著者
波佐間 逸博
出版者
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
雑誌
アジア・アフリカ地域研究 (ISSN:13462466)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.26-60, 2012-09-30 (Released:2018-12-05)
参考文献数
59
被引用文献数
3

In Karamoja, northeastern Uganda, which borders Sudan and Kenya, the inflow of automatic rifles from neighboring Sudan and from Ugandan government troops began in the 1970s, through exchange and raiding. The pastoral Karimojong, Jie, Dodoth, Tepes, and Pokot have a history of shifting alliances and low-intensity conflict (LIC) revolving around cattle raiding using guns. The Ugandan government has disarmed the pastoral peoples in the past, and it began a new disarmament program, which these people call ‘harvesting guns,' in 2001. This has resulted in an arms imbalance among groups, an increase in raids by groups that still possess guns, and many refugees from the disarmed groups. In addition, the forcible disarmament involves cordon and search tactics and torture in the army barracks. This paper examines the sequence involved in implementing the disarmament program in Karamoja and describes the essentialist frame that justifies the state dominating the pastoral peoples of the Karamoja, using physical violence combined with politics, administrative measures, and the military, and how their cooperation tragically leads the local people to a critical predicament. It also describes the history of the inflow of automatic rifles and their current use in the society. It is elucidated how “othering” poses an unjust threat to the daily lives of the pastoral peoples and has existential effects, and proposes recommendations to improve the disarmament sequence.
著者
増田 研 波佐間 逸博 宮地 歌織 山本 秀樹 野村 亜由美 宮本 真二 田川 玄 田宮 奈菜子 佐藤 廉也 野口 真理子 林 玲子
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題は日本のアフリカ研究者による初めての高齢者研究であり、かつ、人類学と公衆衛生学・保健学を組み合わせた方法論を採用したため、期間を通じてそのアプローチのあり方について模索を続けた。成果として書籍(編著)を公刊したほか、日本アフリカ学会におけるフォーラムの開催、日本アフリカ学会の学術誌『アフリカ研究』に特集を組んだことがあげられる。検討を通じて、都市部貧困層高齢者の課題、アフリカにおける高齢者イメージの解体、生業基盤によるケアのあり方の違いといった探求課題を整理できたことも成果である。
著者
波佐間 逸博
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

東アフリカ牧畜社会における暴力紛争を文化化していく政治・社会科学的言説を検討することをつうじて、植民地期以来の構造機能主義的な、均質で自己完結的な集団観と、稀少資源をめぐり共約不可能な形で対立する利害集団モデルにもとづいた介入によって、低強度紛争が、かえっていっそう促進されている現実が生じていることを批判的にあぶりだした。また、東アフリカにおいて一般化している集合的暴力にたいする、牧畜社会における人びとの対処方法と、それらが創造され、活用されてきた社会的プロセスを記述、分析することによって、ローカルな共同体が独自に洗練させてきた牧畜世界の共生論理と実践をあきらかにした。
著者
太田 至 内海 成治 佐藤 俊 北村 光二 作道 信介 河合 香吏 内海 成治 佐藤 俊 北村 光二 作道 信介 河合 香吏 曽我 亨 湖中 真哉 内藤 直樹 孫 暁剛 中村 香子 波佐間 逸博 佐川 徹 白石 壮一郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、第一に、アフリカの乾燥地域に分布する牧畜社会の人々が歴史的に培ってきた知識や技術、社会関係や文化など(「ローカル・プラクティス(LP)」)を再評価すること、第二には、この社会の開発=発展のためにLP を活用する道を探究することである。東アフリカの4カ国、12民族について現地調査を実施し、人々がLPに基づきながら激動する生態・社会環境に対処している様態を解明し、LPが開発=発展に対してもつ潜在力を総合的に再評価し、それを援用する道に関する考察を深めた。