著者
石垣 尚男 宮尾 克
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.181-182, 1994-05-20

装置: 左右に動く対象を識別する能力であるDynamic Visual Acuity(DVA・動体視力)の測定装置を新たに開発し,この装置で5才から92才までの826名の動体視力の加齢影響と性差を調べた.新たに開発した装置は,90°の白色円形スクリーン上をランドルト環が左から右に水平に動くものである.被検者とスクリーンの距離は1.2mである.ランドルト環の切れ目の幅は視角40'であり,視力値で0.025に相当する.ランドルト環は初速210°/sで動き,4.8°/sで自動的に減速する.被検者は顎台に顎をのせ,眼球運動のみでランドルト環を追跡し方向を識別する.被検者は切れ目の方向(上下左右)が識別できたら,直ちに方向を応答する.正しい応答の場合,検者はストップボタンを押す.識別できたときの速度がデジタルで表示される.動体視力のパラメータは,識別できた速度である.測定はこれを5回繰り返し,平均値を用いた.結果: 動体視力は男女とも5才から15才の間に急速に発達していた.とくに,5才から10才の間の発達が顕著であった.この測定では動体視力のピークは男女とも15才であった.20才以降,動体視力は加齢とともにほぼ一定比で低下していた.調査したほとんどの年齢で男性の動体視力が優れていたが,有意差があったのは5才児のみであった.生得的に男性は女性より動体視力が優れているのではないかと推測した.この調査により,動体視力は身体の発育期に発達し,成熟後は加齢とともに低下することが明らかとなった.この結果は動体視力(DVA)の加齢影響は静止視力(SVA)のそれとは全く異なるものであることを示した.
著者
石垣 尚男
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.185-192, 1988
被引用文献数
4 1

The purpose of this study was to investigate whether visual acuity improves or deteriorates by the exercise. Exercise was cycle ergometer pedaling for 15 minutes under the load; 20%, 50%, 80% of Maxmum Oxygen Intake of each subject with equal relative load among subjects. Accommodation function,Refraction and CFF (Critical Fusion Frequency) were measured for the investigation of the change of visual acuity. The subjects were 10 males (18-20 yrs) without eye diseases. 1. Visual acuity was deteriorated in all the cases of 20%, 50%, 80% Vo_2 max exercise load. The heavier the load, the more visual acuity deteriorated. Visual acuity recovered gradually after exercise in 20-30 minutes. 2. The heavier the load, the longer the near-point was extended, and recovered in about 20 minutes. 3. Deterioration of visual acuity and recovery process of visual acuity after exercise were similar to the changes of near-point. There was a significant correlation of 0.414 (p&lt0.05) between deterioration of visual acuity and extension of near-point immediately after exercise. 4. The frequency of accommodation fluctuation of crystalline lens was hardly changed. 5. Refraction (Sphere, Cylinder) was hardly changed. 6. CFF rose with every level of load. The heavier the load became, the higher CFF rose. Based on these reuslts, the main cause of the deterioration of visual acuity was assumed to be deterioration of accommodation function.
著者
白岩 義夫 増田 公男 林 文俊 石垣 尚男
出版者
愛知工業大学
雑誌
総合技術研究所研究報告 (ISSN:13449672)
巻号頁・発行日
no.1, pp.85-90, 1999-06
被引用文献数
2

本論文では,幼稚園児におけるテレビ視聴とテレビゲーム遊び行動が子どもの視力に与える影響について,園児の保護者を対象とした調査に基づいて分析された結果が報告された。1日のテレビ視聴時間は週日よりも休日が,また女児よりも男児の方が長かった。テレビゲーム遊びの経験は男児の方が多かったが,経験月数は逆に女児が多い傾向にあった。テレビゲーム遊びの頻度及び1回当たりの遊び時間は男児が長かった。テレビ視聴時間と視力の間,テレビゲーム遊びの経験及び時間と視力の間には明確な関係は見出だせなかった。
著者
石垣 尚男 宮尾 克
出版者
社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.181-182,A44, 1994 (Released:2009-03-26)
参考文献数
5
著者
和田 優 米田 悠 石垣 尚男
出版者
舞鶴工業高等専門学校
雑誌
舞鶴工業高等専門学校紀要 (ISSN:02863839)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.26-32, 2007-03-15

人間は外部情報の80〜90%は眼を通して得ているといわれており、視機能がゲームセンスに大きな影響を与えていると考えられる。年少期の子供は視機能が発達状態にあるため、年齢や個人差による視機能の発達状態の違いが競技能力の差に大きく影響してくる。本研究では、近畿大会出場もしくはそれ以上の競技能力を持つジュニアテニス選手22名を被験者としてスポーツビジョンの測定を行い、ジュニアテニス選手の視機能の特徴や問題点を明らかにした。この長所を伸ばし、問題点を改善するためにパソコンソフト等を用いた視機能トレーニングを半年間実施した。その結果、視機能の著しい向上が認められ、また競技実績においても全日本ジュニア選手権に出場する選手を輩出した。
著者
石垣 尚男 真下 一策 遠藤 文夫
出版者
愛知工業大学
雑誌
愛知工業大学研究報告. A, 教養関係論文集 (ISSN:03870804)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.43-47, 1992-03
被引用文献数
2

わが国のトップレベルにあるスポーツ選手116名(ボールゲーム)を対象にして,11項目の視覚機能を調査した。調査対象を監督,コーチの合議によりA,B,Cランクにわけ各群の視覚機能を比較した。その結果,A>B>Cの順で視覚機能が優れており競技力との間に関係がみられた。Aランクは11項目のうち,10項目においてB,Cランクより優れていた。AランクとCランクの差は明らかであったが,AとBランク,BとCランクの差はそれに比較して少なかった。Aランクは動体視力,焦点調節,深視力,眼と手の協応動作の4項目でB,Cランクより優れており,これらの視覚機能はボールゲームの状況判断の知覚的部分において重要な働きをしているものと考えられた。