著者
金 相賢 盛川 浩志 三家 礼子 渡邊 克巳 河合 隆史
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.329-338, 2016-11-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
34

We evaluated the effects of disparity conditions such as degree of crossed/uncrossed disparity on the preference occurring during the cognitive process of preference judgment by using psychological and physiological indices. First, we performed paired comparisons of 20 novel shapes without disparity in order to select eight stimuli with minimum bias during preference judgment. Second, we investigated the effects of parallax characteristics on the feeling of preference by using 24 stimuli created by adding three disparity conditions (0.3°, -0.3° and -1.1°) to the eight previously determined stimuli. Moreover, psychological indices were determined by paired comparisons of preference judgment and physiological indices were determined by measurements of eye movement, eye fixation time, and view count during the process of preference judgment. The paired comparisons showed that the participants preferred higher crossed disparity and higher parallax angles. The eye movement measurements showed that eye fixation time and view count increased during conditions of crossed disparity rather than uncrossed disparity, and this increase was directly proportional to the degree of parallax angle. We argue that the reasons for this may be related to the attraction of the crossed disparity and the familiarity and novelty that complements the addition of parallax.
著者
大山 潤爾 渡邊 克巳
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.1813-1816, 2011-12-01 (Released:2011-12-20)
参考文献数
5

We proposed a new cognitive visual model of movie recognition based on our previous findings of psychophysical phenomena. Our cognitive model suggested two important functions of movie recognition process. First, a continuous movie sequence was divided and perceived as serial event segments of short scenes. The movie would be coded for each of the segments and structuralized as a contextual association of each segments. Second, the knowledge structure of the context of previously viewed movies was used to predict the ongoing movie context and the online segmentation. We compared our cognitive model with a previously proposed theoretical model of movie processing. The results of our experiments supported our hypothesis: an adaptive learning mechanism of online movie segmentation would be effective for an intelligent knowledge-based structure of a future movie analysis system.
著者
三枝 千尋 渡邊 克巳
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.253-258, 2014 (Released:2014-02-28)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Visual attractiveness has significant effects on our social life. People make up one's appearance by clothing, wearing accessories, applying cosmetics, hair-style and hair-color, etc., to convey certain impressions including attractiveness to others. In this study, we examined (a) how the suitability between face and hair color (i.e., hair-color matching) would be evaluated by oneself and by others and (b) how the hair-color matching would interact with perceived attractiveness. We found that 1) different criteria were used for hair-color matching between self-evaluation and evaluation by others, and 2) a wider range of hair-colors matched to the face, when the face was evaluated as more attractive and/or the perceived facial makeup was more. These results suggest that the evaluation of hair-color suitability might differ in self-evaluation and in evaluation by others, and suitability of hair-color has a certain interaction with perceived facial attractiveness. Possible implications are also discussed.
著者
高橋 雄介 三橋 秀男 村田 一仁 則枝 真 渡邊 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.1048-1055, 2012-04-01
被引用文献数
1

他人とコミュニケーションするときや,動物や虫と接するとき,我々はそれらの存在に対して生物らしさを感じることがある.生物らしさに関する従来の研究では,非生物である視覚図形の相互作用的な動きに対して,あたかも生き物のような社会性や意図性を感じるという高次認知過程が示されている(アニマシー知覚).これに対し本研究では,心理物理学手法を用いた実験研究により,無意味な感覚刺激に対して触覚,視覚,聴覚で感じる低次の生物らしさについて検討した.周期的に変化する無意味な感覚刺激を0.5Hzから100Hzまでの様々な周波数で呈示し,被験者は刺激について感じる生物らしさの強さを評価した.その結果,全ての感覚に共通の傾向として,2Hz程度までの低周波刺激の方が高周波刺激に比べて強い生物性が感じられることが明らかとなった.ただし周波数依存性の詳細なパターンを検討した結果,特に触覚では刺激される身体部位により周波数依存性が異なること,視覚,聴覚における生物性では,視聴覚間の統合や相互作用が生じていることなどが示された.以上の結果から,ヒトは無意味な感覚刺激に対してでも周波数依存的に生物らしさを感じており,特に低周波刺激で強い生物性が生じることが示唆された.ヒトが感じる生物らしさには社会性や意図性を反映した高次認知に加え,刺激の統計構造を処理するような低次知覚過程も関与していると考えられる.
著者
渡邊 克巳 MOUGUNOT Celine
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

平成22年度は本研究課題「プロダクトデザインにおける顕在的・潜在的要因の認知科学的研究」というテーマの中で、前年度に見いだした知見「聴覚刺激を与えられた群の方が、対応する視覚刺激を与えられた群よりも、有意にオリジナルなスケッチ及びデザインを作成する傾向」に関して、追加の調査を行い、外部発表を行った。また、その結果集まったスケッチやデザインのアイデアを表現する際に、日本では「オノマトペ」が多用されることを発見し、平成22年度は、日本特有の言語表現である「オノマトペ」がデザインにどのように生かされているのかを調べる研究をスタートした。前年度と同様のパラダイムを用いて、例えば「楽しいメガネ」をデザインする場合と「うきうきする眼鏡」をデザインする場合などを比較し、作成されたスケッチを第三者に評価させた。その結果、オノマトペを使って表現したデザインとそれ以外のデザインでは、特定の差が見られることが明らかになった。この差が具体的に何に起因するのかは、今後の分析によるところが大きく、最終年度である平成23年度では、さらなる考察を加えて外部への発表を重点的に進めた。本研究の成果は、外部のデザイン専門学校と協力して行ったものであり、これからの研究を展開する上での基盤作りともなった。これらの結果は、複数の国際学会で発表され、その内2つは招待講演となっている。また、研究内容をまとめたものは、英文書籍およびフランス語での出版につながっている。
著者
高橋 康介 渡邊 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.282, pp.111-116, 2008-10-31
被引用文献数
2

ヒトの運動は、それが完全に自発的なものであっても、少なからず他者の影響を受ける。例えば足踏みやタッピング動作を行うときに、目の前の他者も同様の動作を行っていると、二人の動作のリズムやタイミングは同期する。一方、身体を静止させておくというように意図的な運動を行わない状況であっても、人の身体には無意識的かつ微少な動きが生じ、風景の動きなどの視覚情報はこれらの動きに潜在的に影響を及ぼすことが知られている。自発的な動作の同期と同様に、他者の視覚情報が無意識的な動きに与える潜在的な影響を調べることは、対人コミュニケーションの基礎となるメカニズムを解明する手掛かりになると考えられる。そこで本研究では他者の情報が無意識的な身体の動きに与える影響を検討した。実験では二人の人が対面して座り、相手の指を見ながら、自分の指で相手を指さし静止させるという課題を行い、静止動作中の指の微小な動きを測定した。その結果、水平方向の指の動きに関して他者の影響が認められ、2者間の同期を反映した指標を同定することに成功した。さらに意識的に相手の指の動きに追従するという他者とのインタラクションを経験することで、これらの同期指標が上昇した。以上の結果から、意識的な運動生成に限らず無意識的で微少な身体動作に対しても他者の情報が潜在的に影響を与えること、また他者とのインタラクションの経験により、他者の情報の影響が強まることが示された。
著者
高橋 康介 三橋 秀男 則枝 真 仙洞田 充 村田 一仁 渡邊 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.224, pp.11-16, 2009-10-01

非言語コミュニケーションは、言語による伝達が出来ないような情報を伝える。本研究ではオノマトペを用いて、接触行動を伴う非言語コミュニケーションがどのように感じられているのかを調べた。実験では二人の人物の接触行動を伴うコミュニケーションが描かれた写真を呈示し、適切なオノマトペなど、一連の質問項目に答えた。その結果、雰囲気を表すようなオノマトペで表現されたコミュニケーションは比較的望まれるものであったのに対し、動作の特性を表すようなオノマトペで表現されたコミュニケーションは「行いたい」と感じられなかった。またコミュニケーションに対する形容詞評定を用いて主成分分析を行った結果、第一主成分として場の雰囲気(暖かさ)を表す軸が、第二主成分として動作の特性を表す軸が現れた。以上の結果から、接触行動を伴うコミュニケーションにおいては動作の特性自体よりもそのコミュニケーションにより生じる雰囲気の方が優先的に受け取られ、また望ましさを決定することが示唆された。