著者
横田 賀英子 渡辺 昭一 渡邉 和美
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.21-33, 2002 (Released:2018-09-07)
参考文献数
16

本研究では,我が国で過去に発生した人質立てこもり事件87件を分析し,犯人の投降に影響を与えた状況要因について検討した.その結果,以下のことが明らかとなった.1 事件中に,犯人が人質を死傷させた場合には,犯人が投降する確率が低かった.2 発生場所が建物内である場合,犯人がマスコミ報道を要求している場合,犯人と人質問に会話があった場合には,犯人が投降した確率が高かった.3 立てこもり事件の終結においては,犯人の投降もしくは立てこもり継続への意思決定と,警察の強行制圧もしくは交渉継続の意思決定の双方が影響していたことが示唆された.本研究の結果により,我が国における過去の人質立てこもり事件において,どのような状況要因が,犯人の投降に影響したのかが,明らかになった.今後は,犯人,警察,人質問のダイナミックスについて,さらに研究を進める必要がある.
著者
廣田 昭久 横田 賀英子 和田 純一郎 渡辺 昭一 高澤 則美
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本鑑識科学技術学会誌 (ISSN:13428713)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.33-53, 2000 (Released:2009-11-27)
参考文献数
81
被引用文献数
9 7

In the present study we investigated heart rate and heart rate variability (HRV) in the guilty knowledge test (GKT). Participants were instructed to “steal” envelopes and hide them. Participants were then presented with questions focusing on certain aspects of the particular envelopes they had stolen. They were requested to respond with “no” to every question, thus denying their knowledge about the critical items. Heart rate, SCR, and HRV components of high-frequency (HF) and low-frequency (LF) were measured during the GKT examinations. Results showed that heart rate decreased in the critical items. They also showed that decrement of heart rate was most distinctive about 10-15 seconds after the onset of the questioning of the critical items. The results indicated that there is a characteristic response pattern between heart rate and HRV concerning the critical items. That is, heart rate decrement is accompanied by increment of HF component and decrement of LF component. Also, in order to examine which method would serve as the most effective measure for psychophysiological detection of deception, we compared among three different analytical methods: fast Fourier transform (FFT) analysis, peak-to-valley method, and complex demodulation (CDM) method, in assessing HRV, respectively. Results showed that the CDM method traced both HF and LF amplitudes were most effectively, and therefore would be the best indices for detection. Some hypotheses were discussed concerning psychophysiological responses in detection of deception, one of which was the implication that subjects might have adopted passive coping, in other words, hemodynamic reaction pattern-II, when presented with the critical items, because of the particular cardiovascular response pattern shown in the psychophysiological detection of deception.
著者
横田 賀英子 渡辺 昭一 渡邉 和美
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.21-33, 2002

<p>本研究では,我が国で過去に発生した人質立てこもり事件87件を分析し,犯人の投降に影響を与えた状況要因について検討した.その結果,以下のことが明らかとなった.</p><p>1 事件中に,犯人が人質を死傷させた場合には,犯人が投降する確率が低かった.</p><p>2 発生場所が建物内である場合,犯人がマスコミ報道を要求している場合,犯人と人質問に会話があった場合には,犯人が投降した確率が高かった.</p><p>3 立てこもり事件の終結においては,犯人の投降もしくは立てこもり継続への意思決定と,警察の強行制圧もしくは交渉継続の意思決定の双方が影響していたことが示唆された.</p><p>本研究の結果により,我が国における過去の人質立てこもり事件において,どのような状況要因が,犯人の投降に影響したのかが,明らかになった.今後は,犯人,警察,人質問のダイナミックスについて,さらに研究を進める必要がある.</p>
著者
渡辺 昭一郎
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.536-542, 1980-08-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
58
被引用文献数
1
著者
渡辺 昭一
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.303-321, 2015-11-25

1957年ころ,インドは,開発援助の支柱であったスクーリング・バランスの激減により,五ヵ年計画が頓挫する危機的状況に陥った。世界銀行は,新たな援助システムとしてインド援助コンソーシアムを結成した。本論文は,1960年代のインド援助コンソーシアムとの関連で,イギリスの対インド政策の展開過程を検討することを目的とした。コンソーシアムのもとで1960年代のイギリスの対インド援助は,輸出信用保証局によって行われた。同局は,1957年以降イギリス輸出業者に対する保険を担保する権限とともに貸付権限をも付与された。イギリスは,この制度によって多額の援助を実施し,しかも1960年代半ば頃よりプロジェクト援助からノン・プロジェクト援助へと変化させた。1960年代後半にインドが債務返済に窮した際に,イギリスは,世界銀行を通じて自らの援助方法を他のドナー諸国に適応を促した。イギリスは,キッピング・ローンや維持目的の援助(一般目的)を拡大することによって対インド輸出権益の保持拡大を狙っていたのである。
著者
渡辺 昭一 木畑 洋一 秋田 茂 横井 勝彦 菅 英輝 吉田 修 木畑 洋一 秋田 茂 横井 勝彦 菅 英輝 吉田 修 都丸 潤子 波多野 澄雄 河西 晃祐 山口 育人
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

冷戦体制の確立期におけるアジア国際秩序の再編問題について、国際援助計画コロンボ・フランの実施過程との関連から検討した。第一に、コロンボ・プランは、イギリスにとってコモンウェルス体制として影響力を残存させるために、インドおよびオーストラリア、ニュージーランドにとってアジア安全保障体制の強化のために、策定されたこと、第二に、その計画のド要な財源となったスターリング・バランスの枯渇により、イギリスの支援が資本援助から技術援助へとシフトしたこと、それによって被援助のアジアは、積極的な資本援助を求めて支援の多様化を図っていったこと、第こに、イギリスのコモンウェルスの存続、アメリカのヘゲモニー支配が強化される中で、その多様化が自立したアジア地域連合という新体制の成、忙につながったことを明らかにした。