著者
津村 幸治 小川 まな美
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第59回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.984-989, 2016 (Released:2017-02-01)

本研究では,これまで連続時間システムとして表現されてきた一般化分散最適化アルゴリズムが,離散時間システムとしても最適解に収束するアルゴリズムとして実現できることを示す.さらに,最適化変数として離散変数が含まれる場合も同様に扱えることを示す.
著者
小島 千昭 平田 真人 津村 幸治
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第57回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.1927-1934, 2014 (Released:2016-03-02)

Swing instability is an undesirable emergent phenomenon of a power network, in which generators coherently lose synchronism after an unexpected injection of a disturbance. In this paper, we analyze a mechanism of this phenomenon for a power network where subsystems with multiple identical generators are hierarchically interconnected. We first decompose the dynamics of each subsystem into oscillatory and zero eigenvalue modes by mode decomposition. As we see that the zero eigenvalue modes govern an unstable behavior, we define the transient stability margin in terms of the modes. As a main result, we clarify the energy transfer to the zero eigenvalue modes by using the stability margin, the collective dynamics of the entire system and the strength of the connection between subsystems. Based on this characterization, we predict that this energy transfer to the zero eigenvalue mode increases when a phenomenon of the swing instability emerges and confirm this prediction by using numerical simulation. A contribution of this paper is that we clarify an emergent energy transfer from a control theoretic view point.
著者
津村 幸治
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第1回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.165, 2005 (Released:2006-06-27)

制御理論の分野で知られている「Bodeの定理」は,達成可能な制御性能と制御系のエントロピーとの関係についての古典的結果である.本発表ではまずこれについて説明する.また最近,「通信容量制限下の制御」という,いわば制御理論と情報理論を結びつける研究が盛んであり,これについても説明する.
著者
貝塚 悠祐 津村 幸治
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第51回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.288, 2008 (Released:2009-04-14)

量子系の制御法の研究が活発に行われているが,量子スピン系を量子情報技術へ応用する際には,情報を表現するq-bitに対応した原子のスピンの向きを自由に制御する必要がある.特に純粋状態の中でも特別な状態である固有状態への収束が重要になる.本論文では,連続測定下におけるN次元スピン量子系を対象に,状態の純度が時間とともに減少する領域が2次形式で書けることを示し,この領域と測定効率の関係を明らかにする.
著者
木村 英紀 牛田 俊 大石 泰章 津村 幸治
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

この研究の目的は、脳の運動制御から生まれたモデル駆動型適応制御とよばれる新しい適応制御の方式を制御論的に定式化し、制御系設計論として確立することである。さらに、モデル駆動型適応制御の適応制御の発展上における位置づけとそれがもつ性質を理論実証両面から明らかにすることにより、適応制御および脳の運動制御の双方の分野に対して、「複雑系」を扱うための方法論としての新たな発展をもたらすことを目指している。主に次の3つのテーマを中心に研究を行った。(1)モデル駆動型適応制御の制御論的な定式化、および運動制御との関連(2)複雑系の同定手法の確立とその構造解析、および学習との関連(3)種々の複雑非線形系に対する制御論的アプローチ(1)については小脳のモデルとして提案された「フィードバック誤差学習法」を2自由度制御系として定式化し、その構造の解析および系の収束性の証明を行った。さらに、これらの結果はフィードバックループ内にむだ時間が含まれる場合へと拡張され、高い制御性能を達成することが示され、複雑なシステムに対する制御系設計のアーキテクチュアとして、適応制御に新しい領域を切り開きつつある。(2)においては、より広い意味での複雑系に対する同定手法の確立を目指している。システムの「複雑度」の扱いを制御系設計において重要となる種々の問題として捉え、構造の解析やモデリング手法の確立において一定の成果を得た。個々の問題は、複雑系を扱う上での難しさの本質に迫る興味深いアプローチを含んでいる。(3)は、制御対象として種々の複雑系への広がりをみせた結果であり、多彩な成果を得た。具体的には、モデル駆動型適応制御を用いた非線形ロボットアームや燃料電池自動車の改質システムの制御をはじめとして、生理学・生物学への制御論的アプローチ、量子システムの制御、ネットワークシステムの制御まで多岐にわたっている。特に、「制御生物学」「量子制御」に関しては、従来の制御理論では扱ってこなかった新しい分野への道を切り開くきっかけを与える結果であり、大きな成果の一つである。2年間の研究の進展を通じて、大規模かつ非線形性の強い複雑系を扱う場合にも「制御論的なアプローチ」が有効であることが改めて明らかになった。たとえば、人の運動制御、制御生物学を扱う際には、システムのダイナミクスの同定・構造や特性の解析・制御器設計といった従来得られている知見を土台として、理論がされており、制御論として対象を捉える考え方が重要な役割を果たしている。今後の課題としては、本研究成果で提起された種々の複雑系に対して個々の制御問題を定式化し、それらを扱うより使いやすい制御理論的な道具立てを整備することが挙げられる。
著者
津村 幸治 原 辰次
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

量子化データを用いたシステム同定:量子化された入出力データを用いたシステム同定に取り組み,最適量子化器の導出を通して,システム同定に必要な情報量を導出した.本研究では量子化データを用いたシステム同定において合理的な誤差規範について考察し,その妥当性について議論した.特に入力データの生成を確率的に,誤差評価はhard boundを用いた場合,最適量子化器は,確率的アプローチによる最適量子化器と,指数型量子化器とのハイブリッド型となることを示した.ネットワークド制御:信号の伝達に制約のあるネットワークド制御問題について幾つかの結果を得た.容量の異なる複数の通信線を用いたサブバンド符合化問題,対数型量子化器を用いた場合の制御性能問題について結果を導出した.また制御対象が未知の場合の適応制御について,離散時間系,連続時間系の場合について,量子化された信号を用いた安定化適応制御器を導出した.最後に,通信において伝送信号がロスするというパケット落ちがある場合について,様々な場合についての結果を得た.メモリ容量制限下におけるシステムの近似と安定化:動的システムの複雑度の指標として,その状態変数が量子化されたビットメモリシステムの,ビット長を用いることを提案した.その上で,ビット長に制約のある近似問題および安定化問題を考え,近似問題においては,与えられた近似誤差を達成するのに必要なビットメモリ長の下限と上限について,安定化問題においては,安定化を達成するのに必要な制御器のビットメモリ長の上限について,解析的に与えることができた.ネットワーク輻輳制御:TCP/IPを用いたコンピュータネットワークシステムにおける,伝送パケットの流れの輻輳を制御する問題を考えた.有限バッファを持つボトルネックで待ち行列となるモデルを導入し,列長を安定に制御する問題を考えた.従来,安定化の問題についての結果が知られているが,ここでは安定化制御器のパラメトリゼーションを与え,最適制御器を導出した.制御性能限界を示すことにより,TCP/IPを用いたネットワークシステムのより良い構造的特性について明らかにした.