著者
大西 仁 田中 健二 近藤 智嗣 近藤 喜美夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

国立大学等教育・研究施設に地球局を整備し、衛星通信を教育・研究交流に活用するスペースコラボレーションシステム(以下SCS)事業が1996年に開始する。SCSでは、放送教育開発センターにHUB局を設置し、回線制御を行うために、他の地球局に無線従事者の資格を持つ者を配置する必要がなくなり、容易に衛星通信を利用することができるようになる。また、各施設で通信費を負担する必要がない。これらにより大学間等での教育・研究交流がより活発に行われるようになることが期待される。しかし、回線数に制限があるために、任意の局間で同時に通信を行うことはできない。そこで、効果的に回線を割り当てるようにスケジューリングを工夫する必要がある。本稿の目的は、SCSの予約管理において考慮すべき問題を洗い出し、予約管理システムと運営法構築のための議論を行うことである。
著者
近藤 智嗣 芝崎 順司 有田 寛之 真鍋 真 稲葉 利江子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.45-48, 2006
被引用文献数
8

本研究の目的は,ミクストリアリティ(MR)技術を博物館の展示に応用し,1)MR型展示システムと 2)推定支援型展示手法を提案することであった.本研究では,国立科学博物館新館の恐竜コーナーを研究事例の対象としたシステムを開発した.このシステムは,MR型展示の機能として,生体復元された恐竜の3DCGを化石骨格標本に合成させて提示でき,また,そのコンテントは恐竜の解説だけでなく,推定支援型展示の機能として,重さや皮膚の模様などを推定しながら見学するという内容であった.評価調査の結果,3DCGの安定性については問題点が指摘されたが,これらの展示手法については高い評価が得られた.
著者
近藤 智嗣
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.381-391, 2012

This paper describes an evaluation about a guide function of a museum exhibition using immersive mixed reality technology. In this system, the user utilizes a binocular hand-held display (HHD) to observe the skeleton of a dinosaur fossil 1.6 meters in length. The exhibition presents a fundamental explanation of dinosaur bone structure. In this study, a guide function was developed to urge the user to adjust to the appropriate position to view the content. The HHD position data compared the results with the guide function to those without the guide function. According to the results, users' behaviors differed significantly; the guide function effect was confirmed.
著者
近藤 智嗣
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.73-84, 2001-09-20
被引用文献数
2

仮想空間を用いることで,大規模空間の表現における従来の映像メディアの問題点を改善することが可能となってきた.本研究で使用した仮想空間は,パノラマ画像を円筒形状に表示する手法であり,実写画像を素材に使用できることや制作が容易なこと等から教育応用においてもその実用性と効果が期待できる.本研究の目的は,この仮想空間を効果的に教育へ応用するために,1)利用者の空間定位から学習環境としての適切性を検討する,2)そのナビゲーション過程を分析することで利用者の特徴や問題点を抽出する,3)迷子の発生しやすい空間構造を分析する,ことであった.本研究では,ある公園の仮想空間を作成し,小学生を被験者として,指定されたルートをたどる移動課題と,公園内のベンチを探す探索課題の実験を行った.実験結果からは,抽出した問題点の改善方法を提案した.
著者
加藤 浩 三輪 眞木子 近藤 智嗣
出版者
独立行政法人メディア教育開発センター
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、博物館学習における効果的な学習支援の学習支援モデルを構築し、その効果を検証することを目的とした。本研究では、提案する学習支援モデルとして、自立的な解釈の前提となる、展示のテーマ、見るポイント、作品間の関連性をあらかじめ学習させることによって、展示室での自立的な展示解釈を支援するCognitive Orientation of Museum(COM)モデルを構築した。その効果検証のため、千葉県立美術館の常設展「浅井忠とバルビゾン派」をテーマにし、COMモデルの教授過程にのっとったCOM教材を開発し、実際の美術館において美術鑑賞初心者を対象に効果検証実験を実施した。その結果、COM教材を利用すると、教材利用後は展示鑑賞の見るポイントが絞れ、さらに鑑賞体験を重視する傾向が生まれることが明らかになった。また教材利用後、鑑賞体験を行うと、展示室滞在時間が延び、独自の解釈が増え、鑑賞後は満足感が高まり、再来館への動機付けが高まることが分かった。COMモデルにのっとったCOM教材が事前学習に効果的なことが明らかになったので、次に館内支援と連動させる館内外における連携的学習支援システムを開発した。館内外における連携的学習支援システムは国文学研究資料館の特別展「源氏物語-千年の輝き-」をテーマにし、ウェブベースのCOM事前学習教材とPDAベースの館内ナビゲーション教材を開発した。その後、実際の資料館において国文学資料に詳しくない初心者を対象に効果検証実験を行った。COM教材と連動させる館内ナビゲーション教材は、事前のCOM教材で学習した内容の中で、利用者の興味に従いテーマを選択すると、解説する展示、紹介順、解説内容が変化する仕組みになっている。実験で本システムを利用してもらった結果、館内ナビゲーション教材は展示鑑賞中の行動に沿って開発しなければならないという課題が見つかった。
著者
近藤 智嗣 田中 健二 大西 仁 近藤 喜美夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

放送教育開発センターでは,これまでにも衛星を用いた教育交流実験を実施してきている.これらの実験を通じて経験した問題点には,衛星回線のトラブルに関するものとスタジオ機器等教室システムに起因するものがあった.衛星回線に関する問題点は,HUB局制御のVSATシステムを構築することで利用者には負担がかからないよう改善がなされた.しかし,教室システムに起因する問題点は,利用者自身が教室内のAV機器等を操作しなければならないため,より容易な操作が可能な教室システムを実現しなければ改善はなされない.文部省が平成7年度から開始したスペースコラボレーションシステム(SCS)計画では,操作が容易な教室システムの実現も重要な課題の一つである.
著者
浅井 紀久夫 近藤 智嗣 小林 秀明 水木 玲 有田 寛之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.391, pp.63-68, 2007-12-08
被引用文献数
9

拡張現実感を利用した月面探索システムを開発し,国立科学博物館でのデモ展示を実施した.月は身近な天体であり,科学教育における格好の題材である.特にアポロ計画は話題性もあり,展示として魅力がある.博物館などではマルチメディアによる展示が増えてきたが,利用者がコンピュータの操作に熟達していることを前提とした内容にすることはできない.拡張現実感は,現実シーンに仮想物体を重畳表示する.そのため,物理的な板を触って仮想物体を操作するというタンジブル・インタラクションが可能であり,直感的なインタフェースを提供する.本システムではスティック・マーカを操作することにより,アポロ17号が探査した月面領域を探索する.本システムを評価するため,国立科学博物館でのデモ展示を実施し,一般来館者から主観評価を得た.その結果,楽しさや興味の点で満足度が高く,システムの安定性や内容の平易化が求められていることがわかった.