著者
土居 隆秀 中村 智幸 横田 賢史 丸山 隆 渡邊 精一 野口 拓史 佐野 祐介 藤田 知文
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.348-353, 2005 (Released:2005-07-20)
参考文献数
31
被引用文献数
2 2

実験池において,イワナとヤマメの体内に残留させた釣り鈎の動向を調査した。両種ともに,口腔に残留させた餌釣り用と毛鈎釣り用の鈎はいずれも 21 日以内にその多く(70.0~100%)が脱落した。口腔より奥に残留させた餌釣り用の鈎の体外への排出率は 21 日後に 0~16.7% であり,81 日後でも 15.0~50.0% であった。口腔より奥に残留させた鈎の多くは 81 日後には錆びていたが,崩壊したものは少なかった。以上の結果から,口腔に残留させた鈎は比較的短期間で脱落するが,口腔より奥に残留させた鈎は体外に排出されにくいことが明らかになった。
著者
土居 隆秀 中村 智幸 横田 賢史 丸山 隆 渡邊 精一 野口 拓史 佐野 祐介 藤田 知文 TAKAHIDE DOI TOMOYUKi NAKAMURA MASASHI YOKOTA TAKASHI MARUYAMA SEIICHI WATANABE HIROFUMI NOGUCHI YUSUKE SANO TOMOFUMI FUJITA 栃木県水産試験場 (独)水産総合研究センター 東京海洋大学海洋生物資源学科 東京海洋大学海洋環境学科 東京海洋大学海洋生物資源学科 東京海洋大学海洋環境学科 東京海洋大学海洋環境学科 東京海洋大学海洋生物資源学科 Tochigi Prefectural Fisheries Experiment Station Freshwater Fisheries Research Division National Research Institute of FIsheries Science Department of Aquatic Biosciences Department of Marine Environmental Sciences Tokyo University of Marine Science and Technology Department of Aquatic Biosciences Department of Marine Environmental Sciences Tokyo University of Marine Science and Technology Department of Marine Environmental Sciences Tokyo University of Marine Science and Technology Department of Aquatic Biosciences
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.706-713, 2004-09-15
参考文献数
28
被引用文献数
2 3

イワナ・ヤマメ養殖魚の小型魚と大型魚の釣獲放流後の死亡率と成長を実験池において調査した。餌釣り, 毛鈎釣りともに, 口腔にかかった鈎を除去した場合, いずれの魚種においても死亡率は低かった。餌釣りで口腔より奥にかかった鈎を除去した場合, イワナ小型魚とヤマメ大型魚では死亡率は高かった。口腔にかかった毛鈎を残留させた場合, イワナ大型魚では死亡率は高かった。死亡のほとんどが釣獲放流後14日以内に観察された。釣獲方法, 鈎がかりの部位, 鈎の処理方法は成長と肥満度に影響しなかった。
著者
新谷 一大 渡邊 精一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.245-252, 1990-09-30 (Released:2010-03-09)
参考文献数
20
被引用文献数
1

1988年7月から1989年6月までの1年間に, 茨城県牛久沼において採集したオオクチバス523尾の食性を調査した。同沼においては, テナガエビ, アメリカザリガニが本種の主要な餌生物であり, モツゴ, ヨシノボリがこれらに次いでいた。本種の体長が増すにつれて, アメリカザリガニの出現率が増加し, ヨシノボリの出現率が低下した。体長が増すにつれて, 餌の大きさの最大値が上昇する傾向がみられたが, 大型の個体は, 小型の餌もよく利用していた。本種は甲殻類を年間を通して (特に夏と冬) , 魚類を夏から秋にかけて, 水生昆虫を春にそれぞれ良く捕食していた。小, 中型個体は年間を通して魚類および甲殻類を主要な餌として利用していたのに対し, 大型個体では甲殻類を主要な餌生物としていた。
著者
中村 智幸 丸山 隆 渡邊 精一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.105-107, 2001-01-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
12
被引用文献数
8 9

1983年4月に禁漁にされた石川県手取川水系尾添川支流蛇谷において, 1984年から1989年にかけてイワナ自然個体群の個体数変化を追跡調査した。個体識別した標識再捕調査の記録をJolly-Seber法にあてはめて個体数を推定した。禁漁区上流部(流程約1.4km)における1歳以上の個体数は1984年11月から1986年8月まで48∿310尾と少なかったが, 1986年11月以降487∿1516尾に増加し, イワナの増殖に対して禁漁が有効であることが示唆された。
著者
伏屋 玲子 高 天翔 横田 賢史 岩本 美央 北田 修一 渡邊 精一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.25-29, 1997-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
19

種苗放流が行われている島根県高津川と行われていない同県神西湖のモクズガニを用い, 種苗放流が天然集団におよぼす遺伝的影響を明らかにするためにアイソザイム分析を行った。10酵素16遺伝子座について調査した結果, AAT-1, AAT-2, FH-2, GPI*, IDHP-1, MDH-2の6遺伝子座で変異がみられた。各集団の平均ヘテロ接合体率は高津川では0.029, 神西湖では0.027となり, ほぼ同じ値であった。また集団間のNeiの遺伝的距離を求めたところ, 0.0001という小さい値であった。以上の結果は調査した2集団の間には遺伝的差異がほとんどないことを示しており, 種苗放流が行われている高津川に生息するモクズガニの遺伝的変異性の減少は現在のところみられなかった。
著者
佐々木 剛 猿渡 敏郎 渡邊 精一
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.141-150, 2003

遡河回遊型ワカサギの産卵生態を調べるために, 1995年から1998年の産卵期に閉伊川において調査を実施し, 河川の水温, 水量等の環境要因, 体サイズ, 性比に関して考察した。調査の結果, 水温が約10度を越えると遡上が開始し, 遡上のピークは常に雪融けによる濁り水が治まってから始まった。その後, 半月周期的にピークが確認された。4年間にわたり, 性比は雄に偏っているが, 雌が多くなるのは新月の前後であった。体サイズは年変動し奇数年は大きく, 偶数年は小さい。これに対し, 遡上期間は奇数年が短く, 偶数年は長い。また, 体サイズが大きい年は雌の体サイズは雄より大きいが, 体サイズが小さい年は雄雌の差は認められなかった。
著者
佐々木 剛 猿渡 敏郎 渡邊 精一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.117-118, 2002-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7
被引用文献数
1

The Strontium: Calcium (Sr: Ca) ratio from an otolith section of three-spined stickleback, Gasterosteus aculeatus (L.) was examined in samples taken from the Hei River mouth, and the Gensui district of Otsuchi in the coast of Iwate, Japan. The samples were analyzed using an electron probe X-ray micro analyzer (JEOLJXA 8600) . While the otolith from the Hei River showed a high Sr : Ca ratio, those from the Gensui district showed a low value and little fluctuation. We can conclude from these findings that G. aculeatus (L.) collected from the Hei River is an anadromous type, whilst G. aculeatus (L.) collected from the Gensui district is a fresh water type.
著者
伏屋 玲子 横田 賢史 渡邊 精一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.265-269, 2007-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
12

ノコギリガザミ属3種を判別するために, デジタルカメラで撮影した画像により鉗脚の色彩変異について調べた。42個体のカニの鉗脚上の4つのラインからサンプリングしたsRGBデジタル色彩情報をL*a*b*色空間に変換した結果, L*, a*, b*の各値に種間で差異がみられた。特に, アカテノコギリガザミのライン1と2上のa*値は他の2種よりも高い値となり, アミメノコギリガザミのライン1と2のb*値は他の2種より低い値となった。主成分分析により3種の鉗脚の色彩の違いが明らかになり, 高い判別成功率を得られたことから判別分析による種判別の可能性も示唆された。
著者
伊藤 円 渡邊 精一
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.20, pp.35-42, 1991-12-31
被引用文献数
1

Fighting for a shelter between Palaemon pacificus and P.serrifer were investigated in aquaria. In both interspecific and intraspecific fighting,the smaller individuals were usually eliminated by the larger ones from the shelter. In the case that smaller individual was a winner, P. serrifer won more often than P. pacificus although P. serrifer was smaller. The second pereiopod was longer in P. serrifer than in P. pacificus. P. serrifer made up for smaller body size by larger second pereiopod length than P. pacificus relatively.
著者
佐々木 剛 猿渡 敏郎 渡邊 精一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.924-926, 2006 (Released:2006-09-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

遡河回遊型ワカサギの回遊履歴を解明するため,耳石核から縁辺部まで Sr, Ca の X 線強度の線分析を行い,Sr:Ca 比を求めた。耳石の形成時期と Sr:Ca 比の変化から,淡水域と海水域を交互に回遊することが示唆された。すなわち,ふ化直後から 5~7 月まで淡水域から海水域へ移動する「海水移動期」,5~8 月まで淡水域に移動する「淡水移動期」,7~9 月から産卵遡上時まで「海水移動期」となる。2 年魚は,海水域から淡水域へ移動する「淡水移動期」,その後海水域へ移動する「海水移動期」となる。
著者
久保田 仁志 中村 智幸 丸山 隆 渡邊 精一 Hitoshi Kubota Tomoyuki Nakamura Takashi Maruyama Seiichi Watanabe 栃木県水産試験場 独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所水面利用部 東京水産大学海洋環境学科 東京水産大学資源育成学科 Tochigi Prefectural Fisheries Experiment Station Freshwater Fisheries and Environment Division National Research Institute of Fisheries Science Department of Ocean Sciences Tokyo University of Fisheries Department of Aquatic Biosciences Tokyo University of Fisheries
出版者
The Japanese Society of Fisheries Science
雑誌
日本水産学会誌 = Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.703-709, 2001-07-15
参考文献数
19
被引用文献数
5 12

1993年6月∿1995年11月にかけて, 利根川水系鬼怒川の小支流において, イワナ, ヤマメの生息数, 当歳魚の移動分散, 成長の季節変化を調査した。3ヶ年の総採捕個体のうち, イワナは81.4%(1073個体中873個体), ヤマメは98.8%(244個体中241個体)が当歳魚であった。ヤマメ当歳魚は2月から採捕され, 8月以降はほとんど採捕されなかった。これに対して, イワナ当歳魚は3月から採捕され, 6月以降は1回の調査あたりの採捕数の変化はなかった。一方, 1995年に鬼怒川本流で採捕調査を行ったところ, 採捕された当歳魚のうちイワナが8.0%, ヤマメが92.0%を占め, ヤマメ当歳魚が優占した。以上の結果から, 小支流は特にイワナ当歳魚にとって重要な成育場所であると考えられた。We investigated the seasonal changes in number, dispersal and growth of juvenile Japanese charr Salvelinus leucomaenis and masu salmon Oncorhynchus masou masou in the Karatakisawa Stream, a small tributary of the Kinu River in central Japan. 873 (81.4%) of a total 1073 charr caught by monthly sampling from 1993 to 1995 were age-0,and 241 (98.8%) of a total 244 salmon were age-0. Most of the newly emerged age-0 salmon were caught in the spring of 1995. They shifted downstream, and the number of fish decreased markedly by early summer. The number of the age-0 charr caught at any sampling from any month did not decrease until the end of autumn, although the distribution of the age-0 charr shifted downstream. In contrast, of a total 387 age-0 fish captured by samplings in the adjacent Kinu River in 1995,356 (92.0%) were salmon, whereas only 31 (8.0%) were charr. These results suggest that small tributaries play an important role as nursery habitats, especially for Japanese charr.
著者
渡邊 精一
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
Cancer : 会員連絡誌 (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.37-40, 1997-05
参考文献数
10
被引用文献数
6