著者
高林 敏之
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.76, pp.31-38, 2010

本稿は,日本にとって最も近い隣国でありながら,ほとんど研究がなされていない朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の対アフリカ関係に関する試論である。その特異な国家体制ゆえに,また日本を含む先進諸国との疎遠ないし敵対的な関係ゆえに,北朝鮮は「国際社会において孤立した国家」であるといった安易なイメージで捉えられがちである。しかしながら北朝鮮は,「第三世界」の一員として,国際社会において一定の地位を確保してきた。とりわけ,北朝鮮と最も緊密な関係を築き,同国外交における最有力の基盤であったアフリカとの関係を分析することは,北朝鮮外交をより実際的に理解するうえで有益であろう。しかしながら,北朝鮮の極度に独裁的かつ閉鎖的な体制ゆえに,同国の外交について実証的に研究するのは容易なことではない。本稿ではまず,筆者が2007年および2008年に訪問した,同国妙香山に立地する「国際親善展覧館」における,アフリカ諸国と北朝鮮との関係に関する展示内容について紹介する。その展示内容から,北朝鮮が対アフリカ外交政策において,「新家産主義」的ないし「個人支配」的権威主義体制,さらに民族解放運動との緊密な関係を重視していたことが読み取れよう。次に北朝鮮の対アフリカ関係の発展を4期に区分して概観し,その盛衰の背後にある要因を検証する。
著者
高林 敏之
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.76, pp.31-38, 2010-03-31 (Released:2013-10-20)
参考文献数
15

本稿は,日本にとって最も近い隣国でありながら,ほとんど研究がなされていない朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の対アフリカ関係に関する試論である。その特異な国家体制ゆえに,また日本を含む先進諸国との疎遠ないし敵対的な関係ゆえに,北朝鮮は「国際社会において孤立した国家」であるといった安易なイメージで捉えられがちである。しかしながら北朝鮮は,「第三世界」の一員として,国際社会において一定の地位を確保してきた。とりわけ,北朝鮮と最も緊密な関係を築き,同国外交における最有力の基盤であったアフリカとの関係を分析することは,北朝鮮外交をより実際的に理解するうえで有益であろう。しかしながら,北朝鮮の極度に独裁的かつ閉鎖的な体制ゆえに,同国の外交について実証的に研究するのは容易なことではない。本稿ではまず,筆者が2007年および2008年に訪問した,同国妙香山に立地する「国際親善展覧館」における,アフリカ諸国と北朝鮮との関係に関する展示内容について紹介する。その展示内容から,北朝鮮が対アフリカ外交政策において,「新家産主義」的ないし「個人支配」的権威主義体制,さらに民族解放運動との緊密な関係を重視していたことが読み取れよう。次に北朝鮮の対アフリカ関係の発展を4期に区分して概観し,その盛衰の背後にある要因を検証する。
著者
永原 陽子 粟屋 利江 鈴木 茂 舩田 さやか 阿部 小涼 今泉 裕美子 小山田 紀子 尾立 要子 小林 元裕 清水 正義 前川 一郎 眞城 百華 濱 忠雄 吉澤 文寿 吉田 信 渡邊 司 津田 みわ 平野 千果子 浅田 進史 飯島 みどり 板垣 竜太 大峰 真理 後藤 春美 高林 敏之 旦 祐介 津田 みわ 中野 聡 半澤 朝彦 平野 千果子 溝辺 泰雄 網中 昭世 大井 知範 柴田 暖子
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、「植民地責任」概念を用いて、脱植民地化過程を第二次世界大戦後の植民地独立期に限定せず、20世紀の世界史全体の展開の中で検討した。その結果、第一次世界大戦期の萌芽的に出現した「植民地責任」論に対し、それを封じ込める形で国際的な植民地体制の再編が行われ、その体制が1960年代の植民地独立期を経て「冷戦」期にまで継続したことが明らかになった。