著者
田巻 義孝 堀田 千絵 加藤 美朗
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.153-159, 2014 (Released:2014-12-25)
被引用文献数
2

The aim of this study was to examine the two points in DSM-5 (Diagnosis and Statistical Manual of Mental Disorders, 5-th. ed.) diagnostic standard. The first point is that the severity level for intellectual disability is determined by adaptive functioning rather than IQ scores. The second point is that the autistic disorder is determined by deficits in two core domains (a: social communication and social interaction, b: restricted, repetitive patterns of behavior), but they cannot be used for determining whether to make diagnosis function at predetermined items.
著者
田巻 義孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.67-82, 1994-04-20 (Released:2010-07-16)
参考文献数
137
被引用文献数
1 1

The thalidomide catastrophe in 1959-1962 has given great impetus to the basic research interests in the adverse effects of various insults on germ cells, embryos, fetuses, and immature postnatal individuals. It has called further attention to behavioral ability to learn or respond appropriately to a changing environment in the offspring that are prenatally exposed to various insults, even though the insults have negligible or no congenital malformations. The new field, behavioral teratology, obtained independence from its mother field teratology in the mid 1970s. The fact that most behavioral alterations can be traceable to adverse influences in the environment does not necessarily mean that it has given insight into the mechanism by which these behavioral deviations took place in developmental processes. Cause-and-effect relationships in behavioral teratogenicity are not always apparent, and thereby behavioral teratology retains distinctive methodological problems.
著者
田巻 義孝 加藤 美朗 堀田 千絵 宮地 弘一郎
出版者
中部人間学会
雑誌
人間学研究
巻号頁・発行日
vol.14, pp.43-62, 2015

本稿では, Kanner(1943, 1944)が自閉的な孤立を示す子どもの症例を(当時の精神医学の学説を踏まえて)早期幼児自閉症と命名し, DSM‐Ⅲ(APA, 1980)で自閉性障害が広汎性発達障害として認定された経緯などを概観した. また, 自閉性障害のサブタイプとして, ①高機能自閉症, 中機能自閉症, 低機能自閉症, ②孤立型, 受動型, 積極奇異型, ③折れ線型自閉症の概要を記述した. さらに, Asperger(1944)の報告した自閉性精神病質を, Wing(1981)がアスペルガー障害と名づけて英語圏に紹介したが, この紹介が自閉症研究に及ぼした影響を論述した.DSM‐Ⅳ(APA, 1994)でアスペルガー障害は新たな臨床単位として認められたが,主に疾病概念の理解や定義が研究者ごとに異なることから, アスペルガー障害の外的妥当性に関する研究領域における議論は決着していない. これらに併せて, 自開性障害の関連障害(サヴァン症候群, 意味・語用論障害, 症候性自閉症), 自閉性障害と注意欠陥/多動性障害の関係について考察した.
著者
永松 裕希 上村 惠津子 小島 哲也 田巻 義孝 三枝 夏季 松川 南海子
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は, 学習障害を中心とした発達障害児の読み能力に焦点を当て, その改善を図るための評価ツールおよび援助プログラムを開発することを目的として実施された。研究内容は3つから構成され, 第一が, 読みにおける眼球運動を測定する簡易型の眼球運動評価ツールの標準化, 第二が, 簡易型眼球運動評価ツール(DEM)の妥当性の検証, 第三が読み能力の学年推移と影響因の検討, および読み障害児に対してのプログラムの開発と, その有効性の検証であった。
著者
田巻 義孝 小松 伸一 永松 裕希 原田 謙 今田 里佳 高橋 知音
出版者
信州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

Manly, Robertson, Anderson, & Nimmo-Smith(1999)が開発したTest of Everyday Attention for Children(以下,TEA-Chと略す)を参考とし,(1)注意が単一ではなく複数の機能から構成されているとみなす理論的枠組みに立脚し,(2)児童・生徒に親しみやすい刺激材料や課題を使用し,検査の生態学的妥当性に配慮している集団式注意機能検査バッテリーを作成した。検査バッテリーは,4種の下位検査(地図探し,音数え,指示動作,二重課題)から成っており,それぞれ異なる注意機能(つまり,選択的注意,持続的注意,反応抑制,注意分割)の査定を意図している。この検査バッテリーを小集団トレーニングプログラムに参加を希望したADHD児童に実施したところ、どの児童にも共通して平均より劣っているのは持続的注意の指標であった。このことから,小集団トレーニングプログラムでは,持続的な注意の改善を基本の目標に据え、行動管理の原則を用いるとととした。バークレー(2002)では、AD/HDを有する子どもの行動管理の原則として、即時的で頻繁なフィードバックと目立つ結果、否定の前の肯定、一貫性の保持を挙げている。このプログラムでも、これらの行動管理の原則を守り,子どもが学習や遊びの場面でつまずいた時に担当者がすぐに対応し、できないことを叱るのではなくできたことを誉めるようにし、がんばってシールをためると誉めてもらってご褒美がもらえるよう設定した。小集団トレーニング開始時と終了時の行動観察(生起頻度の評定)から,児童の立ち歩く回数が減り衝動的に発話することが減っていったことが確認された。また開始時と終了時および終了後2ヶ月の保護者の行動評定から,話し合いの態度や協調性,望まない状況での対処や決めたことへの取り組みが以前よりできるようになり効果が維持されたことが明らかになった。