著者
山本 晶
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.29-41, 2020-09-29 (Released:2020-09-29)
参考文献数
21
被引用文献数
3 3

フリマアプリなどの普及に伴い,一次流通の店頭でオンラインの二次流通市場の販売価格を調べてから購入する,二次流通市場での売却を念頭に置いて一次流通で購入する,といった新しい消費者の購買行動が広がりつつある。本研究では二次流通市場における売却価格や成約までの日数といった条件が,一次流通市場の購買にどのような影響を及ぼすか検討する。ジーンズとタブレットの二つの製品カテゴリに関する約1,600名の調査回答者に対してコンジョイント分析を行った結果,一次流通市場における選択においては一次流通価格や所有製品との適合の度合いが依然として重要ではあるものの,二次流通市場において価格が下落しないことは消費者の効用を高め, 当該商品が選択される可能性が高まることが明らかになった。また,フリマアプリの利用状況によって属性の部分効用値が異なり,フリマアプリの売り手は一次流通市場において価格感度が低く,二次流通市場における条件に相対的に強く反応することが明らかになった。本研究の結果は二次流通価格に占める一次流通価格の割合の上昇は,一次流通市場における支払意思額を押し上げる効果があることを示唆している。
著者
山本 晶友 樋口 匡貴
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.242-258, 2020 (Released:2022-02-05)
参考文献数
104
被引用文献数
1

This article reviews the functions and negative consequences of two emotions that support reciprocal help in humans: compassion and gratitude. Compassion arises when an individual witnesses another individual’s suffering and can be distinguished from the experience-sharing of distress with that person. This emotion has a significant role in the caregiving response to vulnerable offspring and cooperative relations with non-kin. However, compassion may sacrifice the welfare of people who are not the target of this emotion or may hinder the target’s growth. Gratitude is generated when one benefits from someone else’s good intentions, and can be distinguished from a mere positive emotion or indebtedness. This emotion contributes to increasing the morality of the beneficiary and the benefactor and contributes to a high-quality relationship between them. However, gratitude may cause unnecessary harm to the beneficiary’s welfare. In an intimate relationship, unbalanced gratitude may decrease relationship satisfaction. Social emotions largely support reciprocal help in humans; however, these emotions evidently are not the sole requirement.
著者
山本 晶友 樋口 匡貴
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.71-77, 2019-05-31 (Released:2019-05-29)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

We examined the extent to which a beneficiary experiences gratitude toward a benefit, as a function of what another beneficiary has received. In our experiment, participants who are university students read a scenario in which the protagonist received help from his or her classmate for a report. Imagining themselves as the protagonist, participants rated the extent to which they felt grateful. We manipulated what a protagonist’s friend underwent (i.e., receiving better help, receiving worse help, or being refused help). In the control condition, no mention of the protagonist’s friend was made. Overall, there was no significant difference between the gratitude experienced in various conditions. However, a comparison of the gratitude scores of participants in the lower half of each condition revealed that, the participants who read that the friend was refused help felt more grateful than those in the control condition. This suggests that knowing another person fails to receive helps increases gratitude among those who otherwise feel less gratitude.
著者
山本 晶絵
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.31-53, 2017-11-29

アイヌの古老らに対する聴き取り調査資料を主な対象とし,資料中に記述されるフクロウ類の呼称について整理・検討を行った。これは,アイヌのシマフクロウ送りに関する調査・研究の基礎として位置づけられる。本稿では,シマフクロウ Ketupa blakistoni blakistoni およびエゾフクロウ Strix uralensis japonica に関する呼称を10に大別して地方ごとに整理し,資料中に見られる“フクロウ”に関する呼称が示す種について,考察を行った。シマフクロウを指す呼称としては,“コタンコロカムイ”が北海道の最も広い範囲で見られたほか,“カムイチカプ”および“フムフムカムイ”は石狩,胆振,日高地方を 中心に,“ニヤシコロカムイ”や“アノノカカムイ”は主に十勝,釧路地方においてのみ確認することができた。雅語であったと考えられる“カムイエカシ”および“モシリコロカムイ”は,前者は日高地方,後者は釧路(根釧)地方に偏って確認されたが,今後新たな事例が追加されることで,地域差が緩やかになる可能性が高いと考えている。エゾフクロウを指す呼称としては,“クンネレクカムイ”が最頻出であった。しかし,シマフクロウと比べると全体的に事例数そのものが少なく,さらに,“クンネレクカムイ”が重点的に見られたのは釧路地方のみで,石狩,日高地方では“イソサンケカムイ”および“ユクチカプカムイ”が比較的多く見られたことから,“クンネレクカムイ”が一般的な呼称であったとは,現段階では判断できかねるとした。フクロウに関する呼称については,シマフクロウとエゾフクロウ,および他のフクロウ類を指すものが混在している可能性が高い。記述の内容からシマフクロウを指すものと推測できる事例はあったが,エゾフクロウおよび他のフクロウ類を指すと考えられる呼称に関しては,判断材料となる情報が断片的であることから検討が困難であった。対象とする資料の範囲を広げ,新たな情報を追加することで,より詳細な検討が可能になるものと考えている。
著者
水野 誠 大西 浩志 澁谷 覚 山本 晶
出版者
日本マーケティング・サイエンス学会
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.7, 2019-06-30 (Released:2019-08-18)

インターネットなどの発展によりデジタルメディア環境が拡大するなか,C 2 Cインタラクションの重要性が増している。本研究ではC 2 Cインタラクションを情報フローとモノ・サービスのフローのどちらを扱うかで大別し,さらにコンソーシャリティの高低も加味して 4 つに分類した。そして,それぞれの領域に対するマーケティング・サイエンスにおける量的モデル研究や消費者行動研究の研究動向について,隣接諸科学の研究を視野に入れつつレビューする。(ソーシャルメディア,クチコミ,オークション,シェアリング)
著者
山本 晶樹
出版者
中央学院大学
雑誌
中央学院大学法学論叢 (ISSN:09164022)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.243-263, 2001-03-31
著者
山本 晶
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.7-18, 2021-09-30 (Released:2021-09-30)
参考文献数
31
被引用文献数
2

オンライン・プラットフォームの成長に伴い,リユース行動の選択肢が広まっている。本研究では一時的所有行動という概念を提示し,その定義を明らかにした上でなぜいま本概念に着目するべきなのかを論じる。また,先行研究の詳細なレビューからリキッド消費,アクセス・ベース消費,共同消費,シェアリング・エコノミーといった近年登場した概念および従来の所有行動や共有行動と本概念との相違点を明らかにし,今後の研究機会を示す。本研究の貢献は近年注目される所有から利用への進化に着目し,一時的所有という新しい所有の在り方に焦点を当てることによって,既存のリキッド消費および所有行動の議論を補完するものである。
著者
山本 晶子
出版者
日本歌謡学会
雑誌
日本歌謡研究 (ISSN:03873218)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.38-45, 1989-03-30 (Released:2021-03-31)
著者
山本 晶友 入江 ひとみ 大石 有里花 上杉 優 樋口 匡貴
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.33-39, 2023-06-30 (Released:2023-07-28)
参考文献数
29

Zero-sum belief is the belief that someone’s gains are another’s losses. Assuming that beneficiaries’ zero-sum beliefs let them perceive benefactors’ cost resulting from giving benefits, this study examined whether the zero-sum belief increases the occurrences of grateful feelings and expression in apologetic form, which is represented by “sumimasen” in Japanese. We manipulated participants’ zero-sum beliefs and rewarded them for the task. Thereafter, we asked participants what they wanted to say, how they felt, and how much they perceived our (i.e., benefactors’) cost. The results revealed that participants whose zero-sum beliefs were experimentally strengthened were inclined to select the grateful expression in apologetic form from some options to convey what they wanted to say, though grateful feelings in apologetic form and perceived costs were not significantly affected. These results suggested the possibility that individuals’ zero-sum beliefs let them express their gratitude in apologetic form independently from the extent to which they have such feelings or perceive benefactors’ cost.
著者
山本 晶
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.125-131, 2008-01-15 (Released:2021-06-18)
参考文献数
45
被引用文献数
2 1
著者
山本 晶万
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.588-594, 1988
被引用文献数
2

ルーツブロワは容積型のロータリーブロワの一種で、最近では高性能自動車エンジンの過給機(スーパチャージャ)として使われ注目されている。構造が簡単で取り扱い気体に潤滑油が混入しない、回転数にほぼ比例した流量が得られる等の利点がある反面、大きな音を発生するのが欠点で、研究例が少なく発生機構の一部はまだよく分かってない。本研究では、問題になる吸気音をロータ回転角に同期させて、独自に考えたシステムによって3次元瞬間スペクトル解析を行ってその有効性を示すと共に、すでに行った研究で不明であったスペクトルの高域周波数で生ずるブロードピーク音は、ロータクリアランスの漏れ空気が圧力差の上昇によって、特定の回転角で増加してそれが音源になることを明らかにした。
著者
三枝 正彦 小林 紀子 山本 晶子
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-7, 2004-02-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
32
被引用文献数
3

田面水のケイ素濃度の変化を,水稲「ひとめぼれ」を栽培した大区画水田で詳細に調べた.実験は,2001,2002年の栽培期間中に宮城県古川農業試験場の沖積土壌で行った.2002年には,田面水のカルシウム,マグネシウム,カリウム,リン濃度についても調べた.得られた結果は以下のとおりである.1)水口の田面水ケイ素濃度は,2002年には,11.8〜13.0mgL^<-1>の範囲を示した.しかし,その濃度は水口からの距離とともに減少し,水尻では0.20〜5.0mgL^<-1>であった.同様の傾向が2001年にも観察された.水尻の田面水ケイ素濃度は,6月初句から下旬にかけて顕著に低下した.しかし,その低下程度は7月にかなり回復した.2)カルシウム,マグネシウム濃度は,水口からの距離に伴って上昇する傾向があった.カルシウム濃度は,水口で6.0〜6.5mgL^<-1>検出され,水口から80m以上離れた地点では,10.3〜17.7mgL^<-1>になった.マグネシウム濃度は,水口で1.8〜2.1mgL^<-1>検出され,カルシウム濃度と同様に,80m以上離れた地点で著しく上昇し,3.0〜5.7mgL^<-1>検出された.3)カリウム及びリン濃度は,一定の変動パターンは示さず,水稲生育時期によって異なる変動を示した.4)ケイ素濃度とカルシウム,マグネシウム濃度の間には,それぞれγ^2=0.923^<***>,γ^2=0.907^<***>と高い負の相関が認められた.