著者
川瀬 基弘 村松 正雄 横山 悠理 横井 敦史 熊澤 慶伯
出版者
名鉄局印刷株式会社
雑誌
瀬木学園紀要 = Sekigakuen Kiyo
巻号頁・発行日
no.17, pp.3-8, 2020

Molecular phylogenetic analyses were conducted for Anodonta individuals from Okumikawa, Aichi Prefecture, Japan. Mitochondrial DNA sequences of these individuals were nearly identical to those of Buldowskia shadini that occurs from the Amur River basin in Russia, northeastern China, and Mongolia (Buir Lake) to South Korea. This is probably the first record of the species from Japan.
著者
川瀬 基弘 横山 悠理 横井 敦史 熊澤 慶伯
出版者
名鉄局印刷株式会社
雑誌
瀬木学園紀要 = Sekigakuen Kiyo
巻号頁・発行日
no.18, pp.3-9, 2021

Molecular phylogenetic analyses using mitochondrial COI gene sequences showed that Anodonta individuals from Nagoya and Toyohashi, Aichi Prefecture and Hokuto, Yamanashi Prefecture belong to Buldowskia shadini (Moskvicheva, 1973), proposing a new Japanese name “Yahazu-Numagai” for this species. This study raises the possibility that B. shadini individuals in various parts of Japan have been misidentified as Anemina arcaeformis (Heude, 1877) based on shell morphology.
著者
倉林 敦 熊澤 慶伯 森 哲 土岐田 昌和 澤田 均
出版者
長浜バイオ大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

フクラガエル属(Breviceps)は、皮膚から分泌する糊によって雌雄が体を接着して交尾する、奇妙な四足動物である。我々は、発見以来60年間謎のままであったフクラガエル糊について、その物理的特徴と、構成蛋白質、およびその候補遺伝子を明らかにしつつある。本研究では、アフリカにおいてフィールドワークを行い、生殖用の糊という形質の、起源・要因・過程など、適応進化の実体を生態学・系統学・分子遺伝学の側面から解明する。この過程で、生態学・形態学的解析、新種記載、人工繁殖研究などもあわせて実施し、謎の多いフクラガエルとその近縁属の自然史について新たな知見を加えることを目的としている。本年度は、11月に南アフリカの西ケープ州、および、東ケープ州においてフクラガエル類の観察、採取を行なった。西ケープ州では、ジャイアントフクラガエル・ローズフクラガエルに加え、昨年採取はできたものの、実験前に死亡したクロフクラガエルを採取した。さらに、ケープタウンから30 kmほどの地点で、ナマクワフクラガエルを採取した。本種の分布はケープタウンから300kmほど北からと考えられていたため、これは本種の新産地の発見となった。東ケープ州では、ヘイゲンフクラガエルの採取を試みたが、成功しなかった。また、北ケープ州に分布するサバクフクラガエルを現地共同研究者に採取していただき、実験に供した。各種の糊分泌物を採取し、その強度を測定した。その結果、上記のうち1種(特許申請の関係で公表しない)は、極めて接着力の強い糊を持ち、その接着力は、アロンアルファなどの市販の接着剤を上回ることさえあった。また、フクラガエルの糊の接着力は、1)体の体積(重量)に比例して強くなる、生息地の土壌の硬さに比例して強くなる、という2つの仮説があったが、本年の研究からはそのどちらの仮説も否定された。
著者
熊澤 慶伯 長谷川 政美
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

トカゲ亜目を構成する主要な科より代表種を選んでミトコンドリアDNA全塩基配列約17キロ塩基対の決定を行った。その結果、イグアナ下目やヤモリ下目を構成する科から多数の種について(その他の科の殆どからは少なくとも代表種1種について)ミトコンドリアDNA全塩基配列を決定することができた。コードされる37遺伝子の塩基配列を用いて最尤法などによる分子系統解析を行い、信頼できる系統関係を構築するとともに、分子時計を仮定しないベイズ法を用いて分岐年代の推定を行った。その結果に、大陸移動に関する地質学的情報と古生物学的情報を加味して、トカゲ類の系統分岐と中生代の大陸移動の関係について考察を行った。主な生物地理学的成果は次の通りである。1)トカゲ類の主要な科間の分岐は白亜紀の大規模な大陸分離の以前にさかのぼる、2)ただしアガマ科とカメレオン科の分岐だけは約1億年前のゴンドワナ大陸で起き、その後アガマ科はインド亜大陸などに乗ってユーラシアに分散した可能性がある、3)マラガシートカゲ亜科のイグアナ類は他のイグアナ類と大陸の分断に伴い分岐した、4)ヤモリ科とトカゲモドキ科の分岐はパンゲア超大陸のローラシア大陸とゴンドワナ大陸への分裂に伴い分断的に起きたと考えられる。またこれらの研究を行う過程で、Draconinae亜科アガマ類のミトコンドリアゲノムの遺伝子配置に、脊椎動物としては初めてとなる遺伝子(本件ではプロリンtRNA遺伝子)の逆位を発見し、その分子進化機構として相同的DNA組換えを提唱した。
著者
柴田 弘紀 千々岩 崇仁 服部 正策 熊澤 慶伯
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

国内産ハブ3種(ハブ、トカラハブ、サキシマハブ)の遺伝的集団構造を詳細に検討するため、12の島から計44検体を収集し、ミトゲノム配列の決定を行った。最尤系統樹を構築したところ、ハブは沖縄クレードと現在のトカラハブを含む奄美クレードの間で大きく遺伝的に分化していた。また、トカラハブを独立種とする従来の考え方は、ミトゲノムデータからは支持されなかった。また奄美クレードと沖縄クレードの分岐年代は、600万年以上前と推定され、奄美群島と沖縄諸島の地理的な分断(150万年前)よりも古かった。さらに、沖縄クレードに比べて、奄美クレード内では遺伝的多様性が高く、島嶼集団ごとの遺伝的分化が顕著であった。
著者
熊澤 慶伯 橋口 康之 山田 知江美 ジョニオ ピエール
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

次世代シーケンサーを用いたハイスループットなミトコンドリアゲノミクスの手法の開発を行った。まずミトゲノム配列既知の個体を用いて、この方法の効率性と正確性を証明し、ヤモリ下目の様々な系統を代表する約40種から新たにミトゲノム全塩基配列を決定した。遺伝子配置の変動の事例を4例発見するとともに、ヤモリ下目の7科間の系統関係等について従来の形態データに基づく仮説とは異なる結果を示した。