著者
白井 真理子 鈴木 直人
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.59-67, 2016-01-30 (Released:2016-04-12)
参考文献数
24
被引用文献数
6

This study examined differences of sadness elicited by six types of situation by using subjective ratings. The previous studies haven't clarified that physiological responses in sadness were uncertain compared with other emotions. These findings suggest one possibility that there are different types of sadness. In order to investigate this assumption, we created a questionnaire composed of descriptive terms to express sadness. The questionnaire was extracted three factors, “tear,” “chest ache,” and “powerless.” Using this, we also examined the time-course change of features of sadness based on six sadness-eliciting situations. Results showed two patterns of change as time progressed. Type 1 is that ratings of three factors maintain high value along time change. This pattern is elicited by situations such as loss, personal injury or disease and loneliness. Type 2 is that ratings decreased over time. This pattern is elicited by situations like unable to achieve a goal, romantic breakup and family friction. In conclusion, considering temporal change, this study revealed two different features showed in three factors suggesting the possibility that different types of sadness were reflected in subjective ratings.
著者
白井 真理子 伊藤 理絵
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.107-119, 2018 (Released:2018-12-27)

近年笑われることを極度に恐れる「笑われ恐怖症(gelotophobia)」という概念が報告されている。笑われ恐怖症を発症する背景には,感情が深く関わっていることが指摘されているにも関わらず,そもそも笑われることによりどのような感情が生じるのかについては,実証的に検討されていない。本研究の目的は,失敗を笑われるという不快な状況に至るまでに生じる感情について,探索的に検討することである。大学生25名(男性17名,女性8名,平均年齢19.92歳)を対象に,登場人物が転んで泣く(転倒条件)・転んで友人に見られて泣く(友人条件)・転んで友人に見られて笑われて泣く(笑われ条件)の3条件を提示し,質問紙により各条件で生じた感情について自由記述を求めた。すべての条件で報告された感情は,恥,痛み,悲しみ,怒り,驚きの5つであり,最も多く報告された感情は恥であった。本調査の結果より,失敗を笑われることに伴う感情は様々であったことから,笑われることで生じる感情の複雑さが示唆された。これまで笑われ恐怖症の核となる感情として,恥の感情が深く関わっていることが指摘されてきたが,今後は,恥以外の感情も含めて明らかにする必要がある。
著者
白井 真理子 加藤 樹里 菊谷 まり子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.94.22206, (Released:2023-03-10)
参考文献数
44

Emotional crying has been described as the shedding of tears consequent to an emotional event, a universal and uniquely human behavior. The purpose of the present study was to develop the Japanese version of the Beliefs About Crying Scale (BACS), which assesses beliefs about whether crying is beneficial for gaining positive feelings in both individual and interpersonal contexts. In Study 1, we examined factor structure and re-test reliability. The results indicated that the factor structure of the Japanese version and original version of the BACS are similar and possess acceptable re-test reliability. In Study 2, we tested validity. The results revealed that the Japanese version of the BACS had theoretically reasonable correlations with assumed variables. These results suggest that the Japanese version of the BACS has similar properties as the original version and has acceptable validity and reliability.
著者
野村 亮太 石田 聖子 福島 裕人 森田 亜矢子 松阪 崇久 白井 真理子
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.111-114, 2022 (Released:2023-02-27)

笑いに関する研究は世界中でおこなわれています。本欄では、英語で発表された笑い学の最近の研究成果を紹介しています。笑いに関する研究は、医学、心理学、社会学、哲学、文学、言語学、動物行動学など、多様な学問領域の専門雑誌に掲載されています。幅広い分野で展開されている世界の研究動向について共有することで、国内での笑い学の研究がさらに発展することにつながればと考えています。 本号では計6本の研究論文についての紹介記事を掲載することになりました。記事の執筆には、6名の研究者にご協力いただきました。どうもありがとうございました。
著者
白井 真紀 佐藤 靖 藤川 真章 山田 弘 堀井 郁夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第33回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.89, 2006 (Released:2006-06-23)

【背景】近年,創薬初期でのminiaturizeされたげっ歯類のin vivo毒性試験が展開されてきている。我々は,ラットを用いたin vivo Mini-tox studyを探索研究早期のin vivo毒性スクリーニング試験として立ち上げ,毒性情報の乏しい新規化合物の多面的安全性評価を進めている(第31, 32回日本トキシコロジー学会)。今回,マウスを用いたバリデーション試験を示す。【材料および方法】動物:頚静脈カニュレーション(JVC)施術済みのICR マウス(8週齢,雄)を溶媒対照群,低用量群(L),高用量群(H)の各群に3例づつ振り分け,化合物Xを単回経口投与し,投与翌日にネンブタール麻酔下で放血,安楽殺し,剖検した。検査項目:体重(毎日),機能観察総合評価法(FOB),自発運動測定Motor Activity (MA),心拍数・血圧測定(HR,BP with BP Monitor MK-2000),薬物血中濃度測定,剖検,臓器重量測定および血液生化学的検査を行った。【結果および考察】JVCマウスを用いた今回のバリデーション試験において,ラットとほぼ同等の結果を得ることができた。創薬早期においては使用化合物量の少量化が求められること,また,薬効評価のための疾患モデルとしてマウスが用いられることも少なくない。今回,ラットに比べて,より少ない化合物量で毒性学的評価が可能であり,創薬早期のin vivo毒性スクリーニング試験としてマウスが有用となる場合があることが示唆された。