著者
和久井 大輔 長島 梧郎 植田 敏浩 高田 達郎 田中 雄一郎 橋本 卓雄
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.138-142, 2012-02-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
9
被引用文献数
1 4

頭蓋骨固定用チタンプレートにより術後頭皮断裂および美容上の問題が生じた3例を報告する.1例目は68歳男性,開頭術2年後に頭皮にチタンプレートが露出し,これを除去し,bioabsorbable polymerによる頭蓋形成術を施行した.2例目は74歳女性,開頭術11年後に手術部位感染でチタンメッシュによる頭蓋形成術を施行した.その後メッシュは表皮より透見され,美容上の問題がある.3例目は65歳女性,開頭術6年後に頭皮にチタンプレートが露出した.骨削除・プレート除去術を施行した.頭皮断裂の主原因はチタンによる頭皮への刺激の他,皮膚切開に伴う皮膚脆弱化や骨欠損部への頭皮陥凹と思われ,チタンプレートによる頭蓋形成で頭皮断裂の可能性がある症例には,bioabsorbable polymerの使用も考慮するべきと考えられた.
著者
福岡 岳美 花岡 農夫 李 力行 大内 慎一郎 田中 雄一 瀬戸 泰士
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.1816-1819, 2000-07-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
10

81歳の女性で, 1年前から痴呆症状がみられていた. 10日前から腹痛があり,腹満感が増強してきたため当院を受診した.腹部の筋性防御が著明で,腹部単純X線写真,腹部CT検査で遊離ガス像を認めた.消化管穿孔の診断で緊急開腹術を行い,腹腔内には混濁した腹水を認め,下行結腸からS状結腸にかけて異物により多発穿孔を起こしていた.左結腸切除,洗浄ドレナージ,および横行結腸人工肛門造設を行った.切除した結腸にはビニール製の紐が充満しており,後に,患者がビニール製のゴザを蕎麦と思い食べたことがわかった.異食は痴呆の1症状であるが,痴呆患者は訴えが乏しく,重篤な状態になってから受診するため注意を要する.痴呆老人が腹痛を訴えて受診した場合は,異食の可能性も念頭に入れて,診察にあたる必要があると思われた.
著者
田中 雄一 田中 聡久 京地 清介 小野 峻佑
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は主に大規模センシングデータ処理の高速化手法や次元削減手法に関する研究を行った.以下簡単に成果の概要を述べる.1) 大規模行列の特異値縮退処理の高速化大規模時空間センシングデータを数理的に表現する際には,センサ数x計測回数のサイズを持つ行列が用いられることが多い.センサ数や計測回数が増えるに連れて行列サイズは爆発的に増加するため,行列の処理にも大きな計算コストがかかるようになる.行列を特異値分解し,その特異値を操作(縮退)することは様々な信号処理アルゴリズムの一部で利用されているが,特異値分解は一般に非常に計算量が多い.本年度はチェビシェフ多項式近似と行列のスパース性を利用した特異値縮退の高速化に取り組んだ.結果として,縮退の精度を保ちつつ,最大5倍程度の高速化を達成した.本成果は信号処理分野の一流論文誌である IEEE Trans. Signal Processing へ掲載された.2) マルチモーダルデータの次元削減手法センシングの際,同一計測地点で様々な属性のデータを計測することが多い.例えば気温・気圧等の環境データが最たるものである.このマルチモーダルデータを信号のスパース性を利用して次元削減を用いて圧縮することができれば,大規模センシングデータの効率的な表現が可能となる.従来手法ではチャネルごとに次元削減を行う手法が主流であり,チャネル間の相関をうまく利用できなかった.本年度はコンピュータビジョンで利用されている画像の色モデルである Color Lines をマルチモーダルデータの次元削減に利用することで,新しい視点からのマルチモーダルデータ圧縮に取り組んだ.結果として,PCA等の従来手法と比較し,同圧縮率で最大10 dB 以上のS/N比改善を達成した.本成果は IEEE GRSS のフラッグシップ国際会議である IGARSS 2017 で発表した.
著者
中里 佳央 臼井 朗 西 圭介 日野 ひかり 田中 雄一郎 安田 尚登 後藤 孝介 イアン J. グラハム
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2015年大会
巻号頁・発行日
2015-05-01

Hydrogenetic ferromanganese crusts (hereafter called crusts) on the Pacific seamounts are formed by precipitation of iron?manganese oxides from ambient seawater on volcanic and biogenic substrate rocks. Crusts have been used as potential as record of the Neogene paleoceanographic and paleoclimatic conditions, because of their very slow and continuous growth rates 1 to 10 mm/m.y. . In the paper, the crust has been observed as compressed sediment cores which have incorporated part of the weathered product of the substrate, biogenic, volcanogenic, terrestrial particles such as eolian dust during its growth.In this study, a selective leaching experiment were applied on the ferromanganese crust from Federated States of Micronesia at water depth of 2262 m. The leaching procedures used by Koschinsky and Halbach (1995) was modified and optimized a part of sequential leaching experiments. Their work, known selective dissolution procedures were adapted to the treatment of ferromanganese crusts and combined into a leaching sequence that allows for the effective separation of the major mineral phases of crusts from associated metallic components. This study concentrates to observe residual fraction after leaching experiments. As a result, the polygenetic particles was extracted and clearly observed from the crust. These particles are of different origins such as volcanogenic, biogenic, terrestrial and extraterrestrial materials. In addition, we could observe various morphologies of fossil bacterial magnetites (magnetofossils) in residual fraction. These particles seem to reflect regional and local oceanographic environment. This extraction method will improve mineral and structural description the growth history of Hydrogenetic crusts.
著者
宮地 隆雄 長谷川 まどか 田中 雄一 加藤 茂夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.9, pp.1513-1521, 2011-09-01

現在のユーザ認証方式は,文字入力による認証方式が主流である.しかし,セキュリティの強化を目的に,パスワードとして長くランダムなテキストをユーザに要求するシステムが多く,記憶がユーザにとって負担になっている.これに対し,画像は人間にとって認識及び記憶が容易であるという特性に着目し,テキストの代わりに画像をパスワードとして用いる画像認証方式が近年提案されている.しかし,多くの画像認証方式は,認証時にパスワード画像がディスプレイに表示されるため,第三者によるのぞき見攻撃に脆弱である.そこで,我々は,離散ウェーブレット変換を使用し,パスワードの代わりとなる画像の高周波成分とおとりとなる背景画像の低周波成分を合成した画像を認証に使用する方式を提案する.一般に画像の高周波成分は,離れた位置から見るほど認識しにくくなるという性質があるため,ディスプレイから離れてのぞき見を行う者に対しパス画像の認識を困難にすることが期待できる.本論文では,提案方式による認証システムを試作し,本方式と既存方式とのユーザビリティ及びのぞき見攻撃耐性の比較を行ったので報告する.
著者
長谷川 まどか 加藤 茂夫 田中 雄一
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,携帯デバイスを対象としたマルチセンソリー認証方式の開発を目的としている.現在,携帯デバイスでの認証には暗証番号やパスワードが多用されているが,覗き見への耐性の面で問題がある.本研究では,画像などの視覚情報,音声などの音響情報,振動などの触覚情報といった複数の知覚要素を組み合わせて認証に利用することで,覗き見への耐性が高く,かつ,ユーザが使いやすい認証方式の検討を行った.さらに,携帯端末を振る動作や空中描画動作などの行動的特徴を認証に利用する方式についても検討を行った.
著者
松木 俊二 菅原 英世 坂本 真佐哉 田中 雄一郎 楢原 久司 宮川 勇生 中野 重行
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.62-68, 1999

不妊症経過中に発症したうつ病2症例の睡眠障害に対して,腕時計型活動性モニタリング(ACTIWATCH^<[○!R]>)と睡眠チェックリスト,睡眠日記を併用して評価を行った.症例1は27歳主婦.2度の卵管妊娠(両側卵管摘出)の既往あり.2度目の退院後にパニック障害とうつ病を発症した.ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬離脱期に2週間装着した.症例2は35歳主婦.両側卵管閉塞による続発性不妊症(体外受精-胚移植による1児あり).ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬導入期に4週間装着した.睡眠-覚醒の客観的評価(ACTIWATCH^<[○!R]>)と主観的評価(チェックリスト,日記)は必ずしも符合しなかった.即ち,患者自身が眠っていると感じた時間帯にACTIWATCH^<[○!R]>で評価した身体活動量は増加し,患者自身が眠れないと感じた時間帯にその活動量は低下していた.睡眠障害患者の睡眠の評価には自覚症状のみでなくACTIWATCH^<[○!R]>や睡眠チェックリスト,睡眠日記を用いた客観的指標の有用な場合があることが示唆された.