著者
菅原 和孝 松田 素二 水谷 雅彦 木村 大治 舟橋 美保 内堀 基光 青木 恵里子 河合 香吏 大村 敬一 藤田 隆則 定延 利之 高木 光太郎 鈴木 貴之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「身体化された心」を軸に、フィールドワークと理論的探究とを統合することによって、社会の構造と実践の様態を解明することを目的とした。フィールドワークでは「心/身体」「文化/自然」といった二元論を克服する記述と分析を徹底し、理論探究では表象主義を乗り超える新しいパラダイムを樹立した。「身体化」に着目することによって、認知と言語活動を新しい視角から照射し、民族誌的な文脈に埋めこまれた行為と実践の様態を明らかにした。
著者
ダニエルス クリスチャン 宮崎 恒二 大塚 和夫 西井 涼子 眞島 一郎 関根 康正 河合 香吏 陶安 あんど
出版者
東京外国語大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

本計画研究の最終年度に当たる本年度は、これまでの4年間の研究成果を踏まえて、総まとめと研究成果の公表に重点をおいた。これまでの研究活動においては、三つの基本課題に沿って知識が資源化される過程を検討してきた。第一課題は、知識の所有・占有・共有である。第二課題は、現代における前近代知識の読み直しであり、第三課題は、実体化された知識である。実践の中で生まれてくる知識がどのように資源化されるかが大きなテーマである。本年度は、領域研究全体のr資源」概念の再構成に貢献できるように、上記の三課題を視野に入れながら、資源化メカニズムの解明を継続・研究した。これまでに知識の「資源化」と知識の「商品化」とのあいだに本質的な懸隔のあることを明らかにした。本年度は、資源としての知識が拡散と流動のベクトルをもつのに対し、その商品化は固定と秘匿のベクトルをもつという分析指標から計画研究の総まとめを行った。班員がその立場を取り入れた形で成果論文の執筆に執りかかった。具体的な活動は(1)総括班主催で2006年12月9日-10日に開催した資源人類学国際シンポジウムでの発表、及び(2)2007年秋に刊行する予定の責任編集・全9巻からなる資源人類学成果論文集の1巻をなす第3巻「知識資源の陰と陽』に掲載する論文作成であった。(1)の国際シンポジウムでは、関根はハワイ南アジア系移民社会における伝統知識の再活性化(宗教・呪術の復活)の補充調査をした上で、「On the Shift from Knowledge as a Capital to Knowledge as a Resource」と題する発表を行った。(2)については、班員はそれぞれ上記の三課題を中心に5年間の研究成果を論文にまとめる作業を行った。ダニエルスは、上記の第3巻の責任編集に当たると同時に、雲南における伝統技術の補足調査をした上で成果論文集の第1巻に掲載する伝統技術の資源化過程に関する総論を準備した。
著者
佐藤 俊 平野 聡 太田 至 河合 香吏 湖中 真哉 岡倉 登志
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

地域間の生態的,政治的,経済的,社会的,軍事的な諸要素の相互浸透的な相互作用は地域連環と定義され,在地の遊牧民が地域社会を自ら変容させつつ外的要因を選択的に取り込み,社会の持続性を維持するシステムを生活安全網と定義される。後者の概念はすぐれて地域社会に根ざすものであるが,複雑な地域連環を視野に入れてはじめて理解できるものである。1.遊牧生態系のGIS/RSによる解析:SRTM成果を標高値,DEMから計算された水系網の評価によって,基盤地図データの整備,地理情報の視覚化,自然環境のモデル化,遊牧民研究への応用が可能であることが検証された。2.地域社会の生活質リスクの解明:個々の遊牧社会が直面している問題のうち,家畜の略奪,市場経済化による社会的平準化機構の脆弱化,貧富の格差増幅による地域社会の変質,町場形成による牧野生態の劣化,就学と就労の増加による牧人不足と家計の多角化による家族構造の変化,伝統的政治体系と儀礼体系の変質などが,実証的資料によって明かにされた。3.地方的社会経済の広域的枠組みとその歴史的背景の解明:エチオピアでは,経済自由化によっても,社会的紐帯に制約された皮流通経路は開放されないことが判明した。ジブチのFRUD(ジブチ民族統一回復戦線)結成の背景,ならびに13〜15世紀のスルタン国家アファルに由来するアファル人のアイデンティティが文番資料によって明らかにされた。ケニアの政治的動向を,大統領の権限縮小,地方分権化をめざす現行憲法の見直し問題の経緯,国民投票(2005年11月実施)の選挙区党派別分布,憲法見直し問題とNARCの本格的分裂の3点について分析した結果,政党組織が意見集約機能を喪失して地域化していく過程が明らかとなった。今後の課題として,地域社会の生活安全網と地域連環を統合的に理解できるモデルを精緻化する作業が残されている。
著者
太田 至 内海 成治 佐藤 俊 北村 光二 作道 信介 河合 香吏 内海 成治 佐藤 俊 北村 光二 作道 信介 河合 香吏 曽我 亨 湖中 真哉 内藤 直樹 孫 暁剛 中村 香子 波佐間 逸博 佐川 徹 白石 壮一郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、第一に、アフリカの乾燥地域に分布する牧畜社会の人々が歴史的に培ってきた知識や技術、社会関係や文化など(「ローカル・プラクティス(LP)」)を再評価すること、第二には、この社会の開発=発展のためにLP を活用する道を探究することである。東アフリカの4カ国、12民族について現地調査を実施し、人々がLPに基づきながら激動する生態・社会環境に対処している様態を解明し、LPが開発=発展に対してもつ潜在力を総合的に再評価し、それを援用する道に関する考察を深めた。