著者
中尾 哲也 辻田 純三 山下 陽一郎 増田 研一 金井 成行 平川 和文
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.135-145, 2015-08-25 (Released:2017-07-28)

The purpose of this study was to investigate the relationship between lower trunk muscular contraction and variety of joint movement on 10 healthy males (20.9 ± 1.6 ages). As a result, with abdominal cave-in compared to abdominal bracing, we found active range of motion and isometric muscular strength in shoulder flexion, shoulder external rotation, hip flexion, hip extension, trunk rotation and trunk extension were increased. Also, the activation of transversus abdominis / obliquus internus on external rotation of shoulder, and the activation of gluteus maximus on trunk extension were increased significantly. The lumbar lordorsis angle and the abdomen length were decreased significantly with abdominal cave-in compared to abdominal bracing.
著者
増田 研
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.90, pp.37-46, 2016-12-31 (Released:2017-12-31)
参考文献数
35

感染症による死亡率が低下したアフリカでは現在,人口が急増する一方で長寿命化が進行している。この延長線上に,今世紀後半にやってくるとされるアフリカの少子高齢時代をどのように迎えるのか,そのためにどのような調査や政策が求められるのか,という課題に関する問題整理を試みたのが本稿である。高齢化社会の到来をにらんだ取り組みとしては,年金や給付金制度の策定などがすでにいくつかの国で始まっているが,高齢者の生活ケアや健康・医療問題など,課題は多いとされる。アフリカ社会の高齢化に関する先行研究の多くは,社会保障の不在や非感染症への対応の遅れ,都市部貧困層の高齢化,農村社会の高齢化,ファミリーケアの衰退といった数多くの問題点を指摘する。しかしながら,個別社会において人口高齢化が何をもたらすのか,そもそも何が課題であるのか,そうした課題に地域社会の脈絡にそくしたどのような社会的対応がありうるのかといった点について,今後は民族誌的なアプローチによる研究が本格化されることが望ましい。高齢化先進国の社会保障政策や試行錯誤を参考にしつつも,地域社会のあり方に学び,アフリカの未来の姿についての関心を共有することが求められるのである。
著者
福井 勝義 宮脇 幸生 松田 凡 佐藤 廉也 藤本 武 増田 研
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、平成17年以来、北東アフリカのエチオピアを主要な対象とし、国民国家の形成過程で頻発してきた民族紛争について、その発生・拡大・和解のプロセスを歴史的に検証することを目的としている。昨年に引き続き本年度も、研究代表者をはじめ研究分担者および研究協力者がそれぞれエチオピア西南部の各民族集団において、民族紛争の発生・拡大・和解に関する聞き取り調査を実施する一方、各地方行政府に収められている行政文書のアーカイブ調査を試みることで、現地で得た情報との整合性を確認し、民族紛争と国家政策との関連性を示した。例えば、研究代表者である福井は、攻撃する側である農牧民メ・エンと攻撃される側である農耕民コンタ双方において戦いとその被害状況に関して情報収集を行った結果、エチオピア帝政期・デルグ社会主義政権期・EPRDF現政権期という20世紀のエチオピアにおける3つの政権の交代期に民族間の戦いが頻発していることが明らかにされた。こうして現地で収集、整理された情報は、国内で年3回開催された研究会合において統合的に分析が進められた。また、空中写真・衛星画像を用いて戦いや環境の変化に伴う各民族の居住領域の変化を時系列的に復元し、これを生態環境データと照らし合わせ比較検討した。これらの情報は今後、各民族における紛争に関する情報収集を継続的に行うことで、より広範な地域における民族間関係を歴史的に明らかにすることが可能になる。また、昨年度より着手したアーカイブ調査を実施していくことで、民族紛争と国民国家への統合のプロセスとの関連性を理解することができるようになる、と考える。
著者
増田 研 深井 明比古
出版者
長崎大学多文化社会学部
雑誌
多文化社会研究 = Journal of Global Humanities and Social Sciences, Nagasaki University (ISSN:21891486)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.29-53, 2019-03-18

日本と東アフリカのあいだのヒト、モノ、情報の交流は、いわゆる「日本-アフリカ交流史」として1960年代から少しずつその実態が明らかにされてきた。なかでも近代の人的交流については多くのことが判明しており、九州北部地域出身の人々がすでに明治時代から東アフリカに居住していたことが分かっている。本研究は日本-アフリカ交流史の探求において手薄であった「モノの交流」を明らかにする取り組みの一環として、日本製タイルの流通に着目するものである。筆者らは2017年から2018年にかけてタンザニアのウングジャ島(ザンジバル)にて日本製タイルが墓地やホテルにおいて使用され、かつ、骨董品として流通している状況を確認し記録した。こうした日本製タイルの多くは大正時代から昭和初期にかけて淡路島や名古屋、岐阜で生産されたものである。本論文ではそうしたタイルの「身元」を、考古学的手法を用いて同定し、その使用実態を記述することを通して、20世紀前半に日本製タイルが東アフリカにまで流通していたことを主張する。
著者
増田 研 深井 明比古
出版者
長崎大学多文化社会学部
雑誌
多文化社会研究 = Journal of Global Humanities and Social Sciences, Nagasaki University (ISSN:21891486)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.305-317, 2021-03-23

長崎市南山手の旧レスナー邸は明治中期に建築された、長崎洋館群の一画をなす建物である。この建物の玄関部ポーチに敷かれたタイルについてはいくつかの文献において紹介されているが、その由来については不明なままであった。本稿はこの玄関部ポーチで用いられたタイルを詳細に記述し、長崎における洋館建築史への一助としたい。また、玄関ポーチのタイルについては損傷が著しく、保存や修復のためにもその現況を詳細に記していくことが必要である。“Sigmund Lessner’s House” is a western-style building constructed in the Meiji era (late 19 c). While its floor tiles used at the entrance porch were introduced in several publications, no details were mentioned. This is a brief report of our preliminary research conducted in February 2020 to record a detailed description. We found four types of ceramic tiles used, among which several types are made in Belgium and others are made in Japan. The made-in-Japan tiles are products of Awaji-seito factory of Awajishima (Hyogo prefecture) that are not well-known even among the study of industrial history of ceramic tiles. Our research also discovered the floor tiles are so damaged that an engineering assistance to preserve the historical heritage is recommended.
著者
増田 研 波佐間 逸博 宮地 歌織 山本 秀樹 野村 亜由美 宮本 真二 田川 玄 田宮 奈菜子 佐藤 廉也 野口 真理子 林 玲子
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題は日本のアフリカ研究者による初めての高齢者研究であり、かつ、人類学と公衆衛生学・保健学を組み合わせた方法論を採用したため、期間を通じてそのアプローチのあり方について模索を続けた。成果として書籍(編著)を公刊したほか、日本アフリカ学会におけるフォーラムの開催、日本アフリカ学会の学術誌『アフリカ研究』に特集を組んだことがあげられる。検討を通じて、都市部貧困層高齢者の課題、アフリカにおける高齢者イメージの解体、生業基盤によるケアのあり方の違いといった探求課題を整理できたことも成果である。
著者
宮脇 幸生 石原 美奈子 佐川 徹 田川 玄 藤本 武 眞城 百華 増田 研 松田 凡 松村 圭一郎
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究によって明らかになったことは、エチオピアでは(1)開発の主体が政府から、政府だけでなく、国内外の企業家、国際機関およびそれと連携したNGOと、複数化しているということ、(2)一部でNGOと政府の間に密接な政治的関係が観察されたこと、(3)開発プロジェクトが実践された地域では、一部の地域住民の開発への参画と包摂、地域や世代による地域集団の分裂と対立、そして民族集団間の紛争に至るまで、それぞれの地域の社会的条件に応じて多様な形で地域社会の再編が進行しているということである。