著者
大野 理恵 細矢 剛 真鍋 真
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.211-213, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
6

国立科学博物館では2019年4月現在、470万点以上の自然史系および理工系の標本資料を管理・保管している。館内の膨大な数かつ多種多様な分野にまたがる標本資料を一元的に管理し、またその情報を一般市民に公開するため、当館では標本資料統合データベース(以下統合DB)を管理・運用している。統合DBに登録されている自然史系標本のデータは、S-Net(サイエンス・ミュージアムネット)やGBIF(地球規模生物多様性情報機構)、ジャパンサーチに提供され、公開されている。本発表では、統合DBの概要と利用状況について紹介するとともに、統合DBが有する様々な課題について報告する。
著者
長谷川 善和 村田 正文 早田 幸作 真鍋 真
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学理科紀要. 第二類, 生物学・地学 (ISSN:05135613)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.41-49, 1992-10-30
被引用文献数
1

A tooth described herein represents the first discovery of an indisputable theropod, in Japan in 1979, which has been followed by late discoveries of dinosaurs in Kyushu and other parts of Japan. The tooth is uniquely characterised by an elongated but very thin crown, which suggests an as yet unrecognized group of theropods.
著者
真鍋 真 藪本 美孝 野呂 美幸
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

(1)桑島層から発見された胴体が伸長した小型爬虫類を新属新種のドリコサウルス類Kaganaias hakusanensisとして英国古生物学会誌に記載した。同種はドリコサウルス類の系統では最も基盤的な種に位置づけられる系統仮説が有力であり、産出時代もこれまでで最も古い。ドリコサウルス類としてはヨーロッパ以外での存在が初めて報告であり、同類として海成層以外からの発見も初めてとなった。ドリコサウルス類はモササウルス類(海トカゲ竜)の姉妹群にあたるトカゲ類で、これまでは白亜紀中頃から後期のヨーロッパの海でしか発見されていなかったため、モササウルス類などの多様で高度な海棲適応の場が白亜紀中頃のヨーロッパの海と考えられていた。また、一部の系統仮説では、ドリコサウルス類が、ヘビ類、さらにモササウルス類に近縁であることから、ヘビの四肢の退化が海生適応だったとする説があった。カガナイアスの存在は、以上の様な適応仮説に再考を求めるものとなった。(2)トカゲ6種について四肢の発生に関してステージングを行ったところ、あるトカゲの胚は産卵直後にニワトリ胚ステージ12前後に相当する発生状態にあり、その後ニワトリ胚の3倍以上の時問をかけて四肢発生が進む可能性が明らかになった。(3)桑島層のパキコルムス科魚類は、後期ジュラ紀のゾルンフォーフェンから産出している種に類似している。桑島層のアロワナ科魚類化石は本科の最も古い記録である。恐竜などの爬虫類、単弓類で見られたように、桑島層にはジュラ紀型と白亜紀型の魚類が共存していたことが明らかになった。これは白亜紀前期のアジアがヨーロッパと北米と海で隔てられたことによって、アジアでは他地域と異なる生態系進化があったことの証拠かもしれないが、他地域の小型脊椎動物化石相の理解が不十分であることに過ぎないかもしれない。
著者
真鍋 真
出版者
国立科学博物館
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

魚竜の胎児から、幼体、亜成体、成体にかけての個体発生における、大きさと形の変化を数量的に解析した。大きさは、従来から数量解析が行われていたが、形を数量化することが本研究の目的であった。東北大学、北海道大学、神奈川県立生命の星・地球博物館の所蔵の魚竜標本を35mmスライドフィルムで撮影し、本補助金で購入したスライドスキャナーでデジタル画像として取り込み、現有コンピューターで画像処理、計測を行い、統計処理を行った。徳島県立博物館、林原自然科学博物館準備室の標本については、写真の提供を受け、写真をもとに解析を行った。このほかにも、画像取り込みをビデオで行ったり、ドロ-イングスレートを用いる方法を試みたが、現段階では、上述の方法が最適であるという結論に達した。ステノプテリギウス、イクチオサウルス属をもとに得られた2属の相対成長(アロメトリー)データから、コンピューター上で、骨格各部の成長率、成長開始時期、成長停止時期の3変数を変化させることによって、可能な形と大きさの多様性をシミュレーションした。その結果、中性代のいろいろ時期に繁栄した代表的な魚竜10種の形態の多様性は、イクチオサウルスからステノプテリギウスへの相対成長の変数を変化させることによって、創り出せる可能性があることが明らかになった。魚竜の進化をヘテロクロニ-で説明できる可能性が明らかになったわけである。本研究では、3次元(立体)の魚竜化石を、平面に投影することによって、2次元のデータとして扱ったが、3次元から2次元への変換の際の歪みが大きいことから、今後は3次元のままデータ処理を行えるような方法を、ハード、ソフトの両面から研究する必要がある。また、化石化の過程での変形による誤差が、解析の結果に及ぼす影響が大きいことから、変形した化石標本を復元するモデルが必要であることが指摘された。本研究における試行錯誤の結果、仮想の3次元フレームを定義し、それに化石を投影して近似するような方法を開発する必要があると考えられる。
著者
近藤 智嗣 芝崎 順司 有田 寛之 真鍋 真 稲葉 利江子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.45-48, 2006
被引用文献数
8

本研究の目的は,ミクストリアリティ(MR)技術を博物館の展示に応用し,1)MR型展示システムと 2)推定支援型展示手法を提案することであった.本研究では,国立科学博物館新館の恐竜コーナーを研究事例の対象としたシステムを開発した.このシステムは,MR型展示の機能として,生体復元された恐竜の3DCGを化石骨格標本に合成させて提示でき,また,そのコンテントは恐竜の解説だけでなく,推定支援型展示の機能として,重さや皮膚の模様などを推定しながら見学するという内容であった.評価調査の結果,3DCGの安定性については問題点が指摘されたが,これらの展示手法については高い評価が得られた.