著者
石井 優 久保 治郎 髙野 浩司
出版者
公益財団法人 損害保険事業総合研究所
雑誌
損害保険研究 (ISSN:02876337)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.145-217, 2019-02-25 (Released:2020-05-23)
参考文献数
25

海上保険実務と密接に関わる運送・海商の規律を120年ぶりに見直した改正商法が間もなく施行される。海上保険関連では,委付規定を削除した他,規律と実務の不整合を多くの箇所で解消している。保険法の告知に係る質問応答義務の規定を退け自発的申告義務を定めた意義は大きい。貨物保険の代位求償関連では,内航運送人の責任が軽減され,外航貨物の海上運送状下での荷受人の権利が規定された他,貨物損害賠償請求権に関しても,消滅時効を出訴期限とし,船舶先取特権は維持する等,実務面で意義ある改正がなされた。海難関連で,船舶衝突では1910年衝突条約の規定を選択的に採用した。海難救助では契約救助も明確に対象とし,船舶関係者が積荷等も含む救助契約を締結できると定めた他,不成功無報酬の原則を修正し環境損害防止費用の特別補償の規定を導入している。共同海損では成立要件や分担につき1994年YARとの整合が図られたが,対象となる損害・費用の範囲では,新たな規定の追加はなく現行条文の修正に止まった。
著者
坂根 茂幸 石井 優 柿倉 正義
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.382-392, 1986
被引用文献数
10 3

知能ロボットの構成には, センサシステムを装備することがまず第一に必要である.ハンドアイシステムの要求の増加に伴い, ハンドアイシステムをいかに効果的に設計, 構成そして活用するかという課題の解決の重要性が認識されつつある.例えば, ハンドアイシステムの作業教示には, マニピュレータと共に視覚センサのオフラインプログラミングが必要となる.マニピュレータのオフラインプログラミングを支援するためのロボットシミュレータが, 最近, 注目を浴びているが, これに対してロボットセンサのシミュレータに関する研究はまだ殆ど行われていない.<BR>筆者らは, 現在, HEAVENシステムと呼ぶハンドアイ行動シミュレータの開発を行っている.HEAVENシステムは, ハンドアイシステムにおける作業環境の視覚認識と監視を支援する.本論文は, カメラがオクルージョンを回避して適切な画像データを得るように支援するHEAVENシステムの一機能について述べたものである.カメラから最適な視点を選択する問題は, 対象物体モデルの周りに生成する測地ドーム上で視点を評価する問題として設定される.オクルージョン回避空間は, 奥行バッファアルゴリズムにより測地ドーム上の領域として求められる.次に, 測地ドーム上の距離変換によりオクルージョン回避の最適な候補視点が得られる.ハンド装着型カメラを用いたシステムによる実験結果は, HEAVENシステムがオクルージョン回避プラニングに有効であることを示している.
著者
繁田 浩功 間下 以大 金子 雄 菊田 順一 瀬尾 茂人 竹村 治雄 松田 秀雄 石井 優
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-33, no.3, pp.1-6, 2013-03-14

生体イメージング技術の向上により生体内の動態を画像として観察することが可能となり,疾病のメカニズム解明や創薬等への応用が期待されている.一方で統計的信頼性を得るために膨大な画像を解析する必要性が生じている.本研究では,生体骨組織内の血管透過性の制御機構を解明するため,二光子励起顕微鏡を用いて得られた生体画像に対して,血液が骨髄腔に染み出す血管透過性を評価する手法を提案する.提案手法では,対象となる時系列画像に対してグラフカットを用いて骨髄腔領域をセグメンテーションし,その染み出し量を定量的に評価する.評価実験の結果,専門家の手による抽出結果を用いた結果とほぼ同様の結果が得られた.このことから,本手法は染み出しの程度について統計的かつ定量的な評価の一つとして利用できると思われる.
著者
石井 優 草なぎ 祐紀 大谷 俊博 仲庭 正義
出版者
The Japanese Society for Non-Destructive Inspection
雑誌
非破壊検査 (ISSN:03675866)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.179-183, 2015

In this study, we apply non-contacting nonlinear resonant ultrasound spectroscopy (NNRUS) to the evaluation of fatigue damage in pure copper. NNRUS is a combination of a contactless transducer, electromagnetic acoustic transducer (EMAT), and nonlinear resonant ultrasound spectroscopy (NRUS). The NRUS technique is exploits the significant nonlinear behavior of damaged materials. The resonant frequency of an object is studied as a function of its excitation level. As the excitation level increases, the elastic nonlinearity is manifested by a shift in the resonance frequency. The change in nonlinearity rapidly increases from 80% of fatigue life and is synchronized with the change in the attenuation coefficient with fatigue progression. This novel phenomenon is interpreted in terms of change in dislocation mobility and the dislocation rearrangement. TEM (Transmission Electron Microscope) observations supported this view. This technique has the potential to assess the level of damage and to predict the fatigue life of metals.
著者
松田 道行 今村 健志 清川 悦子 宮脇 敦史 根本 知己 岡田 峰陽 石井 優 福原 茂朋
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

平成26年度までの計画班員および公募班員の研究報告書を取りまとめ、編集作業を行った後、評価報告書を作成し、関係者に送付した。また、研究終了後も要望の強いDNAの配布や技術講習会も開催した。さらに、Web情報の更新も行った。平成27年度に新しい新学術領域研究「レゾナンスバイオ」が始まったので、この領域への情報の引き継ぎを行った。
著者
根岸 洋一 丸山 一雄 高木 教夫 新槇 幸彦 高橋 葉子 野水 基義 田野中 浩一 丸ノ内 徹郎 片桐 文彦 小俣 大樹 濱野 展人 石井 優子 小栗 由貴子 塩野 瞳 秋山 早希 間山 彩 菊池 太希
出版者
東京薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,微小気泡(ナノバブル) の一つとして開発してきた超音波造影ガス封入リポソームにデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療用アンチセンスモルフォリノ(PMO)を搭載させたバブルリポソーム(BL)の開発に成功した.さらにBLと超音波照射との併用システムによりDMDモデルマウス骨格筋や心筋へのPMO送達・導入を行うことで,超音波照射部位におけるエクソンスキッピング誘導に伴う顕著なジストロフィンタンパク質の発現回復が可能となることを明らかとした.よって本システムは,DMDの核酸治療において全身筋組織への効率的PMO送達・導入とDMD治療における有用な一手段となると期待された.