著者
清水 正義
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎法學 (ISSN:13488473)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.133-155, 2003-05
著者
清水 正義
出版者
東京女学館短期大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

ニュルンベルク国際軍事裁判の管轄とされた「人道に対する罪」概念の形成過程を研究文献を通じて明らかにすること、「人道に対する罪」が包含する罪の内容を判決その他の資料を通じて具体的に検証すること、ニュルンベルク裁判と東京裁判における「人道に対する罪」の適用の相違の意義について明らかにすること、以上三点を今年度研究の重点目標とした。その結論は以下の通りである。1.「人道に対する罪」はすでに第一次世界大戦後のヴェルサイユ講和会議の際に用語として用いられているが、「民間人に対する非人道的迫害行為」という意味でこの罪が成立したのは、第二次世界大戦中の連合国間の合意、とくに中東欧の諸小国間の合意に発するものであり、その際、この罪概念が射程とした犯罪行為はナチス・ドイツによる連合国国民及びドイツ国民に対する迫害行為であった。2.「人道に対する罪」は、本来、戦時国際法規違反の範疇を越える人類普遍の原理に対する侵害として成立したものであったが、国際軍事法延の管轄の限界から、戦争犯罪に類似した罪と概念されてきた。しかし、この罪の本来の概念は戦争犯罪にとどまるものではなく、従って戦後、国際社会の合意により、ジェノサイド条約などの形で普遍的法規範のひとつに高められたのであり、また西ドイツにおいて「人道に対する罪」が刑法殺人罪の一種として認定され、断罪される余地が残されたのである。3.以上のような状況と比較して、東京裁判においては「人道に対する罪」に該当する犯罪行為が存在したと見做されていたかどうかきわめて不分明であり、結果的にこの罪の適用は回避されている。このことが、戦後、戦争犯罪について日本で法的断罪が行われなかった根拠であると考えることができる。
著者
永原 陽子 粟屋 利江 鈴木 茂 舩田 さやか 阿部 小涼 今泉 裕美子 小山田 紀子 尾立 要子 小林 元裕 清水 正義 前川 一郎 眞城 百華 濱 忠雄 吉澤 文寿 吉田 信 渡邊 司 津田 みわ 平野 千果子 浅田 進史 飯島 みどり 板垣 竜太 大峰 真理 後藤 春美 高林 敏之 旦 祐介 津田 みわ 中野 聡 半澤 朝彦 平野 千果子 溝辺 泰雄 網中 昭世 大井 知範 柴田 暖子
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、「植民地責任」概念を用いて、脱植民地化過程を第二次世界大戦後の植民地独立期に限定せず、20世紀の世界史全体の展開の中で検討した。その結果、第一次世界大戦期の萌芽的に出現した「植民地責任」論に対し、それを封じ込める形で国際的な植民地体制の再編が行われ、その体制が1960年代の植民地独立期を経て「冷戦」期にまで継続したことが明らかになった。
著者
清水 正義
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎法學 (ISSN:13488473)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.1-23, 2009-12
著者
清水 正義
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎法學 (ISSN:13488473)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.181-207, 2005-05
著者
清水 正義
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎法學 (ISSN:13488473)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.33-55, 2010-12
著者
永原 陽子 鈴木 茂 舩田クラーセン さやか 清水 正義 平野 千果子 中野 聡 浜 忠雄
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、「植民地責任」という従来の歴史学になかった概念を試論的に提示し、脱植民地化研究におけるその可能性を探った。「植民地責任」論は、かつて植民地支配を受けた地域の人々から近年になって出されている、植民地支配にかかわって生じた大規模暴力に対する謝罪や補償への要求等の動きを、歴史学の問題として受け止めたものである。そこでは、植民地体制下、あるいは植民地解放戦争などの中でおこった大量虐殺等の大規模暴力が、「戦争責任」論において深化・発展させられてきた「人道に対する罪」として扱われている。そのような趣旨の訴訟等を比較検討した結果、植民地支配の歴史をめぐって、主体に解消されない、「個人」や「民族」主体、その他様々なアクターが形勢してきた新たな歴史認識を見て取ることができた。植民地主義の歴史にかんするこうした新たな歴史認識は、植民地支配の直接の前史としての奴隷貿易・奴隷制にも及ぶものである。こうした歴史認識・歴史意識の変化は、政治的独立とは別の意味での「脱植民地化」現象ととらえることができる。このことから、本研究では、「植民地責任」論を「脱植民地化」研究を主体論的にとらえるための方法と位置づけた。植民地体制下の大規模暴力の少なくない部分は、「人道に対する罪」に代表される、「戦争責任」論の論理によってとらえることが可能である。しかし、そのような法的議論が対象とすることのできない歴史的現象、また「罪」の指標には該当しない、日常化した植民地体制の問題も、植民地支配を経験した人々の生にとってはきわめて重要なことであり、本研究は、「平時」と「戦時」の連続性の中において大規模暴力を理解し、それを通じて、脱植民地化を16世紀以降の長い世界史の中でとらえ直すための方法として「植民地責任」論を提示し、その有効性を確認した。