著者
戎 利光 竹内 寛子 中山 環 冨久尾 典子 大久保 花純 横谷 智久 飛田 芳江
出版者
福井大学
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.38, pp.27-33, 2014-02-14

近年,食生活の乱れや運動不足,さらには,睡眠不足や夜更かしなどライフスタイル全般にわたって,不健康な日々を送っている若者が多い。特に大学生は,下宿生活や時間的な縛りが比較的緩くなった日々の生活により,ライフスタイルの乱れが顕著である。さらに,血管老化度の亢進や肥満などが大きな誘因の1つである生活習慣病については,その予防に関する大学生の意識は低い。従って本研究の目的は,調査と実験により,大学生の生活習慣全般を幅広く検討することにより,大学生のライフスタイルと血液循環動態及び肥痩度との関連を明らかにすることである。 本研究では,大学生162名(男子97名:平均年齢21.2±1.9歳,女子65名:平均年齢20.4±1.2歳)を対象にライフスタイルに関する調査を行い,さらに,身体組成,血管老化度,血圧,脈拍を測定し,ライフスタイルと血液循環動態及び肥痩度との関連を明らかにした。本研究におけるデータ分析の結果,(1) 肥満であると分類された被験者(肥満群)は,隠れ肥満であると分類された被験者(隠れ肥満群)より1週間当たりの牛乳摂取回数が多い,(2) 肥満群では1週間における朝食摂取日数は血管老化度との間に正の相関を示す,(3) 肥痩程度が普通であると分類された被験者(標準群)では1週間における朝食摂取日数は拡張期血圧(DBP)との間に負の相関を示す,(4) 朝食摂取日数と三食摂取日数(共に,1週間における日数)は,標準群,隠れ肥満群,肥満群のいずれもにおいても正の相関を示す,(5) 標準群では,朝食摂取日数は緑黄色野菜摂取回数や青魚摂取回数(すべて1週間当たり)との間に正の相関を示す,(6) 運動習慣のない被験者は安静時脈拍数(PR)と体脂肪率(% Fat)が多いことなどが明らかになった。 つまり本研究より,血管老化度は大学生のライフスタイルとそれほど関連性はみられなかったが,肥痩の程度に関わらず,朝食をしっかり食べている学生は,毎日三食を摂取しているだけでなく,緑黄色野菜や青魚の摂取などの栄養のバランスを考えた食生活を送っていることや,運動習慣のない学生は% Fatが多く肥満を誘発する可能性のあることなどが浮き彫りになった。ただ,大学生を個別に観察すると,男性97人中15人,女性65人中6人は全く朝食を食べておらず,男性97人中12人,女性65人中8人は1週間に1日しか朝食を食べていないことなどもわかり,学生には男女とも個別に食生活についての健康教育が必要であることも明らかになった。
著者
戎 利光 竹内 寛子 中山 環 冨久尾 典子 大久保 花純 横谷 智久 飛田 芳江
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.38, pp.27-33, 2013

近年,食生活の乱れや運動不足,さらには,睡眠不足や夜更かしなどライフスタイル全般にわたって, 不健康な日々を送っている若者が多い。特に大学生は,下宿生活や時間的な縛りが比較的緩くなった日々 の生活により,ライフスタイルの乱れが顕著である。さらに,血管老化度の亢進や肥満などが大きな誘因 の1つである生活習慣病については,その予防に関する大学生の意識は低い。従って本研究の目的は,調 査と実験により,大学生の生活習慣全般を幅広く検討することにより,大学生のライフスタイルと血液循 環動態及び肥痩度との関連を明らかにすることである。 本研究では,大学生162名(男子97名:平均年齢21.2±1.9歳,女子65名:平均年齢20.4±1.2歳)を対 象にライフスタイルに関する調査を行い,さらに,身体組成,血管老化度,血圧,脈拍を測定し,ライフ スタイルと血液循環動態及び肥痩度との関連を明らかにした。本研究におけるデータ分析の結果,(1) 肥 満であると分類された被験者(肥満群)は,隠れ肥満であると分類された被験者(隠れ肥満群)より1週 間当たりの牛乳摂取回数が多い,(2) 肥満群では1週間における朝食摂取日数は血管老化度との間に正の 相関を示す,(3) 肥痩程度が普通であると分類された被験者(標準群)では1週間における朝食摂取日数 は拡張期血圧(DBP)との間に負の相関を示す,(4) 朝食摂取日数と三食摂取日数(共に,1週間におけ る日数)は,標準群,隠れ肥満群,肥満群のいずれもにおいても正の相関を示す,(5) 標準群では,朝食 摂取日数は緑黄色野菜摂取回数や青魚摂取回数(すべて1週間当たり)との間に正の相関を示す,(6) 運 動習慣のない被験者は安静時脈拍数(PR)と体脂肪率(% Fat)が多いことなどが明らかになった。 つまり本研究より,血管老化度は大学生のライフスタイルとそれほど関連性はみられなかったが,肥痩 の程度に関わらず,朝食をしっかり食べている学生は,毎日三食を摂取しているだけでなく,緑黄色野菜 や青魚の摂取などの栄養のバランスを考えた食生活を送っていることや,運動習慣のない学生は% Fatが 多く肥満を誘発する可能性のあることなどが浮き彫りになった。ただ,大学生を個別に観察すると,男性 97人中15人,女性65人中6人は全く朝食を食べておらず,男性97人中12人,女性65人中8人は1週間に1日 しか朝食を食べていないことなどもわかり,学生には男女とも個別に食生活についての健康教育が必要で あることも明らかになった。
著者
竹内 寛貴 井手 一茂 林 尊弘 阿部 紀之 中込 敦士 近藤 克則
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.22-088, (Released:2023-06-08)
参考文献数
61

目的 健康寿命延伸プランの主要3分野の1つに,高齢者のフレイル対策が掲げられ,その1つとして社会参加の活用が期待されている。しかし,これまでの先行研究では,社会参加の種類や数とフレイル発症との関連を縦断的に検証した報告はない。本研究では,大規模縦断データを用い,社会参加の種類や数とフレイル発生との関連について検証することを目的とした。方法 日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study : JAGES)の2016年度と2019年度のパネル調査データを用いた縦断研究である。2016年度(ベースライン時点)と2019年度(追跡時)のJAGES調査に回答した高齢者から,ベースライン時点の日常生活動作の非自立者と無回答者,フレイル(基本チェックリスト8点以上/25点)とフレイル判定不能者などを除いた,28市町59,545人を分析対象とした。目的変数は追跡時のフレイル発症とし,説明変数はベースライン時点の9種類の社会参加の種類と数を用いた。調整変数には,ベースライン時点の性,年齢,等価所得,教育歴,婚姻,家族構成,就労,プレフレイル(基本チェックリスト4~7点/25点)の有無,喫煙,飲酒,都市度の11変数を用いた。多重代入法により欠損値を補完し,ポアソン回帰分析を用いて社会参加とフレイル発症との関連を検証した。結果 追跡時のフレイル発症は6,431人(10.8%)であった。多重代入法後(最小64,212人,最大64,287人)の分析の結果,老人クラブを除く8種類の社会参加先である介護予防(Risk Ratio: 0.91),収入のある仕事(0.90),ボランティア(0.87),自治会(0.87),学習・教養(0.87),特技・経験の伝達(0.85),趣味(0.81),スポーツ(0.80)で,フレイル発症リスクが有意に低かった。さらに,社会参加数が多い人ほどフレイル発症リスクが有意に低かった(P for trend <0.001)。結論 社会参加とフレイル発症リスクとの関連を検証した結果,ベースライン時点で8種類の社会参加をしている人,社会参加数が多い人ほど3年後のフレイル発症リスクが低かった。健康寿命延伸に向けたフレイル対策の一環とし,社会参加の促進が有用であることが示唆された。
著者
森 哲 竹内 寛彦 森 直樹 Savitzky Alan H. Tang Yezhong Li Ding Tsai Tein-shun Nguyen Tao Thien Das Indraneil Silva Anslem de Mahaulpatha Dharshani 城野 哲平
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ヤマカガシは頸腺と呼ばれる特殊な防御器官を持ち、強い皮膚毒を持つヒキガエルを食べることによりその毒成分を取り込んでこの器官に溜める。また、特異的な防御ディスプレイを行って、その毒を効果的に捕食回避に利用する。本研究では、合計18種のユウダ亜科のヘビが同様の防御器官を持つことを確認し、それらの形態は多様化していることを明らかにした。また、分子系統解析の結果、頸腺システムは1回だけ進化してきたことを示した。さらに、ミミズ食に移行した一部のヘビでは、頸腺毒をヒキガエルではなくホタルから取り入れている可能性が示された。
著者
片岡 健 中塩 文行 寺本 正明 竹内 寛 川崎 順二郎 江口 彌 平田 彰 古崎 新太郎 藤縄 勝彦 原田 誠
出版者
大阪府立大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

乳化粘膜による分離濃縮プロセスの開発においては, 1.二本の長鎖アルキル基を有する新しい界面活性剤が合成され, 分離濃縮プロセスの見地から望ましい界面活性剤であることが実証され, 実用化へ前進した. 2.溶存クロムの連続槽型分離濃縮操作には, 滞留時間とその分布が影響し, 並流操作が実用的であることが判明した. 3.向流接触塔による分離濃縮プロセスのシミュレーションにより, pH変化を拌う分離濃縮系にはpH調節が重要であることを明らかにし, 塔内濃度分布の推算および装置設計が可能となった. 4.乳化液膜の電気解乳化速度式が提案され, 液滴合一の限界電場条件が示唆されるとともに, 試作した連続解乳化装置の操作条件が明らかにされた. 支持液膜による分離濃縮プロセスの開発においては, 1.多孔性支持液膜に使用する有機物として, 直鎖系炭化水素が膜の安定性に優れ, 支持液膜の連続再生方式を提案した. 2.新しい膜形態として流動液膜が提案され, スパイラル型, plate-and-frame型各モジュールが試作され, 好成績を示した. 3.Ga・In湿式製錬プロセスに, 支持液膜法あるいは乳化液膜法が導入できることを明らかにした.液膜分離技術の応用開発においては, 1.希土類, 特にランタンの分離に適用できることを明らかにし, 分離濃縮の基礎的設計指針を見出した. 2.バイオプロセスへの液膜法の検討が行われ, Z-APMの連続合成に適用可能であることを見出した. 3.(O/W/O)液膜による有機物の分離選択性を高める方法を提案し, 転相による新しい機械的解乳化法を見出した. これらの諸成果を基盤とすれば, 実用的な連続分離プロセスは可能であり, パイロット・プラントの試作・操作が望まれる. なお一連の開発研究の過程より新たにマイクロエマルションを応用した液膜分離の技術開発の重要性が萌芽してきた.
著者
竹内 寛久 仲村 英也 綿野 哲
出版者
The Society of Powder Technology, Japan
雑誌
粉体工学会誌 (ISSN:03866157)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.191-200, 2012-03-10 (Released:2012-03-22)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

Numerical modeling of individual particle motion and fluid flow in an impact pulverizer was conducted using a Computational Fluid Dynamics (CFD) - Discrete Phase Model (DPM) coupling model. The impact pulverizer consists of high-speed rotating hammers and a static concavo-convex stator. Influences of the rotor geometries on particle impacts against stator walls were investigated. It was found that particles in the impact pulverizer were accelerated by the fluid drag force caused by the rotating hammers but not by the impact force from the hammers, resulting in impacts against walls of the static stator. Velocities and frequencies of the impacts between particles and walls of the static stator were analyzed under various number of hammers and clearances. As the number of hammers increased, the velocity and frequency increased because velocity of the fluid in circumference of the grinding chamber increased. The number of particle impacts against walls of the static stator decreased with an increase in the clearance. The impact energy which was calculated from the velocity and frequency of the particle impacts has the similar tendency with the experimental ones.