著者
松岡 憲知 池田 敦
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.121, no.2, pp.269-305, 2012-04-25 (Released:2012-05-29)
参考文献数
283
被引用文献数
6 4

Periglacial process studies, which began in the mid-20th century, have greatly advanced in recent years following several breakthroughs. This paper reviews the latest breakthroughs supported by new technologies, themes, and international projects. New technologies have enabled small, high-resolution data loggers to monitor rock and soil movements, and thermal and hydrological properties in polar and alpine areas; enabled geophysical instruments to visualize two- and three- dimensional subsurface structures below periglacial features; and, enabled numerical simulations to predict future landform evolution. In particular, dramatic progress has been achieved in understanding bedrock shattering and falls, soil movements induced by freeze-thaw oscillations, controls on rock glacier creep, critical conditions for ice-wedge cracking, and biogeophysical impacts on non-sorted circles. Two key words, global warming and Mars, are appearing often in periglacial research. High mountains and polar lowlands face the fate of potential natural hazards associated with rock slides, debris flows and thermokarst subsidence, possibly originating from permafrost thawing. High-resolution orbital images and on-site explorations on Mars provide detailed information on small-scale, potential periglacial features, which are the morphologically equivalent of terrestrial counterparts. International collaboration is expected to further promote modeling various periglacial features on a global scale, improve the resolutions of periglacial climate indicators, and increase understanding of past and present Martian environments.
著者
池田 敦子 池田 元久 小松 崎篤
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.90, no.11, pp.1235-1239, 1997-11-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

In an attempt to study the distribution pattern and correlation between maxillary, frontal and sphenoid sinus volume, sinus volumes were measured by coronal CT scans of the paranasal sinus. Two hundred and four maxillary sinuses of 102 patients, the frontal sinuses of 62 patients and the sphenoid sinuses of 68 patients with no inflammatory changes detectable on CT scans of the each paranasal sinus and nasal cavity were analyzed. The volumes of the maxillary sinus showed a normal distribution, and its mean volume and standard deviation were 20.5±9.2cm3. The logarithms of both frontal and sphenoid sinus volumes exhibited a normal distribution. The mean volume of the frontal sinus and the sphenoid sinus, which were calculated using logarithms of the sinus volumes statistically, were 8.3cm3 and 9.6cm3 respectively. The correlation coefficient was 0.134 between the maxillary and frontal sinus, 0.445 between the maxillary and sphenoid sinus and 0.315 between the frontal and sphenoid sinus. It is suggested that differences in the volume distribution pattern between the maxillary sinus and frontal or sphenoid sinus might be caused by differences in the growing process of each sinus.
著者
松岡 憲知 池田 敦
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.3, pp.502-535, 2011-06-25 (Released:2011-09-06)
参考文献数
160
被引用文献数
4 2

Spacio-temporal variability of contemporary periglacial environments in the Swiss Alps is summarized on the basis of 15 years of field observations of rock weathering, permafrost creep, and soil movements, as well as other recent studies. Diurnal and annual freeze-thaw cycles loosen wet rock joints, which subsequently produce rockfalls. A large episodic rockfall can temporarily raise the rate of rockwall retreat. Rock debris derived from different parent rocks controls the types of rock glacier having different compositions, thermal characteristics, and dynamics. Some rock glaciers at the lower limit of permafrost are accelerating due to intensified mobility, but they may eventually become inactive because of permafrost thawing and the lack of debris supply. On slopes mantled with fine debris, small-scale stripes and lobes tend to develop on the upper part due to thin debris and good drainage, whereas larger scale lobes increase downslope as a result of thicker debris, poor drainage, and gentler slopes. The former mainly responds to shallow diurnal freeze-thaw cycles, whereas the latter reflects frost heave and gelifluction during deeper annual freezing-thawing. A prolonged supply of meltwater further triggers rapid mudflows superimposed on slow solifluction. Climate warming may decrease periglacial activity in seasonal frost areas, whereas in marginal permafrost areas it promotes permafrost warming that temporarily accelerates permafrost creep and/or permafrost thawing that possibly triggers large rockfalls and debris flows.
著者
池田 敦
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2010年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.122, 2010 (Released:2010-06-10)

本稿では岩石氷河の起源について,混乱しがちな議論を整理し,その形成モデルおよびその地形が示唆する環境について考察する. 現在の基本認識 岩石氷河は寒冷環境下の傾斜地に発達する角礫層に覆われた舌状地形であり,その長さは数十mから数km,厚さは数十mである.その舌状形態と,ときに表面に発達する皺状の微地形が,粘着性をもった流動による地形形成を暗示する.実際に多くの岩石氷河で年間数cm~数mの地表面流速が観測され,その流速は岩石氷河内の氷の変形によることが確実視されている. しかし岩石氷河の形成モデルを巡っては大きな見解の対立がある.一つは,氷河上ティルが非常に厚くなり消耗が極端に抑制された結果,涵養域/消耗域比がごく小さくとも質量収支が成り立つ氷河(もしくはその遺物)と岩石氷河を捉える氷河説であり,もう一つは,永久凍土環境下において崖錐や氷河堆積物内で凍った水と落石等に被覆された残雪に起源をもつ集塊氷の変形によって形成されるという永久凍土説である. 研究の進展の結果,完新世に氷河と隣接した形跡がない岩石氷河(図中D)については永久凍土説が広く適用されているが,上流側に氷河(あるいは完新世のモレーン)を有する岩石氷河については,いまだ研究者間でその成因についての認識が大きく異なっている. 議論が混乱している理由 岩石氷河内の氷体が氷河に由来することと,岩石氷河が氷河のシステム(涵養域と消耗域の収支を平衡させる流動システム)に則っているかどうかは,分けて考えるべきだが,氷河説の支持者は前者を(多くは断片的に)確認しただけで後者を念頭にモデルを提示している. また,岩石氷河とその上流側に存在する氷河との間には,地形的なギャップがない場合(図中A)とある場合(図中B,C)があるが,これまでのレビューや討論では,それらの違いを区別した議論がなされていなかった. 論争解決のための分類 (1)氷の主な起源,(2)流動システム,(3)上流側の氷河の有無をもとに,岩石氷河を4タイプに分類した.(1)氷河起源で(2)氷河システムの氷河型岩石氷河(A),(1)氷河起源で(2)非氷河システムの堆石型岩石氷河(B),(1)非氷河起源で(2)非氷河システムかつ(3)氷河が非干渉の崖錐型岩石氷河(D)ならびに(3)氷河が干渉(間欠的に被覆)する氷河被覆型岩石氷河(C)である. この分類に基づくと,Aは涵養量が少なく,涵養域での岩屑/氷比が相対的に大きく,さらに消耗量が極端に少ない寒冷氷河の存在を,Bは氷核モレーン中の氷が岩石氷河を発達させえるだけ長期間保存される環境(永久凍土環境)を,CとDは永久凍土環境を示すと考えられる.Cに関しては上流側の温暖氷河(涵養大・消耗大)の前進が岩屑供給と永久凍土の部分融解を引き起こしている. このうちAとBに関しては,内部構造や内部変形に関する実証的な研究がほとんどなく,その点で上の記述は推論の域を抜けていない.今後の研究の進展が望まれる.
著者
内藤 千尋 田部 絢子 石川 衣紀 石井 智也 池田 敦子 柴田 真緒 能田 昂 田中 裕己 高橋 智
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
教育総合研究 = Research and Studies in Education (ISSN:24336114)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.109-116, 2020-11-30

本稿では、筆者ら「北欧福祉国家における子ども・若者の特別ケア」研究チーム(代表:髙橋智日本 大学教授・東京学芸大学名誉教授)が調査したフィンランドのユースセンター「ハルユユースセンター (Harjun Nuorisotalo)」「ヌメラユースセンター(Nummelan nuorisokeskus)」(2019年9月)および「ヴァ モス・エスポー(Vamos Espoo)」の取り組みの紹介を通して、多様な発達困難を有する若者支援のあ り方を検討した。若者向けの発達支援の一つであるユースセンターの特徴は、若者の支援ニーズに丁 寧に寄り添う専門家やピアの存在により、ユースセンターが若者の居場所や安心できる環境となって いることである。日本の若者支援においても事後対応的支援ではなく、地域での早期・予防的支援と しての居場所づくりや支援内容の検討が課題である。
著者
池田 敦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

温暖湿潤な日本列島において,永久凍土がまとまって分布しうるのが富士山と大雪山である。富士山ではひときわ高い標高が,大雪山ではより高緯度にあって標高2000 m前後の山頂部が台地状に広がることが,永久凍土を分布させやすくしている。一方,日本アルプスの高峰でも,地表面付近の地温から永久凍土の存在が示唆され,実際に飛驒山脈立山の1点では永久凍土が直接確認された。そのため,そうした山脈の山頂高度はちょうど永久凍土帯の下限付近に位置すると解釈されてきた。ところが2000年代末から,富士山の永久凍土とその周辺の地温を網羅的に観測しはじめたところ,1970年代の記念碑的論文が想定したよりも,また同等の気温をもつ国外の山域に比べても,富士山ははるかに永久凍土が存在しにくい環境であることが明らかになった。その結果をもとに,ここでは従来ごく限られたデータから論じられてきた日本列島の永久凍土環境について見直すこととする。 富士山では秋季に地温が特異的な急上昇をする場所が多く,その誘因は降雨であり,その素因は雨水を浸透させやすい火山砂礫層であった。一般に季節的な凍結融解層では,熱伝導が地温をほぼ支配する。しかし,富士山では移流的な熱の移動が顕著に加わるため,表層の地温勾配が極端に大きく,地表面に比べ永久凍土上端(深さ約1 m)の年平均地温が約1℃高い。永久凍土が存在しない地点の地温勾配はさらに大きく,深さ2 mの年平均地温は地表より3~5℃高い。こうした場所において,地表付近の地温を従来の知見に参照させるだけでは,永久凍土分布を過大評価してしまう。これまで日本アルプスで永久凍土が表層地温から示唆されたところは,透水性のよい岩塊地が多い。そこでは深さ2 mの年平均地温を従来の見積もりよりも3℃は高く想定すべきで,そうすると日本アルプスでは永久凍土がほとんど現存しないことになる。立山で確認された永久凍土は,8月まで残存する積雪が降雨浸透を妨げる場所で観察されており,気候的な代表性をもつ永久凍土帯下限の証拠ではなく,極端に不均一な積雪分布を反映した非成帯的な永久凍土と理解する方がよいだろう。一方,台風や秋霖の影響をほとんど受けない大雪山では,おそらく永久凍土が富士山より高い気温のもとでも存在している。つまり,日本列島では気温の南北傾度に比べて,永久凍土帯下限の南北傾度が大きい。今後,仮に気候変化により,大雪山が台風や秋霖の影響を受けやすくなれば,それに応じて永久凍土が縮小に転じると考えられる。
著者
池田 敦 岩花 剛 末吉 哲雄 西井 稜子 原田 鉱一郎 新井 秀典
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2011年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.229, 2011 (Released:2011-05-24)

はじめに 富士山は、温暖な中緯度に位置する日本にありながら、その標高ゆえに山頂部の年平均気温が-6℃前後という日本では特異な寒冷環境にある。一方で活火山でもあり約100年前までは山頂部で噴気活動が記録されている。富士山は現在、山頂付近に永久凍土がまとまって存在する本州でおそらく唯一の場所であるが、そのことは大気側の低温条件と地盤側の高温条件の複雑なバランスを反映していると考えられる。しかし富士山山頂部の地温は、これまでほぼ1mより浅い位置でしか観測されておらず、実際に永久凍土に関する深部の情報は得られていなかった。本稿では2008年夏に山頂部に設置した深さ3mの観測孔2本の地温変化を中心に論じ、富士山の地温を支配する要因について2年間の観測で明らかになったことを紹介する。 調査地点・調査方法 火口周囲の比較的平坦な2ヵ所(標高3690m前後)の火山砂礫層に深さ約3mの観測孔を掘削し、データロガーを用いて地温を観測した。1ヵ所(観測孔#1)は地形的な凸部で積雪深が50cmを超える期間はごく短い。もう1ヵ所(観測孔#2)は吹きだまりで年間8ヵ月以上も積雪に覆われている。観測孔#1の脇では気温、降雨等の気象要素も観測した。また、山頂部6地点、北斜面8地点、南斜面3地点で、データロガーを用いて表層(深さ0.5~1mまで)の地温を観測した。 結果と考察 観測孔#1、#2ともに先行研究の想定に反し、全深度が融解することが確認された。観測孔#1では、深さ2.5m以下の地温が年間を通じて0℃からそれをわずかに上回る値で推移し、永久凍土が存在するかどうかの境界に位置した。とくに降雨に伴い地温が急上昇する特徴的な関係が見出された。地盤の昇温は一般に伝導によるが、富士山の透水性のよい砂礫層では降雨浸透による熱伝達の効果が大きいために融解が進み、永久凍土の発達が抑制されていた。観測孔#2では、観測開始当初、地表面付近以外で2~5℃という高い値を示していた地温が、年間を通じて低下し、2009年秋の1℃にも達しない昇温のあと、翌年も低い値で推移したが、2010年夏に急上昇した。積雪が冬季は地温の低下を、夏季は地温の上昇を抑制し、積雪条件が毎年異なるため、年による地温変化が大きい。風衝地と比べると地温が高く、観測孔より深部に永久凍土が存在する可能性はほとんどなかった。 その他の地温プロファイルも比較検討すると、積雪の溜まりやすさと透水性のよさが富士山において地温を顕著に高く保っていた。山頂部でも永久凍土が確認できない地点があることから、富士山では斜面方位・傾斜と微起伏が地表面における日射量や風向風速を不均一にし、さらにそれらが積雪分布や土壌水分の空間分布を著しく不均一にし、透水性の不均一性も相まって、地温がコントロールされており、永久凍土分布がパッチ状であると予想できた。今後は各要素間の関係を定量化し、永久凍土分布を見積もるなど研究を多方面へ発展させる予定である。
著者
池田 敦 山口 正博 高崎 勝明 長井 直之 中島 満則
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.67, no.657, pp.1241-1246, 2001-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
1

It's commonly known that a frictional force between two sliding surfaces can be reduced to excite the ultrasonic vibration on the one side of a solid body surface. The low-friction effect due to the application of ultrasonic vibration remains valid for the friction between paper and metal as well as between metals. To make a frictional decrease mechanism clear, we observed the behavior of a solid body on the vibrated surface. In the case of a frictional force is zero, the levitation distance is as the same as theoretical distance. If the amplitude of vibration is decreased, the distance between the solid body and the vibrated surface will be also decrease, and frictional force will be raised.
著者
久保 孝市 池田 敦 佐々木 雅彦 鳥谷部 純行 竹川 政範 松田 光悦 西村 泰一 北 進一 奈良 潤一郎 池畑 正宏
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.45-47, 1997-01-20
参考文献数
6
被引用文献数
7 2

We clinicostatistically studied 102 cases of external dental fistula at the Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Asahikawa Medical College during the past 18 years (from 1977 through 1994). The following results were obtained:<BR>1) The 102 patients comprised 49 males and 53 females. As for age, patients, in their twenties and thirties were most frequently encountered.<BR>2) The period from the onset of disease until the first visit at our clinic tended to be relatively long. The longest period was 13 years and the shortest several days. The average period was 16.9 months.<BR>3) The cheek area (48.0%) was the commonest site of external dental fistulae.<BR>4) External dental fistula arose more often in the mandibular region than the maxillary region, and was especially frequent in the mandibular molars and incisors.<BR>5) In many patients the involved teeth and the fistula were concurrently treated by surgery.
著者
池田 敦治 若狹 邦男
出版者
広島大学歯学会
雑誌
広島大学歯学雑誌 (ISSN:00467472)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.141-146, 2002-12-01
被引用文献数
5

本論文の要旨の一部は平成十三年三月の第37回日本歯科理工学会学術講演会において発表した。