラクタル),k&ge;3のとき部分自己相似集合(準フラクタル)となると予想された.自己相似集合は単純な入れ子構造をもつ縮小写像系,部分自己相似集合は互いに他に含まれるような入れ子構造をもつ縮小写像系で表現される.したがってここでは,このような縮小写像系の再構成が重要な意味を持つ.k=2の場合,充足可能式の集合を縮小写像系で再構成することができたが,k&ge;3の場合は再構成が困難だった.このためBox-counting法で数値的にHausdorff次元を求めたところ,k=2の場合は理論値に良く一致したが,k&ge;3の場合は(自己相似集合を仮定した場合の)理論値からややずれるという結果を得た.3SATがclass NPに属するのは何故かという論点に戻ると,相互に他に含まれる入れ子構造をもつ縮小写像系によって生成される準フラクタルの性質により,NPの言語を認識することのできる離散力学系(アルゴリズム)において初期入力が不変集合に到達する時間(計算時間)が単純な入れ子構造をもつ縮小写像系によって生成されるPのそれよりも長くなるという説明がつく.以上を考察して,以下の予想を得た.class P ⇔ Self similar set class NP ⇔ Partially self similar setこの予想の検証は今後の課題である.
著者
大海悠太 渋谷 慶一郎 江原 寛人 池上 高志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.102, pp.55-60, 2007-10-12
被引用文献数
2

ロジスティック写像の結合系やセルオートマトン、進化システムのシミュレーションなどを用いた複雑系の時間発展パターンによって制作する音響生成ソフトウェアの開発と、そのソフトウェアを用いたサウンドインスタレーションについて報告する。We report our development of music softwares using generators in complexity systems such as coupled logistic maps, cellular automaton and evolutionary system simulations. We also report sound installations produced with these music softwares.
著者
村田 純一 河野 哲也 染谷 昌義 池上 高志 長滝 祥司 吉澤 望 石原 孝二 柳澤 田実 佐々木 正人 三嶋 博之 工藤 和俊 柴田 崇 丸山 慎
出版者
立正大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

わたしたちの生活はつねに多様な人工環境によって支えられている。この「人工環境・内・存在」のあり方を生態学的現象学、技術哲学、生態学的心理学、さらには、認知科学や建築学などの知見を利用して解明すること、これが第一に取り組んだことである。第二に、この知見に基づいて、バリアフリーデザイン、ユニバーサルデザイン、そして、人間中心設計などの設計観の意義を明らかにし、具体的な人工物の製作過程への応用可能性を検討した。
著者
池上 高志
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.435-444, 2010 (Released:2012-01-25)
参考文献数
49
被引用文献数
2 2

Here we will discuss the Self-organization of autonomous embodied motion [5]. Despite being a major characteristic of living systems, Self-movement has never been viewed seriously as a central element of living systems. In fact, most current research focuses on ‘structure’ rather than ‘movement’. The theory of autopoiesis [35] also does not examine biological movement directly. However, Self-movement often appears as a central theme in robotics research, its self-organization has scarcely been studied. Self-organization of Self-motion is important, because We need to understand the natural intelligence of living systems, opposed to artificial intelligence, its diversity and its root in evolution. As a means for approaching these challenges in robotics research, we designed a simple chemical system that synthesizes embodied autonomous motion: a self-moving oil droplet. This chemical system provides a new example of self-movement besides biological systems and mechanical robots.
著者
池上 高志
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.444-447, 2007-06-20

人工的にしつらえたセンサーと、生命の持つセンサーとの違いについて、B.Libetの脳神経生理/認知実験を紹介しつつ議論し、コンピュータの中でのシミュレーションモデルによる構成論的アプローチによる、生命的センサーの理論の可能性について議論する。
著者
池上 高志
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.413-414, 1994-02-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
池上 高志 高橋 宏和
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ロボットと神経回路の間のフィードバックループ系を設計する。培養された神経回路、あるいは、人工神経回路を使ってロボットの運動行為を制御し、ロボットがセンサーを通じて得た環境からの情報を神経回路にフィードバックする。この刺激と行動のくりかえしの閉回路の動作を調べて、1)神経回路の成長を情報のネットワークの変遷で特徴つけ、2)閉鎖回路をつくることで、ネットワークはある構造をつくることと、3)そのパターンの成長は「神経回路は外から刺激されるのを避ける原理」が働いていること、を発見した。
著者
池上 高志 岡 瑞起 橋本 康弘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.811-819, 2015-11-01 (Released:2017-09-07)
参考文献数
24

The Web is perhaps the most complex system that we know today. Its massive scale, complex dynamism, open richness, and social character mean that it may be more profitable to study it by using tools and concepts appropriate for understanding nervous systems, organisms, ecosystems and society, rather than approaches more traditionally employed to study engineering technology. Simultaneously, the scientists trying to understand this wide array of complex natural systems may have much to gain by considering the emerging study of the Web. In this paper, taking examples from our recent studies on the Web, we concretely discuss the relevance of the Web as a large model, as opposed to small models often used in physics or biology, for understanding living systems. An idea is forwarded of a default mode network that introduces autonomy, evolvability and homeostasis into the Web. For example, we argue for the existence of two modes of the states in Twitter; the excitation and baseline. The Web turns out to be an excitable media similar to a brain or certain kinds of chemical systems. R. Ashby's laws of requisite variety is also revisited to study its relevance in the light of controlling complex systems.